第十四話 祝 1000レベル!
朝、俺は仲間たちに『フェイザード凍土』に行くことを提案した。
「それはちょっと難しいんじゃ」
クルクマが眉を下げる。
「あんな永久凍土、限られた人しかいけないでしょ。どうやって氷を溶かすのよ。並大抵のスキルじゃ無理よ。絶対に無理」
「ふっふっふ。お忘れかな? 今の俺にはこのマントがあるのだ!」
じゃじゃーんと俺はそれを見せる。
「まあ確かに、無理ではないかもしれないわ。でもちょっと危険よ。せめて私がレベル1000になってから……」
ははーん。なるほど分かった。どうしてこいつが乗り気じゃないのか。
いつものアオイだったら「それ面白そう! 行きましょう!」とか言うのに。
こいつ、さっさとレベル1000にしたいんだ。ていうことはもうすぐってことか!?
このギルドにはまだ1000レベル越えがいない。
悔しい、俺とアオイは子供の頃からの友達だ。
冒険者になったのも同じ時期。
それぞれ最初は別のギルドにいたのだが、まあ如何せん俺達はヴォイドだったわけで。
そんなこんなでまた集まってこのギルドを作った。
まあ詳しくはまた。
つまり俺が言いたいのは、その時に開いた差が全然縮まらないってこと!
「お前達、残金は?」
オトギリ曰く
「100000ベルド」
べルビアナ曰く
「10000ベルド」
クルクマ曰く
「5000ベルド」
ファラ曰く
「500ベルド」
アオイ曰く
「30ベルド」
「っておい30って!? 魔法使いでもないお前が何にそんなに使ったんだ!?」
「まーちょっと、色々と……」
クンクン。そういえばなんか匂うな。
香水じゃない。これは。
「なんかお前、酒臭くねえか」
ギクッというように顔が固まる。
こいつは大の酒好きだ。
この国では18歳でアルコールが飲めるようなる。
アオイの場合はビールよりはワインを飲む。
父親の影響らしい。
俺はこいつの18歳の誕生日パーティーに同席した。
だがワインをラッパ飲みで胃へ送っており、全く味わっているようには見えなかった。
「いったいいくらのワインを買ったんだ?」
「5、5000ベルド」
「ウソだな」
「どうしてよ!」
「そんなんで残金が30ベルドになるか!」
「5、50000」
全員が唖然とした。
口をぽっかーんと開けて呆然とアオイを見つめる。
「50000も使ったのか!?」
「ち、違うわよ。少し違う。昨日飲んだのは5000ベルドのワインよ。でももう一個買ったのよ。……だって1000レべ記念は祝いたいじゃない! 1973年の『ドゥ・ペロトローニ』よ! 魔法未使用で美味しいの。超のつく優良ワインよ。皆で祝いたいじゃない! ファラとクルクマは飲めないけど、他のみんなは飲めるでしょ?」
そう言われてしまうとこちらも弱い。
「そうだな。じゃあまずはビルプルデスの塔でアオイのレベルを1000にしよう。今いくつだ?」
「982]
いつの間にか結構な差が。
「じゃあ4周もすれば1000だな」
という訳で恒例、ビルプルデスの塔にやってまいりました。
十時から始まり、一時まで、レベル上げ。
一周にかかる時間もかなり減った。
その最終周。
「これで、終わりだ!」
最後は俺が『陽獄炎弾』で決めてフィニッシュ。
「来たわ、ええ確実に。なんか凄いパワーアップした気がする。スキルも増えたわ」
「おめでとう、めちゃ悔しいけど。このギルドの初四桁レベルはお前だ」
「そんな記念すべき日の宝箱はなにかしら、空気読んでよね、ほいっ」
俺は一瞬、スカッを期待した。
だが宝箱を開けると、そこには竜晶石が入っていた。
「ツイてるわね。でも、これを扱える鍛冶屋なんてそうそういないわよ」
「ま、いつか巡り合えるさ。そんなことよりステータス確認しに行こうぜ。これで999だったらそれはそれで面白いけど」
そうして昼過ぎに連盟へ行った。
「いくわよ。ハイッ!」
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アオイ・オキタ 18歳 女 レベル:1000
HP:4844/6977 MP:180/230
攻撃力 : 411
防御力 : 533
魔法攻撃力:152
魔法防御力:521
俊敏性 : 153
魔 力 : 150
スキル : メルメティックべ二ル
万羅絶無
火絶の衣
風絶の衣
氷絶の衣
エヌラ・バースト
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ユニークスキル : 未開放
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「うわ何だこのステータス」
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