第15話 姫と偽り ‐安田海鳥‐
今回は前回の片割れの話になります。
時間軸的には重なっていますので、ご了承ください。
それは多分、出会うべくして出会ったんだろうと、私は思っている。これはきっと何かの縁、お母さんならそんな風に言ったかもしれない。
まぁ、お父さんと運命的な出会いをしたと連呼していたクセに離婚しちゃってるワケだし、そんな思い込みなんて当てにはならないんだろう。
「君は偶然と思いますか?」
人差し指で眼鏡の位置を直しながら、平岡君はそんな質問を口にする。とはいえ、それは私に対してのものじゃない。私の隣――すなわち彼の後ろを歩く二階堂君に対してのものだ。
「何の話?」
「この出会いが偶然のものと思っているのか、そうお聞きしているのです」
「基本的には偶然だと思うよ」
さほど興味がないのか、淡々とした口調で簡単な答えを返す。
理由はわからないけど、何となく二階堂君の機嫌は少し悪く見えた。やっぱり、ユリちゃん達とはぐれたのが気に入らないんだろうか。
でも、あの二人がいなくなってからの二階堂君は、あまり変わったように見えなかった。何度も『大丈夫』と繰り返しながら、私に気を遣っていたようにさえ映った。そして改めて、この森にまつわる昔話を聞かせてくれた。
その話が終わろうかという頃に、前を歩く二人を見付けたんだ。
思えば、それから二階堂君の機嫌が悪くなったような気がする。
この二人のどちらかが嫌いとか?
それとも、別の班と一緒に行動することが気に入らないとか?
でも、この状況では協力してチェックポイントを目指した方が確実だって提案したのは、むしろ二階堂君だ。それなのに、どうして機嫌が悪くなったんだろう。
うーん、わかんないや。
まぁ、機嫌が悪いんじゃなくて、単に警戒してるってだけなのかもしれない。しかも、その警戒が二人に向けてのものなのか、それとも外側に向けてのものなのかさえ、私にはわかっていない。
本当に、私は役立たずだなと実感する。
だから、できるだけ軽い荷物になろうと思っている。足手まといになるのは仕方がない。でも、その負担を少しでも軽くすることなら、きっと出来るハズだ。
二階堂君のことを信じて、二階堂君の言うことを聞いて、その背中を懸命に追いかける。今は、それが精一杯だ。
「基本的にとはどういう――」
「平ちゃん、ちょっとストップ」
私の前を歩く小さな、といっても私と同じくらいの背丈の十河さんが、妙に鋭い声で指示を出す。いかにもプライドが高そうな平岡君だけど、不平を漏らすどころか素直に従って口と歩みを止めた。
その後ろを歩く私達も、自然とそれに倣う。
私とは違って、十河さんは自分の役割を持っているように見えた。
「……方角はわかりますか?」
平岡君の質問に十河さんの返事はない。
周囲は森、しかも小麦粉でもぶちまけたみたいな濃い霧に包まれている。比較的静かだから音は聞こえるだろうけど、確実に人が居ると判断するなんて私には絶対に出来そうもなかった。
「あ」
と、そんなピリピリする雰囲気を切り裂くように、十河さんが拍子抜けした声を上げる。その視線は正面を向いたままだ。どういうことだろうと小首を傾げる私達だったけど、すぐに響いた草踏みの音を聞いて納得する。
彼女は、堂々と正面から現れた。
茂みを割り――いや、茂みが自ら割れるようにすら見えるほど自信に満ちた笑みを浮かべて、真っ直ぐに私達の正面へと歩を進め、右手を腰に当てて立ち止まる。
それは、絵になる人だった。
この森の中、白く揺らめく霧の中、頭を垂れるように見える木々に囲まれて威風堂々と立っている彼女は、さながら森の支配者とでも思えてしまいそうなほど、この景色に馴染んで見える。もし青いジャージなんて着ていなかったら、白装束にでも身を包んでいたのだとしたら、私は間違いなく都から追われた姫が現れたと思い込んでいたところだろう。
