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第116話

「……結果オーライかな?」


 敵兵たちは、いきなり現れた人間がハーフエルフだと分かり、さっきまで獣人を殺すことに意識を向けていたのを忘れて、全員がレイナルドに目を向けた。

 ニンジンをぶら下げた馬のように、彼らは血走った目で見つめてくる。

 さっきの呟きを聞くに、自分たちエルフの捕獲には報酬が出ているのかもしれない。

 それはそれでイラッとするが、注意がこちらに向いたのは好都合だ。


「俺がもらった!!」「いや俺だ!!」


 褒美目当てなのだろう、彼らは我先にと手を伸ばしてきた。

 ドンドンと群がってくる。


「愚かだ……」


 褒美に目がくらみ、さきほど仲間が1人殺され、足を撃たれたことを忘れているらしい。

 あまりにも見苦しい者たちに、レイナルドは綺麗な顔を歪めた。

 そして、その表情のまま、レイナルドは銃を連射した。

 すると、レイナルドに向かってきた敵兵たちは、頭に穴を開けてバタバタと倒れて行った。


「「「「「っ!?」」」」」


 レイナルドの捕獲に出遅れた者たちは、この結果に目を見開く。

 さっきまで喜び勇んでいたのにもかかわらず、何が起きたかも分からないまま仲間が死んでいったからだ。


「な、何が起きた……?」「エルフは弱いんじゃなかったのか?」「ハーフだと違うのか?」


 あまりにもあっさりと仲間を殺したレイナルドに、敵兵たちは狼狽える。

 その手際もすごいが、そもそもエルフは生き物を殺すことを禁じていたはず。

 それを、目の前のエルフはあっさりと破っている。 

 ハーフだからあり得ないということなのだろうか。

 そもそも、殺された彼らは曲がりなりにも毎日のように訓練を繰り返してきた者たちだ。

 弱いことでも有名なエルフに、こんなにも簡単に殺されるような者たちではない。

 そのため、この結果が信じられず、人族兵たちは動きが固まった。

 レイナルドにとってその隙はありがたい。


「フッ!!」


 銃を構えて軽く息を吐く。

 そのあと一気に力を込める。

 レイナルドの銃から放たれた弾が、周囲の敵の頭を貫き、物言わぬ骸と化していく。

 頭を撃っても死なない虫型魔物とは違い、人間は頭を破壊すれば反撃してこないので楽だ。

 そんなどうでも良いことを考えながら、レイナルドは更に引き金を引いていく。


「ずいぶん減ったな……」


 かなりの数を撃ち、ちょっと疲れたレイナルドは撃つのをやめて一息ついた。

 100人近い数に囲まれたいたが、さっきので3割は減らせたかもしれない。


「ヒ、ヒィ……」「な、何で……」


 敵兵たちは、数ではまだまだ勝っているにもかかわらず、攻めかかれば一瞬で脳天に風穴を開けられると理解し、恐怖で攻めかかる事出来ず、腰が引けて後退りし始めた。

 中にはもう逃げだしている者までいる。


「ぐへっ!?」


「おいおい! 逃げちゃダメでしょ!?」


 逃げ出した者が来た道を戻っていくと、3人の男たちが現れ、先頭を歩いていた男が逃げ出してきた者の1人の首を、何の躊躇もなく斬り飛ばした。

 それを見たからか、同じ目に遭いたくないと思った者たちは足を止め、回れ右をした。


「……来たか?」


 迫っていた魔力の高い者たちは、どうやら彼たちだろう。

 目当てだった者たちが現れ、レイナルドは少し警戒した。


「……ハーフエルフだ」


「そうだな……」


「褒美がもらえるんだろ?」


 槍を持つ男、斧を持つ男、剣盾を持つ男と順に話す。

 やはり自分たちエルフを捕まえると、褒美がもらえるようだ。


「捕まえられるとは思わないがな……」


「……何だと?」


 レイナルドは独り言として呟いたのだが、どうやら耳が良いらしく槍の男が反応してきた。


「耳が良いな? まぁ、聞かれても構わないがな……」


「……こいつ、エルフのくせに生意気だな?」


 レイナルドは、今度はわざと聞こえるように話す。

 すると、3人とも腹を立てたのか、眉間にシワが寄った。

 そして、やる気になったのか、3人とも魔力を纏い出した。


「誰がいく?」


「コインを持っていないか?」


「今回の旅で使うことはないと思ったから持ってきてないな……」


 3人は余裕なのか、戦う者を決める話し合いをし始めた。

 彼らが戦うような雰囲気になったので、巻き添えを食らう訳にはいかないと、他の兵たちは少し後方へと退避した。


「…………結果は分かってるんだから、3人同時にかかって来いよ」


「「「あ゛っ!?」」」


 レイナルドからしたら、別に1人だろうと3人だろうと変わりはないように思えた。

 そのため、冷めたように呟いたのだが、舐められていると判断した3人は、思いのほか頭に来たらしく、目つき鋭くレイナルドを睨みつけた。


「奴が良いって言ってるんだ、少し痛めつけてやろうぜ!」


「「あぁ……」」


 斧の男が出した案に、他の2人も乗っかった。

 軽く小突くだけで済ましてやろうと思っていたのだが、レイナルドがあまりにも舐めたことを言ったので、骨の2、3本くらい折ってやろうと密かに思った。

 他の2人とも同じように考えているのか、完全にやる気満々の顔をしている。


「行くぞ!?」


「おうっ!!」「あぁっ!!」


 槍の男、ヘルバシオ。

 斧の男、コルデーロ。

 剣と盾の男、ビルヒニオ。

 レイナルドは銃を片手に、この3人に対して構えを取ったのだった。



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