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第333話

「エルフのくせにやってくれるじゃないか」


 ケイたちの攻撃によって片足が吹き飛んでいるのにもかかわらず、サンティアゴは感心したように話しかけてくる。

 動じている様子はなく、薄っすら笑みを浮かべている様にすら見える。


「フンッ!」 


「「っ!!」」


 追い打ちをかけようかと思っていたケイとカルロスだったが、サンティアゴの魔力が膨れ上がったことで躊躇う。

 何をするのかと思っていると、その膨れ上がった魔力が足へと集まって行き、ボコボコと音を立てるようになくなった足が生えてきた。


「再生するのか……」


「その通りだ」


 吹き飛んだ足が、何もなかったかのように元に戻ってしまったのを見てのケイの呟きに、サンティアゴは頷く。


「ギジェルモって奴と同じか……」


「んっ? もしかして、お前があいつを殺ったのか?」


「あぁ、そうだ」


「そうか」


 以前ケイが人族大陸で戦ったヴァンパイアのギジェルモと同様に、サンティアゴも再生する能力を有しているようだ。

 その名前が出たことで、サンティアゴはケイがギジェルモを殺したのではないかと考えた。

 そしてそれを確認するために問いかけると、思った通りの答えが返ってきた。

 自分に攻撃を与えることができる程の実力なのだから、ギジェルモにも攻撃を加えることはできてもおかしくない。

 そのため、答えを聞いたサンティアゴは、納得したように頷いた。


「……奴と同じ再生の割には魔力の消費が少ないな」


「当然だ。我々の再生術を奴が真似たのだからな」


『他の3体も同じって事か……』


 ギジェルモのように、魔力を消費することで再生しているのだろう。

 しかし、その消費魔力には差がある。

 ケイが戦った時、ギジェルモは再生にかなりの量の魔力を消費していた。

 その時ギジェルモが使った魔力の牢と比べると、サンティアゴは半分の魔力しか使用していないように思える。

 その疑問を口にすると、サンティアゴは隠すことなく種明かしをしてきた。

 サンティアゴの再生の方がオリジナルで、ギジェルモの再生の方がコピーだったようだ。

 しかも、サンティアゴの台詞の中には、我々(・・)という言葉が入っていた。

 つまり、いま各地に現れているサンティアゴ以外の魔王たちも、同じように再生術が使えるということだ。

 エルフ王国やドワーフ王国に現れた魔王たちも再生術を持っているとなると、相手をすることになる息子のレイナルドたちは相当な苦労をするだろう。


「全く厄介な連中だ」


 せっかく大ダメージを当てたというのに、魔力を消費するだけで治せてしまう。

 逆にこっちは再生するのに長期の機関を要するため、注意深く戦わなければならない。

 それだけでも面倒な相手に、カルロスは思わず愚痴った。


「何にしても魔族なら魔石があるはず、それを破壊すれば魔王だろうと倒せるはずだ。とは言っても、簡単にはいかないだろうがな」


「了解」


 ギジェルモの時のように再生で魔力を消費させるにしても、相当な回数の再生をさせなければならない。

 それよりも、どこかにあるであろう魔石を破壊する方が確実だろうが、当然サンティアゴがそうさせてくれるわけがない。


「最悪、あれ(・・)も視野にいれておかないとな」


「……分かった」


 魔王という存在のことを知り、ケイは色々と準備をしていた。

 戦って倒せるならかまわないが、最悪の場合倒せない可能性もある。

 その時のために、ある方法を考えていた。

 それがケイの言うあれ(・・)だが、それはあくまでの最終手段。

 ケイの言いたいことを理解しているカルロスは、短い言葉と共に頷きを返したのだった。


「さて、久々の戦闘を楽しませてもらおう」


「行くぞ!」


「おうっ!」


 先程攻撃を受けたことによって真面目に戦う気になったらしく、サンティアゴは指を鳴らす。

 魔石を破壊するなんて簡単にできるとは思っていないが、他の魔王のこともある。