「……姫か。厄介ですね」
そんな呟きが平岡君の口から聞こえる。
「え、本物の幽霊?」
私は素直に驚いた。
「誰が幽霊なのよ! 失礼な」
幽霊は怒った。どうやら違うらしい。
まぁ、ジャージを着ている時点で違うかなーとは思ってたよ、うん。そもそも、綺麗にウェーブのかかったボリュームのある髪をツインにしてたり、靴やリュックがやたらとピカピカで新品っぽかったり、引き締まった口元やツリ目気味の生き生きした眼差しが生気に溢れていたりと、幽霊にしては不自然な点が多い。
ただ、凄く色白だったり、背は私より少し大きいくらいなのに全然軽そうだったり、どこか現実的な存在にしては奇妙だなーと思えたから、ちょっと疑っただけの話だ。
別に羨ましいとか、そんなんじゃないよ。ホントだよ。
「森川優姫、姫はあだ名だよ」
隣にいる二階堂君が小声で教えてくれる。
なるほど、名前に姫が入ってるからなのか。
「一体何の――」
いきなり現れた女の子に、警戒感丸出しの平岡君が問い掛けようとした瞬間だった。
「来るよ。向こうからっ!」
十河さんが何かを察知して左後方へと左手を向けた。
そっちへ振り向くと同時に、茂みを突き破って何かが現れる。
最初見た時、熊か猪かと思った。青いジャージを着ていなかったら、きっと勘違いしたままだったと思う。
でも、それは人だった。私より二回りは大きいけど、確かに人間の男だった。とはいえ、熊だろうが人間だろうが、本質的にはあまり変わらない。うっかり踏み潰されたりでもしたら、ペッタンコになってしまうのは同じことだ。
迫る巨体、白くなる思考、遠くなる視界、私はただ立ち尽くすことしか出来なかった。
その固まりかけていた意識に、パチンという小気味良い音が割って入る。
反射的に目を向けると、平岡君が指を鳴らしていた。次いでその指が、左斜め前方を指差す。
刹那、私は走り出した。
いや、正確には腕を引かれて足を踏み出した。
まるで練習でもしたかのように四人の足並みが揃い、ブレることなく同じ方向へと突き進む。でも、突然の展開であるにもかかわらず、私は不思議と慌てていなかった。
遠足に慣れてきたから、というのもある。
でもきっと、二階堂君の背中が、目の前にあるからだ。
誰かを信じられるということが、こんなにも心強いのだということを、私は初めて知ったような気がした。
「白井は後を追って! 一人で構わないから確保してちょうだい」
舌打ちの音とともに聞こえた物騒な発言が背中に当たる。
振り返る余裕はない。でも、何か大きな物体が迫ってきていることはわかった。もちろん、こんな局面で何をすべきかがわからなほど間抜けじゃない。私はただ腕を振り、足を踏み出した。
右腕を掴まれていることで少しだけ走りにくかったけど、その温もりは私に勇気を与えてくれる。引っ張ってくれる二階堂君という存在がいるからこそ、背後を振り返ることなく走ることができた。
「……思ったより速いですね」
僅かに背後へ視線を送った平岡君が、少しだけ表情を渋らせる。言葉の割に慌てているように聞こえないのは、きっと彼の個性なんだろう。
「仕方ないか」
そんな発言を受けてなのか、二階堂君は空いている右手を上着のポケットに突っ込むと、何かをゴソゴソと探り始めた。
「何を――」
するつもりなのかという質問は、完成しなかった。
「少し足止めをするよ。安田さんはそのまま走って!」
「あ、うん」
掴まれていた右腕から温もりが消える。と同時に二階堂君は速度を落とし、位置を私と入れ替えた。
途端に、私は心細くなる。
