第三十二話 師匠は魔物!?
「ボブ!」
ギルド『ブラック・クラック』のリーダーロバート・カーターだ。
前に一度会ったことがある。
その後は会うことがなかったが、話の分かる奴だった。
「久しいなツバキ」
「誰?」
「こちらギルド『ブラック・クラック』のリーダーロバート・カーター。こっちは俺の仲間だ」
「よろしくな」
「それでボブ、一体どういうことだ良い案って?」
「秘密は守れるか?」
「その質問、あんま意味ないと思うわ」
アイスが笑った。
「確かにな。じゃあお前達を信用して話をしよう。俺んとこのパーティーは今ヴォイドが二人いる。それ以外の俺を含めた四人はユニークスキルを持っている。そのおかげで『ビルプルデスの塔』をクリアできた。ちなみにそれで俺達はBランクギルドとして認められた。だがその二人がいなければ絶対にクリアできなかった。強いスキルもステータスもない。だが、とある魔法を持っていたことで、『連携技』を発揮できた」
「『連携技』?」
俺達は首を傾げた。
そんなものを聞いたことはない。
そりゃ当然、『キズナ』からの回復呪文は連携技と呼べるかもしれないが、どうもそういう口語的な話ではないらしい。
「そうだ。特定のスキル同士を完璧なタイミングで組み合わせることで発動する」
「そんなの、聞いたことがない」
「そりゃそうだ。『連携技』が発動できるのは特定のスキルだけ。しかも必須スキルは大体、高レベルの冒険者しか習得できないようなものばかりだ。それでもって、高レベルの奴らには団結とか、チームワークとかいう考えがない。個人個人が強ければそれでいいと思っていやがる。実際、それで大体のダンジョンがクリア出来ちまうわけだ」
ボブは大きなため息をつく。
「どうやって、そんなのを見つけたんだ? 偶然か?」
「偶然といえば偶然だ。でも、たまたま『連携技』が発動できたとかそういうわけじゃない。ただ、それを教えてくれた師匠と出会えたのは偶然だな」
「師匠?」
「そう。俺はその方にお前達を紹介する。だがくれぐれも、そのことを他言するな。それだけは念を押しとくぞ」
「分かってる」
「それじゃあ明日、十時にここで」
「おう。ありがとな」
「いいってことよ」
手を振って、ボブは去っていった。
☆ ☆ ☆
翌朝、俺達は八時過ぎに集まった。
病院にオトギリを迎えに行くのだ。
「あいつ元気かな」
「案外、ダンジョン恐怖症になってたりして」
「オトギリに限ってそれはない」
「そうよね」
「そうなの?」
「そうです」
「そうかも」
「そうなんですね」
「当然」
「「「オトギリ!?」」」
背後にオトギリがいた。
「うっわびっくりした。おどろかせんなよ。ほんと気配がないんだから。ま、でも、元気で何よりだよ」
オトギリは短剣を両手で遊ばせている。
皆で色々な言葉をかけるものだから、ちょっと照れていたのが新鮮だった。
顔は見えないけど。
そうして彼女にことのあらましを説明していると、ボブが来た。
「お。全員揃ったようだな。昨日は見かけなかったのもいるが、まあいい。今から『トトトラの滝』に行く。そこからは歩きだ」
「『トトトラの滝』?」
『トトトラの滝』はC級のダンジョンだ。
景色が良いから観光客が多い。
けれどもお宝や経験値ははっきり言ってしょぼい。
「そうだ。まあついてくれば分かるさ」
そう言って、ボブは光に包まれた。
俺達も言われたとおりに『トトトラの滝』へ転移した。
「ようし来たな。幸運にも人はいない。先生はこの先にいる」
ボブは滝を指さす。
「この先って滝の先?」
「まさか滝の裏に洞窟があるなんて言わないでしょうね」
「惜しいな。元々は確かにその滝の裏に先生は住んでいたらしいが、結構人が来てしまうことに気づいて場所を変えた。ちなみに俺が見つけたときは洞窟にいた」
俺達は気になって滝の裏へ走る。
そこに洞窟はなかった。
そんな痕跡もない。
「そこじゃない。上」
「上?」
上を向くと、大きな穴が空いていた。
「今じゃあ動物の住処だろうな。ってそんなことはいいんだ。行くぞ」
そう言ってボブは滝から離れていった。
急こう配の坂道を登ってしばらく。
滝の上に出た。
まさに絶景だ。
滝を上から眺める。
「久しいなボビーちゃん」
声の主を探すが、いない。
「お久しぶりです、先生」
ボブは川に向かって御辞儀する。
そこには、一匹の魚がいた。
「なんだ、新人か?」
「「「「魚がしゃべったああああああああ」」」」」
「うるさい新人だな」
「あ、いや先生。彼らは違うんす。俺の友達で、その、連携技を」
「なんじゃいめんどいの。まーお前さんの頼みなら仕方ないな。わしはお前に救われた」
「そのことはもういいですって。でも、頼み事聞いてくれるならその恩を使わせてもらいます」
「ほっほっほ。これでおあいこだ」
魚はぴょんと跳ねた。
「それじゃあ俺は先に、仲間とレベリングがあるんで」
そいじゃーーと言いながら、光に包まれた。
「という訳で……なんじゃその目は」
「え、いや。そのお。魚が喋るの初めて見たんで」
「あ、そうなの?」
「そうなの? じゃないのよ! 普通じゃないの、自覚なし?」
「わしが優秀なのは知ってる」
「何者だ?」
「わしにしちゃあそんな変なもん被ってるお前さんに聞きたいの。……まあ自己紹介は大事か。フィ・レオじゃ。フィレオじゃないぞ。フィ・レオ。種族は『オールドフィッシュ』」
「『オールドフィッシュ』って、魔物じゃないの!!」
「そうじゃ。わしは魔物じゃ」
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