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逃げずに戦います

貰った光る蓮の花、略して光蓮を鎧のチェーン部分に挟んで歩く。

光っているので灯火としても機能をはたしている。


「……」


無言で歩きながら名前すら名乗らない護衛対象をチラチラとみる。

俺の背より拳1つ分くらい小さく、全身をみれば脂肪があまりついていないのかほっそりしている。

首もとにストール(言わずもがなこちらも黒一色)を巻いてあり、喉仏の有無は確認できない。

口元をみると土気色をしているのだが、不調そうには見えずしっかりとした足取りで道なき森の中を歩く。

手の大きさも俺より小ぶりだが女性とも男性ともつかぬ形をしている。

つまりは性別不明、名前不明、恐怖を感じるレベルで強い全身真っ黒な危険人物である。


高貴な御方だと名称や正体を隠して護衛するが・・・騎士団長から特に何も聞かされてはいない。

そもそも護衛は不要なのではないだろうか。


「きたぞ」


「ガウッ!!!」


モンスターが鋭い爪で飛び掛かろうとしている。


「お下がり下さいっ!」


背負っていた盾を構えて、守るためにモンスターの前に躍り出る。

言葉と共に自分に敵意が集中するように暗示をかけた。


ガキン


爪の攻撃を防いだ瞬間、隙ができたのを見計らって剣をふるう。

狙い通り首に一閃、次に怯んだ相手の胴体にある心臓を貫く。


「終わりだ!」


確かな手応えと声にならない断末魔を叫んで、倒れた。


ドッ


自分より1.5倍程大きい4足歩行の肉食獣、森と同化するために緑色と茶色のまだらな短い体毛をもち、周囲の音を拾う三角形の耳と動体視力が良い瞳を1対、口には獲物を離さぬような牙と足先に長く鋭い爪をもつ。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫だ、これを今日の晩御飯にする。日暮れが近い」


「御意」


「捌けるか?」


「はい、ご心配には及びません。早速血抜きを行います」


「そうか、なら私は燃やすようの枝でも拾ってくるか」


「え!いえ、此方で少々お待ち下されば私が用意致しまので……お心遣い痛み入ります!」


「ふ、そこまで言うなら待つ」


初めて微笑むのを見た瞬間、心臓がどくどくと早鐘を打つように鼓動を強めた。

恐怖とは違う何かを感じたが頭をふって気分を切り替えてモンスターの血抜きを始める。

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