#1
拙いですが読んで頂ければ幸いです。
この町に来て、もう10年になる。
小学校3年の頃、仲の良かった友達の結ちゃんと離れ、この町にやってきた。
オレンジジュースが大好きで、友達と交換日記を楽しみ、ヘアバンドでおもちゃ作りに精を出していたあの頃の自分からは想像もつかない。
二の腕にタトゥーをして、時折、髪を金髪に染める。
そうして、この日も校長室の部屋の片隅に立たされていた。
「お前ら、分かってるだろうがな、いや…分かってるか?」
教頭の羽角先生は歯を剥いて怒った。
「我が校は進学校なんだぞ?お前らみたいな一部の生徒のおかげで、どれだけの当校の印象が乱されてるか、分かってるか?」
「まぁ、まぁ…」
一方で、校長の清水校長は緩やかだった。この二人のバランスが、恐らく当校を安定させているのだろう。
「以後気を付けてくれれば。君たちも好きでそんな身だしなみをしてるわけでもないだろうし…」
睨んでくる教頭を無視するように、アリサは上の空を見上げた。
「…は、めんどくせ」
アリサの隣に立つ、背の高い生徒、祐一がぼそっと呟いた。耳には大きな銀色のピアスが付いている。
「何だ?お前まだ懲りないのか!?」
「まぁ、まぁ…」
「分かったな!今度染めたら補習だけじゃ済まんぞ!」
バタン!
教頭はアリサの他、3名を校長室から締め出した。
「は、マジうぜっ」
茶髪、タトゥー、金髪、ピアス、ガム、メイク、タバコ。
それぞれがいろんな規則違反で呼び出された、お馴染みのメンバーだった。
「この後、どうする?カラオケ?」
深雪が言った。学年では最も可愛い、きゅんとするくらい愛らしい顔立ちだが、彼女もまた、規則違反。タバコだった。貌には見合わず、言うことも大胆なことばかり。
「いや、私エステ行くって、ママにもメールしたから…」
一方の、『ゆかりん』こと江藤 有香。
私立の進学校の当校に、コネを使って入学させた、国内トッププロのシェアを誇る、『エステプロ・エトー』の社長、江藤 浩美の一人娘。母親が持たせたクレジットカードを使って、好きな時にお気楽なエステに通っているらしい。
「俺、バイト。つーか暇だからその後、お前の行くカラオケおごってくれよ」
先に、校長室でぼやいた彼も、また金髪でピアスをしたことで、補習の目にあった一人。背が高く、顔立ちが良いが、気が強く、喧嘩っ早いところがある。
「はぁ?男のくせに厚かましい奴!カラオケぐらい自分で金だしな!」
深雪は手をひらひらと振って見せた。
ありがとうございました。