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捨てステータス【幸運値】が高いだけのザコとして追放された剣士、レアイベントをすべて発生させて無双する  作者: 森田季節


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14/25

14 【幸運値】高すぎパーティー

 改めて、ポポロのステータスを見る。



=====

ポポロ レベル15 冒険者ランク?

HP 86/86

MP 0/0

攻撃  82

防御  65

敏捷 106

知力  25

精神  13

容姿  97

幸運値298


スキル

飛行・高速移動・突き刺し・突風・鑑定(植物)

=====




 レベルがカンスト状態のレベル99とかならともかく、レベル15で【幸運値】298っていうのはおかしいだろ。お前が言うなって言う批判は甘んじて受けるが。


「そうなのですか?」


 ポポロが軽く腕を組んで、首をかしげた。これってフクロウの仕草なのかな。


「比較が難しいが、もしこれが【攻撃】の数字なら、Aランクと言われてる最上級の冒険者でも数発殴れば叩き潰せる力があるってことになる。まあ、そんな便利なものじゃないから、捨てステータスって言われてるんだけど……」

「運が悪いと言われるよりはずっといいです」



 まったく、そのとおりだ。


「まあ、この州都スラーツで一番幸運な奴ってぐらいの数字だな。俺がいるからややこしいけど」

「そう言われると、私もなかなかのものですね」


 俺の【幸運値】がカンストしているのが本当に話をわかりにくくしていた。



 さて、ポポロのステータスでもう一つ気になるのは、「冒険者ランク?」という箇所だ。


 理由は明白で冒険者ギルドで何も登録していないせいだ。多分Cランク冒険者ぐらいの実力なのと、正式にCランク冒険者と認定されてることはまったく別だ。



 一般の魔物は魔物使いが仲間にしても職業を設定できないはずなんだけど。

 ポポロは人の姿をしてるし、普通に職業につけそうな気がするんだよな。



 まだ、冒険者ギルドは営業してる気がするし、ちょっと宿を出て行ってみるか。少なくともダメ元で確認しておくべきだ。



「ポポロ、ちょっと出かけるぞ」

「はい。今はメイドですし、アルクさんについていくのはやぶさかではありません」


 あっ、このままだとまずいな……。



「なあ、ポポロ、宿を出入りする時だけフクロウの姿になれるか?」



 無言でポポロはフクロウに戻った。



「うん。それでいこう。一人とペットで宿泊って設定だしな。二人で泊まってると思われるとトラブルになる……」








 俺とポポロ(路地裏で人の姿になってもらった。フクロウのままでは職業を決められない)は冒険者ギルドに入った。


 ほんとは冒険者一人にメイドがついてきてるのも変なのだが諦める。



「どの職業を希望されますか?」


 若い女性の受付の人が尋ねる。

 時間がもう夕方と遅いおかげで冒険者の数が限られていてよかった。混んでる時間だとポポロが目立っていただろう。



「そうですね。魔法はおそらく適性がなさそうですし、盗賊でお願いします」


 この盗賊というのは、あくまでも鍵開けや隠密などが得意な職業名というだけで、本物の犯罪者という意味ではない。


 世の中には本当に盗賊の技能で泥棒をする奴もいるだろうけど、逮捕されたらとんでもないことになる。



「盗賊ですか。では、ステータスを教えていただけますか? …………高っ! え、本当ですか? 最初からCランク冒険者ぐらいの力がありますよ……」



 受付のお姉さんが盛大に驚いていた。


「ええと……こいつはずっと田舎で鍛えてたんです。なので、すでに強いんです!」


 後ろから俺は適当に誤魔化した。


「そうなんですけど、この【幸運値】298って何なんですかね。毎日100万ゴールド拾うような数字ですけど……」



 世間的にはそうか。



「いや、実は俺ももっと高くて……」



 ステータスに虚偽を申告するのは冒険者として重罪なので、俺は正式に伝えた。この州都スラーツではまだ俺の【幸運値】が知られてないからな。



「999って実在するんですかー!」



 お姉さんが本当に椅子から落ちた。


「なんだか化け物を見るような反応ですね」


 淡々とポポロが言った。


「まあ、999なんて数字、新種の化け物みたいなものだろうな……」


「こんな人もいるんですね……。ええと、盗賊に登録されたポポロさんですが、ギルドの規定でひとまずEランク冒険者からスタートしてください。実績を出してもらえればすぐにランクアップできますから」


 すべての冒険者はステータスにかかわらず、Eランクから始まる。なので、お姉さんの言ってることは正しい。


「はい。メイドだけでなく冒険者としても精進していきたいと思います」


 盗賊とは思えないほど、丁重にポポロはお姉さんに頭を下げた。

 こうして、剣士と盗賊というずいぶんアグレッシブなパーティーが誕生した。









 冒険者ギルドを出ると、また人気のないところでフクロウの姿に戻ってもらって、宿に帰った。


 宿でまたメイドの姿に戻る。けっこう、面倒臭いな、これ。今後、対応を考えたほうがよさそうだ。


「私は盗賊という形で登録しますが、基本的にはアルクさんの秘書官のようなことをできればいいと思っています」

「ああ、それでいいぞ」


「長らくフクロウとしてはイレギュラーな存在だとは思っていたのですが、アルクさんのそばにいると、イレギュラーな感じがしないので、落ち着きます」


 それは、ゲームで未実装だったキャラの本音のようにも聞こえたが、俺の横にいて落ち着くと言われて悪い気はしなかった。


「なにせ【幸運値】という点だけで見ればアルクさんのほうがイレギュラーな存在ですからね」

「言われてみればそうだな!」



 人になれるフクロウより珍しい存在の人間っていったい何なんだろうな……。


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