表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

第四章 ラファエル王国

朝から馬を走らせ続け――

蓮と賽莉亜は、ついにラファエル王国へと辿り着いた。


「……わあ……」


思わず声が漏れる。


目の前にそびえ立つのは、

これまで見たこともないほど巨大な城壁だった。


正門の両脇には、

光輝の女神と慈愛の女神を象った二体の石像が並び立っている。


「すごい……!

これが、ラファエル王国なの!?」


賽莉亜は小さく笑った。


「ふふ、でしょ。

さ、行こう」



城内へ足を踏み入れた瞬間、景色は一変した。


通りの両脇には露店が並び、

行き交う人々の顔には、自然な笑顔が浮かんでいる。


「……なんか」


蓮はきょろきょろと周囲を見回しながら言った。


「みんな、幸せそうだね」


賽莉亜は、その言葉に軽く頷く。



「おおっ!!

剣聖様じゃねえか!!久しぶりだな!!」


突然の大声に、蓮はびくりと肩を跳ねさせた。


声の方を見ると、

屋台の前に立つ中年の男が、満面の笑みで手を振っている。


「……?」


蓮は賽莉亜を見上げた。


「……せいけん?」


男は気にする様子もなく、

屋台の奥から串を二本取り出す。


「ほらよ!

剣聖様、久々の再会の祝いだ!」


一本を賽莉亜に差し出し、

もう一本を蓮に向けた。


「坊主も食え!

成長期だろ!」


賽莉亜は串を受け取り、軽く頭を下げる。


「ありがとう」


それから蓮の方を向いたが、

彼の疑問には答えなかった。


「今は、まだ話せない」


少しだけ声を落として続ける。


「まずは女王陛下に会って、落ち着こう」


「それから、話す」


「行こう、蓮」



王城の奥へと進むにつれ、

空気は少しずつ張り詰めていった。


高い天井。

赤い絨毯。

左右に整列する近衛兵たち。


蓮は、自然と背筋を伸ばしていた。


大きな扉の前で、賽莉亜が足を止める。


「――賽莉亜様、謁見の許可が下りております」


扉が静かに開かれた。


その先には、広大な玉座の間が広がっていた。


王座に座していたのは、一人の女性。


淡い白桃色のローブを纏い、

頭上には王冠。


その姿を見た瞬間、

蓮は思わず息を呑む。


賽莉亜は一歩前に進み、片膝をついた。


「お久しぶりです、陛下」


女王――白綾は、静かに微笑む。


「よく戻りました、賽莉亜」


その視線が、蓮へと向けられる。


「……その子が」


蓮は慌てて頭を下げた。


「は、はじめまして!

れ、蓮です!」


白綾は小さく目を細めた。


「そんなに緊張しなくていいわ」


「ここでは、安心して過ごしなさい」


賽莉亜は立ち上がり、蓮の肩にそっと手を置く。


「陛下、しばらくの間、この子をお預かりいただけますでしょうか」


白綾は、迷うことなく頷いた。


「ええ」


「この国は、彼を守ります」



謁見を終えた後、

賽莉亜は蓮を連れて王都を歩き始めた。


石畳の道。

整った街並み。

行き交う人々の声。


しばらくして、蓮が口を開く。


「……ねえ、姉ちゃん」


「さっき外で、なんで剣聖って呼ばれてたの?」


賽莉亜は歩きながら答えた。


「私が騎士団に所属しているからだよ」


あくまで、さらりとした口調。


「それなりに実力があるから、

そう呼ばれることもあるだけ」


(……うそだ)


蓮は心の中でそう思った。


(どう考えても、ただ者じゃない)


少し間を置いて、蓮はまた尋ねる。


「……じゃあさ」


「フィア姉と、リナ姉は?」


賽莉亜は、少しだけ表情を緩めた。


「二人ともね、ちゃんとこの国にいるよ」


その言葉に、蓮はほっと息をつく。


「……そっか」


賽莉亜は歩きながら続ける。


「今は国境で駐留してるだけ」


「しばらくしたら、騎士団が交代で向かう予定だから」


「その時に、戻ってくるよ」


「……うん」


また会える。

そう思うと、胸の奥が少しだけ軽くなった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