BABEL
レビュー執筆日:2018/8/30
●作曲者としても、バンドとしても実力の高さが窺い知れる。
【収録曲】
1.ロング・グッドバイ
2.Story of Glory
3.I.C.R.A
4.ガラスの街のアリス
5.眠り姫
6.火の鳥
7.Everyone is fighting on this stage of lonely
8.バベルのこどもたち
9.ホワイトアウト
10.それから
前作から約1年と比較的早いペースでリリースされた今作。メジャーデビュー後の彼らのアルバムとしては初めてシングル曲が収録されませんでしたが、元々彼らは「シングル曲」と「アルバム曲」の間に作風の違いはほとんど無く、今作でもそれは変わっていないので、その点においては今までと同様にある意味「安心」して聴けるアルバムになっていると思います。特に、『Story of Glory』や『眠り姫』はシングルカットしても違和感は無いのではないでしょうか。
また、前作ではメンバー全員が積極的に作曲を行っていましたが、今作はギタリストの滝善充が全曲の作曲を行っています。なので、メロディに関しては少しバリエーションが減っているように思えます。とはいえ、彼のメロディセンスが優れているのは相変わらずなので、あくまでも「少し」に留まっており、今作は全10曲、約35分と前作よりも短くまとめられているということもあって、アルバムを通して聴く分にはそこまで問題ありません。(ただし、『ロング・グッドバイ』と『ガラスの国のアリス』のサビのメロディが似ている点は少し気になりましたが)
ただし、今作は約半数の曲で三拍子や五拍子を取り入れており、リズムという点では前作よりもバリエーションが増えていると言ってもいいかもしれません。その中でも、『Story of Glory』では「三拍子+サビでの長調への転調」という9mmが今までやってこなかった手法でインパクトを出すことに成功しており、また、『それから』ではサビで急に跳ねたリズムになるという構成でこれまた大きなインパクトを表現しています。
とはいえ、前作のレビューの繰り返しになりますが、やはり「優れたメロディと切れ味の鋭い演奏」という大きな個性があるため、今までの彼らとそこまで大きな変化はありません。ギタリスト・滝善充のメロディメーカーとしての実力とバンドとしての演奏力の高さが充分に実感できる一枚でした。
評価:★★★★★