#2
投稿が遅くなりすみません。
「てか、アリサはどうするの?」
3人はアリサを見た。
「んー…私は…うーん…」
どうするわけでもない、普通の生活。
「じゃぁね」
3人とは、そのあとすぐに解散した。
明日も恐らく学校は早退だろう。毎日、一体何のために学校に通っているのか、全く甲斐の無い生活だった。
朝から、学校に向かい、担任に叱られ、教頭には、廊下で恥をかかされ、早退。そんな毎日。
そんな時 ―― 見かけた張り紙。
津村書店。バイト急募。
学校から近い、駅前のコンビニ。自動ドアの横の壁に貼られていた、バイト募集のチラシだった。
時給は800円。朝も、早すぎるわけでもない。
「ま……いいかな」
面接は、簡単なものだった。
「でも、汐田さん、その髪は…まずいなぁ…」
面接官の店長、萩田さんはそう言って笑った。
「金髪はちょっと…」
苦笑する彼に、アリサは、ぱさぱさの髪を、手で搔いた。
「あ…そう…ですよね」
慌てて、コンビニに駆け込み、髪色戻しを買った。
翌日。
「今日から、働いてもらう、汐田アリサさん。皆さん、バイトですので、いろいろ教えてあげてね」
紹介を受けて、従業員たちからは、ぱらぱらと拍手が飛んだ。書店の仕事は、荷物運びが主な内容だった。
―― しかし。
「知ってる?あの子」
「え…?」
「あの子、汐田さん」
「あぁ、バイトの子?」
―― でも。
新しい書籍を箱から出して、棚に並べていると、陳列棚の向こう、背後で聞こえてきた、話声。
「あの子、白城義高校の子なんだって」
「汐田さん?」
「そう!凄くない?」
「でも何か金髪だったって…美沙ちゃん言ってたよ?見たって」
「えー何で?あの高校って東都大学とか行く学校でしょ?」
「はみ出し者なんじゃないの?」
「えー…そんな子もいるの?」
アリサは面倒くさそうに、抱えていた新書をばさっと音を立てて放り捨てた。
「…ばっかみたい。やーめた」
事務室に入ると、するすると腰の結び目を解いて、スタッフ用の制服を脱ぐ。
アリサは、今朝廊下で言われた、担任の言葉を脳裏に浮かべた。
「お前、何でそんな道に進むんだ。去年まで、沙織や角田と仲良くちゃんとしてたじゃないか…どうしてそんな…」
担任は言葉に詰まった。金髪で、ガムを噛む、アリサ。去年まで、両親と進路について話し合い、親友二人と一緒に勉強を励んでいたのに。
「あたしだって分かんねーよ…何でこんななったのかなんて…」
やーめた、やめた。
呟いて、制服を棚にしまおうとした時だった。
「…やめるんですか?」
背後から聞こえた、男の声。