CHAOSMOLOGY
レビュー執筆日:2021/8/4
●「歌有り」から「インスト」まで、「ほぼコピー」から「完全に別の曲」まで、様々な形の「カバー」を聴けるトリビュートアルバム。
【収録曲】
<ディスク1>
1.Vampiregirl(UNISON SQUARE GERDEN)
2.Supernova(BLUE ENCOUNT)
3.Discommunication(BiSH)
4.キャンドルの灯を(THE BACK HORN)
5.名もなきヒーロー(FLOWER FLOWER)
6.Black Market Blues(a flood of circle)
7.Talking Machine(cinema staff)
8.ハートに火をつけて(チャラン・ポ・ランタン)
9.カモメ(ストレイテナー)
<ディスク2>
1.Wanderland(SPECIAL OTHERS)
2.ガラスの街のアリス(fox capture plan)
3.Punishment(mudy on the 昨晩)
4.次の駅まで(LITE)
5.スタンドバイミー(DEPAPEPE)
6.The World(Ryu Matsuyama)
7.Living Dying Message(アルカラ)
8.黒い森の旅人(キツネツキ Feat. タブゾンビ & 栗原健)
9.ハートに火をつけて(→Pia-no-jaC←)
9mm Parabellum Bulletの楽曲を様々なアーティストがカバーしたトリビュートアルバム。今作は2枚組となっていますが、ディスク1とディスク2とではカバーの傾向が異なっているように感じられました。
まず、ディスク1についでですが、こちらは原曲に近い雰囲気でカバーしたものがメイン。原曲が好きならばそれなりに聴けるようになっていると思いますが、それゆえに9mmの切れ味の鋭いサウンドと比べると少し物足りなく感じられるところがあります。ただ、リズムを7拍子に変えた『Vampiregirl』(UNISON SQUARE GARDEN)やボーカルとアコーディオンのみで構成された『ハートに火をつけて』(チャラン・ポ・ランタン)のように強めにアレンジした曲もあり、それらに関しては結構興味深く聴くことができました。
そして、インスト盤であるディスク2の収録曲に関しては、全体的にアレンジがかなり大胆になっており、アーティストごとの個性が大きく出ているように感じられます。原曲では非常に攻撃的な『Wanderland』がSPECIAL OTHERSの手によって涼しげな雰囲気に変貌していますし、アルカラがカバーした『Living Dying Message』はバイオリンをメインにしたどこか掴み所の無いような不思議な感じが印象的。→Pia-no-jaC←がカバーした『ハートに火をつけて』はアドリブ性の強いジャズナンバーになっています(チャラン・ポ・ランタンと楽曲がかぶっていますが、アレンジが大きく異なるので違和感は全くありません)。ただ、「大胆」を通り越して「原形をほとんど留めていない」カバーも数曲あり、「ちょっとやり過ぎかな」と感じられるところも。
「歌有りからインストまで」のみならず、「ほぼコピーと化している」カバーから「完全に違う曲になっている」カバーまで、9mmというフィルターを通してある意味幅広いアレンジを聴ける一作。一口に「カバー」と言っても様々な手法があるということを強く感じられるトリビュートアルバムでした。
評価:★★★★