第1章 第3話
私の知らない間に異世界と交信していたようです。
「...あの、私交信した記憶なんてないのですが。」
「は?」
久しぶりKさんの口が開きました。
「だから、私は交信した記憶がありません。」
ミミとKさんが顔を見合わせています。
しばらくして、ミミが切り出しました。
「本当に記憶が無いの?」
「はい」
「でも毎晩空に向かって唱えてたやん」
「それは、覚えていますけど、特別交信していると思っていませんでした」
「ユミユミ、なんかアクセサリー付けてない?」
アクセサリー...
私が肌身離さず付けているこのアンクレットの事でしょうか。
「これ...ですか?」
「ちょっと見せてな」
と言い、ミミはしゃがみ、私のアンクレットに手をかざしました。
すると、
ポウッ
っとアンクレットから光が溢れてきました。
「えっ!なんですかこれ!」
「ふぅ、これが原因か」
とKさんが私のアンクレットを手に取り、まじまじと見て言いました。
「K君、それ、どこで落としたん?」
「いや、これは落としたんじゃなくて、あげたやつ」
「あぁそ、なぁユミユミ、これ誰からもらったか覚えてる?」
もらった...もの...なのでしょうか。
小さい頃から付けていたせいかどうやって手に入れたのか忘れてしまっていました。
「覚えてません...すみません。」
「あ、あぁ、謝らんとって?ユミユミは悪くないから!」
「せやな、あんたは悪くない、俺が勝手にあげただけやし、あんた小さかったからな」
「え...私に会ったことがあるのですか?」
「せや。俺がまだプロダクションを立ち上げた頃、旅行でそっちの世界に行った時にな」
全然知りませんでした。
「すみません...」
「あぁだから謝らんとって〜」
「でもどうしてこれであなた達の所に私の声が?」
「これは通信機なんや」
...どうしてそんなものを私に渡したのでしょう
「なんで渡したんやって顔してんな」
とKさんは笑いました。
「これな、K君の姿見て怖がってユミユミが泣きじゃくって、あやすために渡したんやって!」
とミミがケラケラ笑いながら説明しました。
「...って事は私が毎晩空に向かって唱えてた事はすべて知っているってことですか?」
「あったりめーよー!」
恥ずかしい話です。
「まぁまぁ、そんな黙り込まずにさぁ?本題を忘れたわけとちゃうやろ?」
...!
「その顔は忘れてたって顔やな」
「すみません」
「ええで、で?アイドルになる気になった?メリットもあるし、苦手克服のチャンスやない!?」
「...そうですね」
キョトンとした顔でミミが私の顔を見つめていました。
「ど、どうかしましたか?」
「ユミユミが笑ったとこ初めて見た...!」
「なっ、そんな事...!」
「んわ〜!これでミミユミ結成やね!」
ミミユミ...
ユミユミの時にも思いましたがもしかしてミミはネーミングセンスというものが備わっていないのでしょうか。