 そのため、ケイはカルロスと共にサンティアゴを少しでも早く倒すべく、左右に分かれるようにして走り出した。


「ヌンッ!!」


「「……っ!!」」


 左右に分かれたケイとカルロスは、無言でサンティアゴへと襲い掛かる。

 しかし、2人が攻撃をする寸前に、サンティアゴはこれまで以上の魔力を全身から放出する。

 危険を感じた2人は、攻撃を中断して後方へと距離を取る。


「ハッ!!」


「くっ!!」


 魔闘術の魔力量を増やしたサンティアゴは、右手側にいるカルロスに向かって手をかざし、巨大な火球を放った。

 直撃しようものなら火傷では済まない攻撃を、カルロスは横へ飛び退くことで躱す。


「ラァーッ!!」


「っ!!」


 カルロスに火球を放ったサンティアゴは、反対側にいるケイへと迫る。

 サンティアゴの手には、いつの間にか剣が握られている。

 その剣を使い、サンティアゴはケイの胴体へと攻撃を仕掛けてきた。


「……!!」


「っ!?」


 距離を詰められたケイは、迫り来る剣を左手に持つ銃で受け止める。


「シッ!!」


「ガッ!?」


 攻撃を防ぐとともに、ケイはすぐさま反撃に出る。

 銃を持ったまま下から突き上げるように顎を殴りつけ、サンティアゴを仰け反らせる。


「ハッ!!」


「ゴッ!! ヘブッ!! カッ!!」


 殴りつけて仰け反らせたケイは、そのまま右手首を捻り、銃口をサンティアゴの胴体へと向ける。

 そして、そのまま3連発の魔力弾を放ち、サンティアゴの胴体に穴を穿った。


「ダッ!!」


「グッ!!」


 魔王と呼ばれるような存在が、胴体に穴をあけたくらいで死なないことは同じ再生術を使うギジェルモとの戦闘で理解している。

 少しでもダメージを与え、再生をおこなわせることで魔力を減らす。

 そのために、ケイは追撃としてサンティアゴの脇腹へミドルキックを放つ。

 直撃を食らったサンティアゴは、そのまま横へと吹き飛ばされた。


「痛いじゃねえか!」


 吹き飛ばされたサンティアゴは、空中で体勢を整えて着地をするとすぐさま体に受けた怪我を治し、すぐさま反撃をするつもりなのか、ケイに左手を向けて魔力を集める。


「ガッ!?」


 しかし、その魔力で攻撃をする前に、サンティアゴの背中に強力な痛みが生じる。


「貴様!!」


「お返しだ」


 背中に受けたのは火球。

 先程火球の攻撃を放たれたカルロスが、そっくりそのまま同じくらいの攻撃をサンティアゴの背後から仕返ししたのだ。

 しかし、魔族の王という肉体だからなのか耐久力が高く、背中一面に火傷を負っただけで、すぐに再生されてしまった。


「魔力は多くても動きが雑だ!」


「チッ! 『いまいち動きにくい。起きたばかりだからか……』」


 込めている魔力が多く、一発一発の攻撃の威力はある。

 しかし、ケイが言うように雑過ぎる攻撃のため、防ぐくらいたいして難しくもない。

 少し動いてみて、サンティアゴは自分でも動きがしっくりこないのが分かる。

 どれほどの期間寝ていたのか分からないが、起きたばかりで体が思ったように動いていないのだと内心で判断した。


「カルロス! こいつはギジェルモ同様、頭部に魔石があるみたいだ」


「了解!」


「っ!? ……そうか、さっきの攻撃は心臓付近を狙ったのか」


 先程の攻防で、ケイはサンティアゴの魔石のある場所の特定をした。

 その言葉を受け、カルロスは返事をする。

 2人の会話に、サンティアゴは何故それが分かったのか不思議に思った。

 しかし、さっさと治してしまったで気付くのが遅れたが、ケイに受けた3発の魔力弾は、心臓付近に集中していた。

 魔物の体内で魔石があるのは、心臓付近にある場合と、頭部にある場合が多い。

 それを確認するために、再生されると分かっていても攻撃をしてきたのだとサンティアゴは理解した。


「仕方ない……」


「「んっ?」」


 寝起きで体が思うように動かない。

 この状態でこの2人の相手は少々危険と感じたのか、サンティアゴは一言呟くと地面に手をついた。



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