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第二十一話 氷の塔の竜

「なんだ、ここ……」


「情報にはありませんでした」


「てことは私達が一番乗りってこと?」


「そういうことになるな」


 またも皆で顔を合わせる。


「どうしよう」


「流石に行くのは危険よ! どうするのよS級レベルのダンジョン、いや、それ以上かもしれないわ」


「私も反対です」


「扉がない」

  

 オトギリがいつの間にか入り口の前に立つ。


「扉がないって、ダンジョンじゃないってことか?」


「そもそもいま私たちはダンジョンにいるわけだから……ああ、もう!! わけわかんない」

 

 俺は考えた。

 めちゃくちゃ気になってる。

 中に入って何があるのかを確認したい。

 だが命がかかってる。

 一時の興味で命を失うのは愚かだ。

 このことを街に戻って知らせよう。

 情報屋に言えば、かなりの金になる。

 マップもきちんと記録している。


「帰ろう」

 

 そう提案するとみんな、少しの諦念と安心が混ざったように頷いた。


 俺達は塔に背を向けた。

 来た道を戻ろうと一歩を踏み出した。

 その瞬間である。


「帰るのかい?」


 どこから聞こえたか分からない。辺りを見渡すが誰もいない。

 

「今の!」


 皆を見るが返答はない。

 

 空耳か? いや確実に女性の声がした。


 その疑問の答えは違う形で返ってくる。


「きゃあああああ!!」


 音もなく現れた幼竜三匹に、ファラが捕えられた。

 上空にいた竜を小さくしたようなそれは、機敏な動きで既に百メートル地点にいた。


「動けなかった」 


 オトギリが拳を握り締める。


「ど、どうするの」


 助けを呼ぶか?

 ここから戻って助けを呼んで、S級レベルがいつ来る?

 それまで彼女は生きているか。

 竜は人を食う。

 まして幼い竜だ。

 親は子に食事を与える。


「行くしかない」


 覚悟を決めて、俺は歯を食いしばる。


 一瞬の思考の後、みんなが肯定する。


 

 そうしてその塔に、俺達は入った。

 

 そこは幅の広い一本道。人が十人は並んで通れる。

 氷をくりぬいたような道のせいで、冷気が目に染みる。

 

 そうしてすぐに、螺旋状の階段を見つける。

 それも当然のように氷で出来ている。

 

 暑くもないのに汗が背を這う。


 階段を一段一段登る。

 不思議と足元はすべらない。


 こつんこつん、と音が反響する。


 しばらく進んでも、変化はない。

 ただ高い所を目指している。


 どれほど進んだだろうか。

 上に、光が見えた。

 

 そこを目指し、駆けあがる。


 光へと飛びこむように出る。


「ファラ!!」


 叫んだ相手が目の前にいた。

 

 その横には竜がいる。

 竜が、頬をなすりつけている。

 ファラがくすぐったそうに笑っている。

 幼竜三匹に氷のスティックをあげている。

 非常に楽しそうであった。


「えっと、どういう状況?」


「わっ!」


 背後から突然、誰かが大声を出した。

 びっくりして尻もちをつく。


「驚かせてごめん。でも、せっかくの幸運をみすみす逃すのは可哀想だったから」


 そこには少女がいた。

 氷のように透き通った髪を真っすぐ伸ばしている。

 年齢は同い年かそれより下くらいに見える。


「お、おまえがファラを連れ去ったのか!」


「いや、すまないと思っているよ。本当に申し訳ない」


 頭を丁寧に下げる。


「一体、何が目的なんだ?」


 彼女は笑う。


「今日は晴れているだろう?」


「ああ」


「モンスターもいなかったろう?」


「ああ」


「そうして私がいる」


「は?」


「つまりだね、私が今日、起きているということだよ」


 ますますわからない。


「理解が遅いなあ。どうしてわざわざ天候を悪くする? どうしてモンスターを配置する?」


 全く分からない。

 点と点が点のまま。


「つまりだねえ。私の眠りを妨げないようにするためだよ。あと、寝込みを襲われないため? ほら私かわいいから」


「そういう女はろくでもないって知っています」


「随分な反応だね、君」


 女は笑った。


「あ、あんた何者?」


「そう、それ! それを待っていた!! んっんん。あーあーーマイクチェックワンツーチェケラッ。よし! 私の名前はアイス・アブソリュート、この氷世界の覇者にして、創始者が一人。かつては氷雪の魔女として恐れられたものさ。人呼んで、アブソリュート・ゼロ! 君達もそう呼ぶといい」


 な、なんだってー。


本作を読んでいただきありがとうございます!!


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