なつかしの第二の故郷
初めての投稿です。まだタイトルの狐さんは出てきませんが頑張っていこうと思っていますので、よろしくです。
ガタン、ゴトンと列車がレールの上を走る。窓から吹いてくる風の匂いが懐かしい匂いだった。
懐かしい風の匂いを感じ、読んでいた本からふと、顔を上げる。窓の外を見た俺は、何度目かもわからないがまた懐かしい景色に目を細めた。目の前には広がる景色は、都会の灰色の景色とは違い緑の色が広がる景色がある。
俺は今年で、25になる。職業は絵描きをしている。収入はそれなりだと、思いたい・・・。ちゃんとした、生活をできてはいるのだから平均だと思う。俺がなぜ、この田舎に来たかというと理由は二つある。一つは、もちろん絵を描くことだ。二つ目は、懐かしい人たちに会うためである。
そんな、懐かしい思いに胸をいっぱいにしたのでここでひとつ、俺の昔話をしよう。
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「あんたなんか、産まなきゃよかった!!あんたのせいで、人生むちゃくちゃよ!!」
あの日のことは、よく覚えている。
「うわああぁぁあ!!ごめんなさい!ごめんなさい!!」
あの日は、いつもよりも母さんの機嫌が悪く何度も何度もたたかれていた。そして、俺は外に出された。何回も何回もドアを叩いても開けてくれる気配がないので俺は泣きながら公園に行った。
「僕がいっぱい泣くから、ママは僕を、叩くんだ・・・。」
俺は公園のブランコに座りながら、反省をしていたんだ・・・。今、思うと悪いのは俺じゃなくて母さんだった。まぁ、虐待を受けている子ほど自分が悪いと思いこんでしまうというのはよくある話らしい。そんなことを思っていると、消防車と救急車の音が聞こえて顔を上げた。
「ママぁ?」
子供というのは、案外勘が鋭く、嫌な予感がした俺は急いで家への道を走った。
「あ、あぁぁあ・・・。マ、マ?僕の家?どうして、赤いの・・・?ママ、どこにいるの?ママぁああああああ!!!!!」
赤く燃えていたのは、俺の家だったのだ。小さい頃の俺にはいや、小さくなくてもこの光景にはおびえていただろう。
「君!!ここの家の子かい!!?」
「よかったぁ!!由羽くん!おばさん心配したんだからぁ」
「うわあぁああぁぁんんん!!!」
優しく抱きとめてくれたのは、近所に住んでいる梅おばちゃんだった。
それからのことは全て梅おばちゃんがしてくれた。火事の原因はたばこの消し忘れ。母さんのだ。そして・・・母さんはそれに気づくことができず・・・。
周りの大人は「よかった。よかった」と言っていたが、それは、俺が生きていたことか、それか母さんがいなくなったことに対してか。もともと、母子家庭だった俺は母さんがいなくなったことで施設に行くことになった。梅おばさんは、俺のことを引き取りたかったらしいが家族の反対があったらしい。梅おばさんは俺が施設に行く時までずっと謝り続けた。しかし、俺は『施設に行く。』というのを理解できなかった。いや、理解したくなかったのかもしれない。まぁ、今となっては昔のことなので解らんが・・・。そして、俺はこの田舎にある施設『緑の森園』に来た。
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「確か・・・ここらへんだった気がするんだが…」
幼い頃の記憶をたどり、『緑の森園』の近くまでは来れたのだが・・・。
「この後は、どうやって行くんだっけな。・・・さすがにそこまでの、記憶力はなかったか。」
25になった俺には記憶力が落ちた=老けた、となる。なんだか、自分で思ったことなのに悲しくなってきたな。
「あれっ?もしかして、由羽?」
突然聞こえた、凛とした声に顔を向けるとそこには懐かし顔があった。黒のさらさらと流れるセミロングの髪の女の子は、かつて俺が緑の森園に来てから3年ほどたってから来た『凪』であった。が、最後に会ったのが随分昔だったので、凪と分かるのには少々時間がかかった。
「もしかして、凪・・・か?」
「そうよ!ってもしかして、忘れちゃってた?」
少し悲しげな彼女の表情にあわてて弁解する。
「あっ、いや、随分と美人になったもんだなぁと思ってな。女ってのは時がたつとこんなにもかわるもんだな」
・・・今のセリフ気持ち悪かったな。
「何それ?ナンパ?由羽らしくないわよ。」
俺も思ったよ・・・。
そして、俺たちはこの後、少しお互いの今現在の報告をした。凪は今22で、就職活動をしながら緑の森園の手伝いをしているらしい。
「そう思えば、凪は昔っから小さい子の面倒をみるのが好きだったもんな。それに対して俺は、全然ダメだったなあ。」
「そんなことないと思うけど・・・。なんだかんだ言って、年下の子の面倒みてたじゃない。」
「そうだったけなあ。」
たわいもない話をしていた俺は、凪に案内をしてもらいながら『緑の森園』に行った。行く途中緑の森園へこ行き方を忘れてしまったことを言ったら、
「老けたのね。」
と言って苦笑した。ちょっとだけ、傷ついたことは秘密だ。
・・・下手です。心の広い方読んで下さってありがとうございます。