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第165話

《それでは大会2日目を開始します!》


 ツピエデラの町の釣り大会に参加しているケイたち一行。

 今日はアナウンスの通り大会2日目になる。


「総合優勝を狙うわ!」


 昨日思わぬ大逆転劇によって、1位の座についている美花。

 今日の勝負で上位に立てば、総合優勝も夢ではない状況だ。

 そのため、美花が気合を入れているのも分からなくはない。

 しかも、この獣人大陸で人族の参加など滅多にないことなので、初優勝になるかもしれない。

 魚の長さ勝負となっていた昨日、人族の美花が1位になったことで多少のざわめきがあったのはそのこともあるのかもしれない。


「昨日は結構釣れたし、今日も同様なら我々ももしかしたら逆転できるかも……」


「ですな!」


 昨日の長さ勝負は1cmで1ポイント。

 つまり、美花は昨日のポイントは106ポイントになる。

 そして、今日の勝負は、釣った魚の全部を計りに乗せた時の重さであり、要するに総重量だ。

 1kgが1ポイントとなるので、どんな大きさの魚であろうが、数を釣った方が当然有利になる。

 ケイとリカルドも、昨日と同程度の釣果ならば上位に入ることも不可能ではないため、まだやる気は十分ある。


《よ~い! 始め!》


 開始の合図と共に3人は糸をキャスティングした。

 釣り場所は昨日と同じ場所。

 美花に場所をずらすか尋ねたが、昨日の運を信じたいと移動はしないことにした。






「昨日より釣れないですな……」


「ですね……」


 始まって1時間。

 ケイたち3人は、ヴィシオンを1匹ずつというなんとも残念な状態だ。

 昨日ほどの当たりがないことに、リカルドが少し残念そうに言葉を漏らす。

 近くのケイも同様なため、ずっと水面を眺めているだけの時間が続いている。


「ん~……、あっちに魚群が行ってるのかもしれないですね」


「かもしれないですな……」


 対岸を眺めると、他の大会参加者がムヘナを釣り上げているのが見える。

 そのことから、自分たちが釣れないのは魚群が対岸に向かっているせいだと判断した。

 同じ光景をみているため、リカルドも同様の感想を持つ。


「待つしかないかな……」


 昨日もそうだが、魚群は湖にいくつかある。

 その魚群はちょこちょこ移動しているらしく、参加者の誰もが釣れる時間と釣れない時間がやってくる。

 その時間が来るのをじっと待つしかないと、ケイは諦めた。






「あっ! 来た!」


「私も!」


 開始してから3時間が経過して頃、ケイと美花の竿がほぼ同時にヒットした。

 2人ともリールを巻き上げ、何が掛かったか楽しみに待つ。


「ヴィシオン!」


「ロッカードだ!」


 釣り上げたのは、ケイがヴィシオン、美花がロッカードだった。

 この湖でよく釣れるのはヴィシオン、ムヘナ、ロッカードの3種。

 その中でもロッカードが大きく育つ傾向にあるので、これを多く釣ることがポイント獲得に有利に働く。

 釣れたのがヴィシオンで、ちょっと残念なケイと、ポイントに有利なロッカードが釣れて喜ぶ美花で反応が分かれた。

 

「よし! 来た!」


「来た!」


 今度はリカルドに当たりが来る。

 そして、その少し後にまた美花にも当たりが来た。


「むっ? ヴィシオンか……」


「ムヘナだ!」


 リカルドにかかったのはヴィシオン、美花にかかったのはムヘナだった。

 しかも、美花のムヘナはかなりの大きさだ。


「しかし、流れが来たかもしれないな……」


「そうですね」


 釣れたのがヴィシオンだったとはいえ、当たりが来るようになったのは好機だ。

 どうやら、待っていた魚群がこちらに流れてきたのかもしれない。

 ここからが追い上げだと、ケイとリカルドは意気揚々にキャスチングした。


「来た!」「ヒット!」


 美花とリカルドの竿にまた当たりが来る。


「ロッカード!」「ヴィシオンだ」


 釣れたのはまた美花の方が大きい魚。


「「来た!」」


 今度はケイと美花に当たりが来る。


「ヴィシオン……」「ムヘナだ!」


 またも釣れたのは美花の方が大きい魚。


「……何だか美花にだけ大きいのが掛かってる」


「これでは昨日と逆転してるな……」


 ケイとリカルドは少々落ち込み始めた。

 釣れていることは釣れているのだが、ヴィシオンばかりでは上位に食い込むことはできそうにない。

 しかも、昨日1位の美花が数でも種類でも上に行っている。

 どんどん離されて行っている状況では、気落ちするのも仕方がない。






《終~了!!》


 5時間の制限時間が終了した。

 これによって、今日の重さ部門の確定順位が巨大掲示板に張られていく。

 ケイとリカルドは、流れが来てからヴィシオンばかり。

 それでも結構な数を釣ったが、昨日の順位からはそうそう変わらず、200人程の中で100位前後。

 ケイが104位で、リカルドは92位。

 2桁と3桁でだいぶ嬉しさが違い、リカルドはこの順位でもホクホク顔。

 ケイはがっくり肩を落としていた。


《皆さんお疲れさまでした! これより総合順位の結果発表を行いたいと思います!》


 大会も終わり、重量部門の表彰の後に、総合順位の発表が行われた。

 そして、その表彰が終わり、大会の日程は終了したのだった。


「やったね! トロフィーもらっちゃった!」


 ケイたちの下に戻ってきた美花は、嬉しそうに魚がてっぺんに付いた小さめのトロフィーを持って来た。

 今日の美花の順位は13位。

 最初の方に釣れなかった分を残り2時間で挽回したのだが、それでも上には上がいた。

 魚を山のように釣った強者がおり、結局総重量部門の1位が今年の優勝者になった。

 美花は残念ながら総合3位。

 とはいえ、人族では初の快挙に、参加した獣人たちは拍手を送っていた。

 その光景を見て、ケイは何とも嬉しい気持ちになった。

 獣人と人族は、あまり関係が良くない。

 しかし、ケイたちの住むアンヘル島ではみんな仲良く暮らしている。

 ここでもそれと同じ光景が見れたから嬉しかったのかもしれない。


「記念になったな……」


「えぇ!」


 色々な意味で、美花が取ったトロフィーの感想を言うケイ。

 それとは違い、単純に上位になれて嬉しかった美花。

 その日の夜はまたも魚料理に舌鼓をうちつつ、美味い酒が飲めた2人だった。



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