第1章 第2話
小学生だと思っていたミミはまさかの年上でした。
ぐすっ、ぐすっ、と鼻をすすりながらミミは
「それでさぁ...ユミユミはアイドルなってくれんの...?」
と聞いてきました。
正直、私は人前に立つことなど苦手中の苦手で、ましてやアイドルなんて...と断るつもりでした。
「いや、先が見えてない職にはつきたくありまs...」
ガシッ
ミミが私の服の裾を掴みながら
「お願い!頼むわ!ユミユミにしか頼まれへんねん!アイドルになってや!」
とボロボロと涙を流しながら私に懇願してきました。
いやいや、まず住む世界が違うし、どういう生活になるのかも分からないのになれるわけがありません。
「あなた達の説明だと私にメリットがありませんし、私は人前で立つことが苦手です。運動音痴でダンスだって踊れそうにありません。それでも私に頼むのですか?」
「...ユミユミさぁ、こうやって今ちゃんとウチらに意見言えてるしさぁ、見た目だって最高の逸材なんやで?あと、ダンスはウチがみっちり教える。」
「そうは言っても私の元の世界での生活はどうなるのですか?」
「ユミユミ、元の世界での生活に満足してた?毎日のように夜空に向かって『こんな生活嫌です』って交信送ってきてたのに?」
...っ、なぜそんなことを知っているのでしょうか。
確かに私は元の世界での生活は嫌になっていました。
学校での人間関係、成績などの悩みももちろんありました。
でもそれより...
「ユミユミ、ずっと自分の恋愛対象になやんでたやん」
!?
何故...
「そんなことありません。その事で困ったことはありません。」
「嘘や。毎日毎日誰かにカミングアウトして楽になりたい、受け入れてくれる人が欲しいって唱えてたやん。」
「...っ」
「それに、困ったこと無いって言うけど、誰にも言わんからやろ?やから困ったこと無いように見せてるだけやろ?」
確かに、毎晩空に向かって唱えていました。
それに、ミミが言うことは何一つ間違っていません。
でも...なぜ知っているのでしょう。
「ユミユミ、この世界にはセクシャルマイノリティの人は少なくないんやで」
「えっ...?」
「現にウチはバイセクシャルやし、友達にも多いで」
「あの、私にとって住みやすい世界であることはわかりました。でもどうして知っているのでしょうか。」
「なんでってユミユミが交信してきたからやん」
「え?交信?いつ...?」
「毎晩やで?」
交信なんてした覚えないです...