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キャンプだホイ
パチパチ
捌いた肉から香ばしい香りがしてくる。
夜営道具として持ってきた串に刺した肉がそろそろ食べ頃だ。
じっと黒ずきんを見るが、なにも話さない。
名前を名乗ってくれないので黒ずきんと心の中で呼んでいるが、いざというときに困るので意を決して話しかけた。
「失礼ですが、お名前を御聞きしても宜しいでしょうか?」
「何も聞いていないのか?」
不思議そうに此方をみる黒ずきん。
顔の上半分が隠されているためつつい唇をみてしまう。
「ええ、護衛対象の方を送り届ける場所と期間くらいしか」
「そうか…………」
それきり黙ってしまった。
名前を尋ねようとしたのだが、
もしかして名前を知られてはいけない方なのかもしれない。
王族関係の方?
だとしたら、あの異様なオーラにも頷ける。
王族は元々は龍だった。
昔、龍と人が当たり前に一緒に生活をしていた時代。
龍が王国を治める王族として君臨していたのだ。
強く聡明な龍は素晴らしい治世を行った。
いつの間にか龍は滅んでしまい、
現在は人間が王族となっているが龍の血が流れるだけあって普通の人間とはオーラが違う。
覇者のオーラ、とも呼ばれるものだ。