想えば、
故郷の景色を思い出す
あの春の、桜の香りと草木の匂い
夜の星は霞んで見えず、ただ、ただ春の香りが通っていく。
あの夏の、強い日差しの中を走り回ったあの日々は、笑顔と共にひまわりと背比べしながら過ぎて行く。
お祭りで、あの子とともに回った出店では、今も尚、心の奥の片隅で線香花火のように輝いては、少しの風で消えてしまう。
あの秋は、月を愛でて、寒く成り行く季節だと寂しそうに呟く君の横顔、儚げで、愛しい、朧気で消えてしまいそうなあの日々は、私の気持ちを知っていたかのように、瞬く間に姿を変えていく。
あの冬の、冷たい風に頬を赤らめ、透き通った冬の匂いが通り行く。
雪もふり炬燵で暖まり、夕飯は鍋が定番だったのも思い出す。
夜の空、オリオンの一等星が輝きて、また春の訪れを楽しみにしながら、今日もゆく。