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第30主:魔力じゃない別の何か

「あの……店長」


「ん? どうしたんだい?」


「髪留めってあります?」


「髪留め? ……あぁ。あるよ」


 シュウの発言に何かを察したのかニヤニヤと店長が笑う。


 上階でドタバタしている音が聞こえる。でも、叫び声は聞こえないので恐らく服で盛り上がっているのだろうと下階にいる二人は理解した。


「あっ、そうだ」


「どうしたのですか?」


「小型機械の使い方を教えるって言ったよね?」


「そうですね」


「少し付いて来て」


 店長の言葉にコクリと頷き、彼のあとにシュウがついていく。


 少しするとレジに着く。見た限りだとシュウが住んでいた世界のレジと変わらない。


「カードの上部分を右から左にスライドして」


 言われた通りにすると、数字が表記された。


「それが残金」


「えっ?」


 あり得ない数字が表記されていたので、再度見るが変わらない。


「あのー。この世界のお金の価値ってどんなものですか?」


「価値か? うーん。インフレでもなくデフレでもなくという感じだな。あっ、でも上向きだ」


「えぇと。でしたら、この残金はどうなりますか?」


「えぇと。どれどれぇ。…………」


 残金を見た瞬間に店長は言葉が発せなくなる。彼を見てシュウはヤバいのだと理解した。


「家を二、三個買える」


「マジか……。よし。値段なんて気にせずに買おう。そうしよう」


 小声で言うと店のものを物色し始める。しかし、そこであることを思い出した。


「これを買いたいのですけど」


「えっと。筆箱三つにノートが……ん? こんなにいるか?」


「入りますよ異世界人は嫌われてますから」


「あぁ、確かにな。それなら五十冊くらいはいるな」


 シュウは必要分をレジに持っていく。店長がレジに入る。


「この国には、どこの店にも絶対にこういう機械があるからな。これにそのカードをスライドしてくれ」


「はい」


 シュウは指示に従いカードをスライドすると、チャリンという音がカードから聞こえる。


「これで買ったことになる。それで、持っていくか移動されるかどっちだ?」


「はい?」


「あぁ、悪い。言葉不足だったな。買ったものを持ちながら歩くか、僕たち店員の力を使って自宅に運ばせるかだよ。そのカードをスライドしたことによって、持ち主が住んでいる場所が表記されるからな」


「は、はぁ。でしたら、お願いします」


「はいよ」


 店長が手をかざすと、ホントに物が消えた。シュウは素直に感心した。しかし、そこであることに気がついた。


 ーーあれ? どうして機械からカードになっているんだ?


 実際に彼が貰った時は小型機械だった。だというのに今はカードになっている。それもキャッシュカード並みの大きさのカードだ。そのことに彼は今、気づいたのだ。普通ならもっと早く気がつくが、彼は今さら気づいた。


 恐らく何か特殊な力が働いているのだろうと思い、シュウは気にしないことにした。


 この世界は科学だけではなく魔法という力もある。だからこそ、彼の想像を絶することかゴロゴロと転がっている。だからこそ、小型機械に関しては考えることをやめた。


「あの……一つお聞きしたいのですが」


「どうした? なんでも言ってみな」


「この世界って魔法はありふれているのですか? あなたも先ほど使っていましたし、幻覚がそこら中にありますし」


「いや、ありふれていない。純粋な魔法はな。純粋な魔法はホントに選ばれたものしか使えない。僕たちが使っているのは魔法使いと科学者により、作り出された魔石という石だよ。石に魔法使いが魔力を注いだらできるんだ。魔力は何かわかるよね?」


「は、はい。なんとなくですが。確かこの世界に溢れかえっている自然エネルギーのことですよね?」


「半分正解。ホントは自然エネルギーだけではなく人工エネルギーもだよ。でも、知っての通りその魔力を宿せる人は数少ない。だけど、魔力はとても便利なんだ。だから、魔力を扱うことができる魔法使いが石を作るんだ。君の連れは三人とも魔力を扱えそうだね」


「ま、まぁ、そうですね」


 ビルルが扱えることには少し驚いたが、残りの二人は勇者と魔王。使えない方がおかしい。


「シュウくぅぅぅん!」


「は、はい! なんでしょうか?」


「上に来て」


「えっ? ど、どうしてですか?」


「いいから!」


「了解です! 教えていただきありがとうございます」


「いいよ。気にしないで。そんなことよりも早く、上に行ってあげて」


「あ、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」


 シュウは一応はお礼を言い、上へいく。店長は笑顔で彼に手を振る。完全に上に上がってから、店長は笑顔を崩し、神妙な面持ちで顎に指を当てる。


「彼は魔力じゃない別の何かを感じるな。これは僕の嫁にもないな。気のせいと思いたいけど……。異世界人だしな。何か特殊な力を持っていない方がおかしい。でも、彼からは何も感じない。別の何か以外は。一体、彼は何者なんだろう?」


 ボソボソと呟く。店長は経験上、異世界人を何人も見ている。そのため特殊なものを感じ取る力が凄まじい。そんな彼がシュウから何かを感じ取ったのだ。間違いのはずがない。


 シュウが持っている何かが、この世界にこれからどのような影響を及ぼすのか。それが楽しみで仕方がない。

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