今は言われるままに前を向いて全速力で走るべきだと頭ではわかっているけど、背後で起きている出来事が無性に気になった。だから走る速度はそのままに、可能な限りさりげなく首を傾ける。
視界の右端に、真剣な表情が映った。
彼は右手に摘んだ小さな白い袋――というか巾着みたいな代物を左肩の辺りから背後にヒョイと投げる。
途端にパフッと、クッションを軽く叩いたような音が聞こえた。
「うわっ!」
男子の太い声が、大きく響いて遠ざかる。大きな身体を中心にして舞い上がる白い粉が、辛うじて視界の端に見て取れた。煙幕みたいなものだろうか、小麦粉とかチョークの粉とか、そんな感じだ。
「……っくしゅんっ!」
続いて不自然に響く大きなくしゃみが、あまりにも滑稽だった。
用意周到な人だと思ってたけど、こんな物まで用意してたなんて、さすがに驚きだ。でもとりあえず、お母さんが勝手に入れてくれた電卓よりは役に立つことは間違いない。
というか、実際に役立った。
大きな男子のくしゃみは次第に小さくなり、それと共に背中を圧していた重い空気も薄くなる。とりあえずの危機は去ったと見ていいのかもしれない。
「あれって……」
ホッとして前方へ視線を戻すと、十河さんの呟きが聞こえた。
その意味するところを考える間もなく、ずっと先の茂みから長髪の女子が姿を現した。全てが曖昧に見える霧の中、しかも低い枝で所々視界が遮られる環境ではあったけど、さすがにアレが誰なのかは私にもわかる。
特徴的な漆黒のロングストレート、どこか自信ありそうな胸の張り方も彼女らしい。直接の面識はあまりないけど、それでも志道さんだということは明白だ。霧のせいで細かな表情までは読めなかったものの、おそらくは今の混乱を聞きつけて合流するつもりなんだろう。
「カナみー! 良かった。無事だったんだね」
「増田はどこですか? 一緒なのでは……」
前を走る二人は、少し速度を落としながら声を掛ける。
距離が近付く。曖昧だった輪郭が鮮明になり、その表情もハッキリと見えてくる。
整った柳眉が下がり、口元は柔らかく持ち上げられている。
それは、同性でも溜め息が漏れそうな微笑だった。
力が抜け、緊張感が解け――
「止まるなっ。走り抜けろっ!」
背後からの叫びが、状況を立て直す。
普段の彼とはまるで違う声だ。でも、ただの出任せなんかじゃない。それは私にも伝わった。きっと他の二人もそうなんだろう。二階堂君の真意は何もわからなかったけど、私達三人は緩めていた走りを引き締め、少し唖然とする志道さんの横を通り過ぎる。
そして気付いた。
彼女の背が低い、というより全体的に小柄だということに。顔付きや姿勢は間違いなく志道さんだと思うだけに、その違和感はあまりにも奇妙なイメージで私の中に刻み込まれる。
「……偽者?」
十河さんも気付いたようだ。
人より小さいと背の高さには敏感になるものだからね。
とはいえ、あそこまで近付かないと全く気付かないなんて、とんでもないソックリさんもいたものだ。もし二階堂君が叫んでいなかったなら、間違いなく騙されていただろうと思う。
ホント、さすがだね。
霧深い森をようやく抜けて、私達は蛇のように曲がりくねった急な上り坂に差し掛かっていた。さすがに諦めてくれたようで、もう追っ手の姿はどこにもない。
逃げただけだったけど、目茶苦茶疲れたよ。
「アレは、本当に志道さんではなかったんですね?」
事態が落ち着いたと判断したんだろう。平岡君が穏やかな口ぶりで突然に話を振ってくる。もちろん私に対してじゃない。二階堂君に対してだ。
「そうだけど……わからなかった?」
「違和感はありましたが、確信はありません。ただ、追ってくる気配がありませんでしたから、おそらく正解だったのでしょう。十河さんは気付きましたか?」
「通り過ぎる時に、匂いでね」
え、匂いなの?
