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第159話

「おっす、終わったぞ」


「お帰り」


 サンダリオを始末し、基地内から転移したケイたちは、レイナルドのいる山へと来ていた。

 そこから見下ろすと、虫の魔族によって呼び寄せられた魔物の生き残りを、リシケサの兵たちが始末しているのが見える。

 まさか、そうしている間に自分たちの王が殺されているとは思ってもいないだろう。


「リカルド殿があっさりと済ませてくれたよ」


「ハッハッハ……、殴ったら一発だったわ」


 どういう風にサンダリオを始末したのかをレイナルドへ話そうとしたら、リカルドが笑いながら説明した。

 おかげで、ケイが説明する手間が省けた。


「父さんたちが殺ったって分かるの?」


 リカルドならサンダリオをあっさり殺ってしまっても仕方ない。

 なので、そこには何も思わないが、殺した人間がエルフや獣人だと広まらないと抑止力に繋がらないと、レイナルドは心配になった。


「豚みたいな貴族の男がいたから、そいつ脅して広めるように言ってきた」


 レイナルドの質問に、ケイは答えを返す。

 サンダリオの側にはアレホとか言う太った貴族がいたので、ケイたちが脅してきたことを告げる。

 ケイに対しても恐怖を抱いている様にも見えたが、リカルドに念を押されたら反故には出来ないため、恐らく言われた通りに広めてくれるだろう。


「そいつで大丈夫なの?」


「豚でも辺境伯らしいから大丈夫だろ?」


 脅したからと言って、そいつの言うことを信じる者がいるか分からないため、レイナルドは不安そうに尋ねる。

 たしかに、アレホの奴しか目撃者がいないのでは、信用してもらうことができるかどうか分からない。

 むしろ、犯人として捕まるかもしれない。

 それでも辺境伯の地位にいるような男なら、きっと何とかしてくれるだろう。


「あっ!?」


「んっ?」「ムッ?」


 ケイたちが話していると、基地の方で何か動きがあった。 

 先程ケイたちが言ったような特徴を持った太った男が、基地から出て来て何か騒ぎ始めていた。

 それを、ケイとレイナルドは望遠の魔法で、魔法が苦手なリカルドは、望遠の魔道具を使ってそれを眺める。

 

「もしかして、自分が見つけた時にはサンダリオが死んでいたという風に説明しているのかな?」


「……かもな」


 基地から出てきたアレホは、身振り手振りで他の兵たちに説明をしているようだ。

 アレホのいうことを確認するためだろうか、近くにいた兵たちはすぐさま基地内へと走り始めた。

  

「もしかしたら、犯人はまだ基地内にいると言っているのかもしれないぞ」


「なるほど……」


 ケイとリカルドは基地内から転移してきたため、近くにいた兵たちは基地から出てきた者はいないと分かっているはず。

 アレホも、廊下を見たらケイたちの姿が消えたようにいなくなったと思ったはずだ。

 王都の城を攻め込んだエルフと獣人は、大量の兵に包囲された状態から姿を消したと広まっている。

 それを利用して、ケイたちが今回の犯人だということを広めるつもりなのかもしれない。


「あいつ、なんだかこれで撃ちたくなるな……」


 レイナルドの言うこれ(・・)とは、遠距離狙撃用のライフルのことだ。

 逃走を計ろうとした虫の魔族の邪魔したのは、実はレイナルドだった。

 逃げられて魔族の仲間を増やされでもしたら、自分が相手するときかなり面倒なことになる。

 人よりかは対処しやすいという思いがあったとしても、数が多ければ魔力が最後までもつか不安になる。

 人族の連中は好かないが、ここで始末しておいた方が良いと判断し、ケイから預かったライフルを使って逃走阻止をしたのだ。


 アレホが騒いだことで、段々と兵が基地に集まってくる。

 魔物の次は、王を殺したエルフと獣人の相手をすることになった兵たちは、疲労しながらも気合を入れた表情で基地内へと入って行く。

 それを見て、アレホはどことなくどや顔をしているように見える。

 その顔が気に入らないのか、レイナルドは物騒なことを言い出す。


「やめとけよ。あんなのでも役に立つんだから」


「分かってるよ」


 ちょっと本気で言っているように聞こえたので、ケイはレイナルドに注意をする。

 レイナルドも本気で言ったつもりはないので、ちゃんと否定する。


「仕事があることだし、そろそろ帰ろうか?」


「そうですね」


 今回リカルドは、国内での書類仕事をしなければならなかいため、見に来ることができないでいた。

 しかし、やっぱりリシケサの王都襲撃で仕留め損ねたサンダリオの始末を見届けたいだろうと、ケイはリカルドの息子のエリアスに頼んで連れてくることに成功した。

 ただし、絶対に今日のうちに帰ってくるように念を押された。

 それをしないと、王妃のアデリアが何をするかわからないと脅しがあったため、リカルドは顔を青くして頷いていた。

 ケイからするとアデリアはそんなに怖いようには思えないが、リカルドが怯えるほどなのだから、それはきっちり守ることを約束した。

 リカルド1人だけなら長距離転移もそれほど苦ではない。

 目的のサンダリオの始末も済んだことだし、約束通りリカルドをカンタルボスの国に送り届けるため、ケイは転移魔法を発動させた。


 人族の襲撃から始まった今回の出来事は、こうして静かに終わりを迎えたのだった。



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