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捨てステータス【幸運値】が高いだけのザコとして追放された剣士、レアイベントをすべて発生させて無双する  作者: 森田季節


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20/30

20 幸運の女神様にお参り

 ボッタクリが摘発されまくった関係で、俺たちはマヒア神殿の貴賓室で寝泊まりできることになった。


 夕飯も神殿側が提供してくれた。

 神殿側の都合で宿泊場所が変わったからだろう。






 人の目がなくなったので、ポポロがフクロウの姿になる。



「幸運といっても、いろんな種類のものがあるんですね」

「ほんとだな。もうちょっとわかりやすい幸運であってほしかったけど……」



「ところで、神殿内部の部屋に泊まってるわけですから、今、女神へのお祈りをしてもよいのではないでしょうか?」

「あっ、そういえば、神殿にすでに入っちゃってるんだな」


 本来なら宿に宿泊してホコリなんかを風呂場で洗い流した状態で、翌朝にマヒア女神の神殿に祈りを捧げる予定だった。


 だが、宿の主人が逮捕された関係で、今の俺たちは神殿付属の宿泊場所にいる。



「もう夜だし、本来の拝観時間は終わってるんだよな。拝観できない時間にお参りすると、かえってバチが当たるような……」


「ですが、あいさつもせずに神殿で泊まっているほうが無礼と考えることもできますよ」


「ポポロの言葉、一理あるな」





 一般参拝者が神殿で宿泊する前提などないので、すでに常識は適用できなくなっている。




「じゃあ、お礼を言いに行くか」








 宿泊場所とマヒア女神の礼拝場所は渡り廊下でつながっているので、歩いて向かうことができる。



 まあ、神官に途中で会って、「戻ってくれ」と言われたら、引き返せばいい。

 こっちは泥棒どころかボッタクリを止める役割を果たした存在だから、そんなに怒られはしないだろう。





 人の姿になったポポロと俺は神殿の奥へと進んでいく。



 そこにヴェールをかぶった崇高な女性の像が立っている。

 幸運をつかさどるマヒア女神様の像だ。





 俺はその足下にひざまずいて祈る。ポポロもそれを真似する。





 どうか、さらなる幸運を。

 もちろん、全力を尽くす所存ではありますが。

 立派な、Aランク冒険者になりたいんです。

 幸運とは関係ないところで優れた剣士になりたいんです。




 祈りは終わったので、顔を上げた。



 今の自分ができることはすべてやった。

 だからこその神頼みだ。





「うわ! なんでこの時間に一般参拝者が!」






 そんな声が俺の耳に届いた。



 真横に薄布を羽織った神々しい女性がいた。




 というか、マヒア女神の像にそっくりだった。





 こ、これって、もしかして……。



「マ、マヒア女神様ですか?」

「はい、そうです。どうしてこの時間に参拝者の方が……。あと、なんで見えてるんでしょうか?」




 マヒア女神様は俺のほうに顔を向けた。

 どうも、何かを読み取ってるような目線だ。




「【幸運値】がカンストしてるじゃないですかー! そうか、ここまで高ければ幸運をつかさどるわたくしの姿を目にできてもおかしくはないですね」



 ものすごく驚かれた。神にも驚かれるステータスってどういうことだろう。



「あっ、そうか、今日はボッタクリの店が複数摘発されましたが、それもあなたの影響ですね」

「俺の影響です――と断言していいか不明なんですが、可能性はあるかもしれません」



 俺の意志で捕まえたわけでもなんでもないからな。やったのは張り込んでた神殿警備兵だ。



「その隣の女性も……フクロウが変化した姿! ものすごく珍しいじゃないですか! 奇跡だらけですよ!」

「神に奇跡だと驚かれるのは不思議な気持ちです」



 ポポロのほうが冷静だった。

 フクロウは人間の信仰する神はどうでもいいのかもしれない。



「ところで、なんで幸運すぎるステータスのあなたがここに来たんですか? ここって競馬で一発当てたいとか、そういう人が来るところなんですが」


 女神様、思ったよりなれなれしく聞いてくるな。少なくとも神々しくはない。




「それはもちろん、こんな【幸運値】を授けて下さった女神様にお礼と、それと、宮廷御前試合でいい結果が出せますようにという祈願です」



 これで競馬当たりますようにと祈りに来てたら、逆にすごいぞ。そこまでリラックスして自然体で宮廷御前試合に出場できるなら、けっこういい成績が残せそうだ。




 急に女神様は黙り込んだ。




 どこかで失礼な表現があったか? お礼だけでなく、いい結果残せますようにという意味も持たせてたのが不味かった?




 女神様の目から涙が落ちた。




 えっ!? 泣いてる!?





「殊勝なことです。本当に殊勝なことです……。素晴らしい! この神殿、競馬で一発当てたいみたいな人しか来ないんですよ」



 幸運の女神って賭け事で祈願に来る奴ばっかりになるのか。

 たしかにボッタクリの店が門前町に複数あるっていうのは、客層によるものだよな……。



「わかりました! あなたに力を授けましょう!」



=====

アルク レベル22 冒険者ランクB

HP 122/122

MP 0/0

攻撃 132

防御 150

敏捷 141

知力  49

精神  19

容姿  39

幸運値999☆


スキル

超刺突・薙ぎ払い・這い上り斬り・みね殴り・一刀両断


仲間

クマ食いフクロウ(ポポロ)・マヒア女神

=====




 あれ? ステータスは何も変わってないような……。いや、違う。


「【幸運値】が999☆になってる……。それと、マヒア女神様が仲間ってことになってる」



「あなたは大丈夫です。自分を信じて進みなさい。ただ、人として恥ずかしいことだけはしてはいけませんよ。そしたら運から簡単に見放されますからね。あなたなら問題ないと思いますが」




 マヒア女神様はもうそこからいなくなっていた。




 結局、999☆ってどういうことなんだ。



「よかったですね、アルクさん。お祈りに来て大成功だったじゃないですか」



 ポポロに言われて、たしかにそのとおりだと思った。



「だな。女神様のお墨付きをいただけたんだもんな」


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― 新着の感想 ―
加護じゃなくて、ついてくるんですか女神様……(笑)
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