「君は?」
「あ、私も通り過ぎた時に……その、背の高さで」
「よく気付いたね。そんなに違ってた?」
二階堂君に感心された。正直言うと、むしろ恥ずかしい。
「私、背が低いから、そういうの気になっちゃう方なんだ。ユリちゃんみたいに高かったら、きっと気にしてないと思うんだけど」
「そうなんだ。女の子の場合、高い方が気にするのかなって思ってたよ」
「うん、それもあると思うけどね」
多分、志道さんくらいが標準だ。彼女は見た目が色々と高品質だから、容姿のことでコンプレックスなんて感じたことはなかったんだろうと思う。
それはとても羨ましい。
「……やはり不思議ですね」
平岡君が振り返る。
その眼差しは、真っ直ぐに二階堂君を見据えている。射抜くほどに鋭いとは、多分こういう時に使う言葉なんだろう。
「何が?」
「体格の違いに気付かなかった貴方が、どうして二人よりも先に見抜いたのですか? 根拠は何です?」
「うーん……」
少し考えて、二階堂君は続ける。
「僕も確信があったんじゃないんだ。ただ、疑わしいと思っただけでね」
「ならば、その理由を教えて下さい」
平岡君は食い下がる。きっと答えがわからないとわかるまで追求するタイプなんだろう。きっとこういうところがテストの点に結び付いているんだろうな。
秀才は伊達じゃないってことか。
「まずは声がなかったことかな。彼女の性格なら、僕達を見掛けて何も言わないっていうのは不自然だろう。まして途中ではぐれたのなら、控えめな謝罪なり理不尽な文句なりが飛んでくると考えるべきだ」
聞けば『なるほど』と思う。でも、それをあの場面で思い付くというのは凄いことじゃないだろうか。
「次にリュックだね。彼女はリュックを背負っていなかった。もし何かトラブルがあったとしたら、ジャージが全く汚れていないのは不自然だね。いずれにしてもチグハグだ」
リュックを背負っていたかどうかなんて憶えていない。全く気付きもしなかった。
「そして最後、出てくるタイミングが絶妙過ぎた。森川さんと会う前に見ていたら、あるいは騙されていたかもしれないけどね」
え、それってどういう意味?
「確かに、姫が現れた時点で予想しておくべきだったかもしれないですね」
あれ、それで納得できるの?
「あの……」
私はおずおずと手を挙げる。
「何? み……安田さん」
み?
まぁいいや。
「順番が逆だったらって、どういう意味かわからなかったんだけど」
「それは、何ていうかな……あの二人が個人的な関係だからだよ」
個人的?
余計に意味がわからない。
「貴方は言葉が足りませんね。代わりに私が説明しましょう。あの偽者は姫に仕える忍なんですよ」
「しのび……忍者ってこと?」
いやいやいや、いくら何でも現代に忍者はないだろ。
「もちろん、森川家は現在普通の名士に過ぎませんし、主従の関係なんて彼らの中だけの話でしょう。ですが、彼はボディガードとして常に姫の近くに居ます。学校であれ自宅であれ関係はありません。もちろん、遠足の最中であってもです」
「はぁ~……」
感心するしかない。田舎は私の想像を遥かに超えているようだ。
「だから彼――山岸の出現は、姫が出てきた時点で予想しておくべきだったと言っているのです。全員の班データがキッチリ入っていたからこそ、生じたミスとも言えますがね」
「えっと……どういう意味?」
「姫と山岸は違う班だからです。そもそもクラスが違います。姫はC組で山岸はB組ですから」
「えっ、それじゃあ別の班の手伝いをしてるの?」
「そういうことです。だから私も意表を突かれたのですよ」
なるほどねー。だから二階堂君は個人的な関係って言ったのか。
でも、それって反則じゃないのかな。
まぁ、ここまで放任されているってことは別にいいのか。それに、他の班と協力してるってことなら、今の私達も人のことは言えないワケだし。
「それにしてもソックリだったね。あんなに志道さんに似てたら普段から色々と困らないの?」
という私の当然な質問に、どういうワケか全員の視線が集中した。
あれ、何か変なこと言った?
