第三十話 兄弟装備を求めて
オトギリのお見舞いをしてからベルファで朝食を取る。
彼女の腕は、上位治癒魔法によって傷一つなく治った。
ちょっと問題なのは、その治癒をしてくれたのがフィンブルの夜の人だってこと。
どこで嗅ぎつけたのか、俺達の元にやってきて彼女の腕をくっつけてしまった。
なんか借りができてしまった。
そのリーダーであるスノラなんか、『もう僕達、仲間だもんね』みたいな顔で微笑んでいたし。
まあその程度で腕が治るなら安いもんか?
いや待て、そうなのか?
むしろ治してから死地へおいやる悪魔なのでは?
なんて言いながら談笑していた。
そうして話題は例の装備へ移る。
「『ヴァルパーレ遺跡』は初心者向けだし、とりあえず行ってみましょうよ」
「さんせー」
バカみたいにアイスが手をあげる。
「でも、何が条件なんだろうな。まだそう言った隠しアイテムは見つかってないらしいけど」
「うーーーん。初心者向けのダンジョンでヴォイドを連れていることが条件。もしそうだったらとっくにクリアされてるでしょうね」
「私にはさーーーっぱり」
「ま、行けば分かるさ」
☆ ☆ ☆
という訳で久しぶりにやって参りました『ヴァルパーレ遺跡』。
遺跡というだけあって、色々なお宝が隠されている。
と言っても初心者向け。たかが知れてる。
「とりあえず、かたっぱしから倒せばいいわけよね!! えーーーーーい」
アイスがはしゃいで敵に魔法を放つ。
そんなテキトーな攻撃でも敵はやられる。
なんてったって初心者向け。
イージーだぜ。
「あそーーれ」
俺も調子に乗って攻撃をする。
いとも簡単に敵は倒れる。
「「ぎゃははは八ハハハッ」」
いやーな笑いをしながら一時間も経てば、遺跡周辺の敵を一匹も残らず討伐完了。
「出ないね」
「出ないな」
宝箱が出現するとか、新たな敵が現れるとか、そう言ったことがない。
しーーーんと静まり返った中に俺達がいるだけ。
「もしかしたら、ビルプルデスの塔と条件が違うのかも」
「それは大いにあり得るな」
「だとしたらそーとーめんどそうね。これまで誰も気づいていなかった方法でしょ、そんなのそう簡単に見つからないわよ」
「前はガイア・テンペストを撃った」
「冗談だろべルビアナ? まさかガイア・テンペストが条件なわけがないって」
「そうね、それはないわよ。試しに撃ってみれば?」
俺達の煽り顔にピキッとなったようで、べルビアナは遺跡に向かって全力で
「ガイア・テンペスト!!」
を放った。
ただでさボロボロの建物が粉になった。
まあどうせすぐに再生する。
「何かしらこれ」
アイスがすっとんきょうな顔でそれを指さす。
彼女のもたれかかっていた柱の下に、ボタンがある。
結構、危険な香りがする。
急に鉄球が転がってきたり、ギロチン落ちてきたり。
「それ間違っても押すなよ」
でもそれより早く彼女はぽちっと押していた。
300年前にはそういったお決まりがなかったようだ。
地面が、音を立て始める。
俺達はすぐさま退避した。
地面が割れ、何かが盛り上がる。
現れたのは盾を構えた大きな兵士。
からくり人形のような見た目だ。
手に持つ剣や、身体の色は統一して土色。
しかし盾だけは違う。
漆黒のそれは、竜の翼を模している。
その中央には赤い宝石がハマっており、キラキラと輝く。
アオイの持つ盾に比べれば小さい。剣士用のものだろう。
カクカクとそれは動きだす。
「マジかヨ」
想像とは違う形で目標が現れた。
「『魔法付与:陽獄炎弾』!」
剣を振って敵に炎を飛ばす。
しかし敵の盾にそれを防がれる。
まるで赤い宝石に吸い込まれるようだった。
「ガイア・テンペスト Lv2!」
真正面から、一撃を放つ。
しかし簡単にそれは弾かれる。
「『シャシャラ・コフィン』!」
敵の元へと氷の塊が飛んでいく。
だがそれもまた、宝石に吸収されるようにして防がれる。
盾持ちの敵が相手なら、素早く後ろに潜り込めるオトギリが有利。
しかし今はそれが使えない。
「俺達が惹きつける! べルビアナは隙をついてぶちこんでやれ」
正面から俺が斬りかかる。
敵は当然、盾で防ぐ。
けれども気にせずに攻撃を続ける。
背後に、べルビアナが回った。
構え、それを撃つ。
「ガイア・テンペスト Lv2!!」
敵の背にひびが入り、ぼろぼろと続けて崩れていく。
全身が粉々に割れたが、盾だけは傷一つない状態で残った。
「弱いわけじゃなかったが、余裕はあったな」
それを手に取ると、スキルを覚えたような感覚を得る。
その通りに実行すると、宝石が輝く。
「アイス、何か呪文を撃ってくれ」
「分かった。『シャシャラ・コフィン』!」
躊躇いなく、俺に氷が飛ぶ。
しかし赤い宝石が光り、それを吸収した。
「やっぱり魔法吸収か、凄いなこれ」
全ての魔法を無効できるという訳ではないだろうが、ある程度のレベルなら吸収できそうだ。
そしてもう一つ、試しみる。
「えいっ」
赤い宝石が光る。
するとアイスに向かって、氷の塊が飛んだ。
「ぎゃあ!」
すんでのところでかわした。
「危ないでしょ!!」
「やっぱり吸収と放出、両方をこなせるみたいだな」
「聞いてないし」
「やっぱり、あの情報は本当らしい。条件は違ったが。でもって強力。あと一つも取れれば、かなり強くなれる!」
俺はその日ウキウキとした気分で、寝ることが出来た。
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