「あのさ、安田さん」
「なに?」
二階堂君は困っていた。囲まれていた時より困っているように見えた。
「あれは素顔じゃないんだ。忍ってのは伊達じゃなくて、変装や隠密といった技術を本当に持っているんだよ。もちろん情報部の大人ほど洗練されてはいないけどね」
「え……」
変装、あれが?
「ちなみに言うと、彼は男だから」
「えぇーっ!」
とても男の顔には見えなかったよ。というか、背なんて私と違わなかったじゃない。
「犬の仮面をした生徒の話って、聞いたことない?」
今まで黙って聞いていた十河さんが、人差し指をピンと立てて聞いてくる。
そういえば、そういう変わった生徒がいるけど気にするなとか、そんな話を聞いたような気もする。変なオカルト話の類かと思ってたんだけど。
「聞いたことは、ある気がする」
「それが山岸くんだよ。基本的に素顔は見せないっていう家訓なんだって。でも直接見た人の話によると、結構な美少年らしいよ」
「へぇ」
それはちょっと見てみたいかも。というか、変装しているとはいってもベースまでは変えられないだろうから、あの志道さんを見ただけでもレベルの高さは理解できる。
いずれにしても、相手にするのが厄介な相手であることは間違いない。
姫と呼ばれていた森川さんが全体のリーダーで、きっと他のメンバーを指揮していたんだろう。何となくだけど意地悪な感じがするし、姑息なこともしてきそうだ。
それに大きな男子、強いってだけならユリちゃんや杉浦君の方が上かもしれないけど、力は凄く強そうだった。あの時は不意打ちを十河さんが見破ってくれたから逃げられたけど、そうじゃなきゃ踏み潰されていたかもしれない。
この二人だけでも厄介なのに、まだ見ていないメンバーが二人いる。しかも別の班なのに協力している偽者さん、小柄で強そうって感じじゃなかったけど、変装できるってだけでも厄介だ。
正直、もう会いたくないなー。
「お、やっと来たか、海鳥ちゃん」
「遅かったな、平岡」
上り坂の終わりに、二人の男子が待ち構えていた。
杉浦君も増田君も待ちくたびれたのか、少し退屈そうだ。
「ずいぶん早かったんだね。心配してたんだけど」
さすがの二階堂君も意外だったのか、その声には素直な驚きが感じられる。
「まぁな。かなり走ったし」
「どういうこと?」
杉浦君達も襲われたってことなんだろうか。
「いや、さっさと森を抜けたいとダダをこねるワガママなお姫様が二人もいたもんでな」
そう言って親指で示す先には、並んで膝を抱える美人が二人。
ただ、その背中はいつもより小さく、しかも震えているようにすら見える。
「そっちこそどうだ? 何もなかったのか?」
「あ、えっとね、志道さんの偽者に会ったよ」
あれ、何だろう。急に寒くなったような気がする。
しかもこれは、まるで開いたままの冷凍庫から冷気が漏れ出しているみたいな、そんな感じの冷たさだ。私はその出所を探って視線を這わせ、そしてバッチリ行き当たる。
二人の視線、見開かれた四つの眼差しがこちらを見ていた。
穴が開きそうとか、そういうレベルですらない。
この世の全てを呑み込もうとしているかのように、瞳孔が大きく開いている。見ているというよりは、狙われているかのような雰囲気だ。
「えっと、ユリちゃんどうし――」
とりあえず事情を聞こうと発した言葉が、怪音によって掻き消される。それは高く大きく、神経をヤスリで削られるかのように不快な音だ。
それが悲鳴だと気付いたのは、思わず振り返った視界に大きな霧の海が飛び込んできた後だった。
久しぶりに新キャラ登場です。
もちろん、この『姫』ご一行様がこのまま終わる筈もありません。
三区白霧の森ホラー(笑)編、これからが本番ですよ。






