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第18話 とある日のデリー

外交も戦闘に似て、 相手側が予想もしなかった戦術で攻めたときに勝つ。 つまり、最も大きな効果を産む。


                    -塩野七生

1940年、この一年は枢軸国にとっても、連合国にとっても大きく動き出す一年となった。


とはいえ、一度世界の戦線は動きを止めていた...


アジアを除いては...


1940年1月、デリー近郊。


日本軍と英領イギリス軍との戦いは熾烈さを増していた。


石原莞爾陸軍大臣と山下大将が話をしている。


「陸相、インドの首都ゆえか、近郊で皇軍は英軍と凄まじい戦闘をしています」


「なるほどな...とはいえ、私の推測ではそろそろケリがつく気がするよ、山下くん。」


「なるほど、今は抵抗が厳しい。しかしイギリスも事情が許さない。だから本国から本隊を送り込まない、そう見ているんですか?」


「ああ、その通りだ。ドイツ国防軍...300万もの戦力に優秀な将軍たち、そして小国の軍隊に匹敵するほどの親衛隊...こんな奴らが近くにいるのに、本国をガラ空きにしては危険だよ」


「おっしゃる通りです。それと日米間の関係悪化に伴い、対米戦を想定した話が政府から出ていると...」


すると石原莞爾陸軍大臣は顔色を変えて


「なんだと⁈」立ち上がりそういった直後に「こほん、失礼」と言って座り直した。


「昨日は勝った、今日も勝った...だがね、明日勝つとは限らないのだよ。連戦連勝はときに人を傲慢にさせる...油断させる...山下大将、貴殿も気をつけよ」


「ええ、警句は忘れません」


首相官邸にて


「総理、トルコに軍事通行権を要求したのは本当ですか⁈」


「ああ、見返りに経済支援や日本の庇護下に入れるという条件のもとにな。と言っても1945年までだ。もし、英仏やソ連がいなくなれば、それは無効化される。あくまで大陸の連合国に対してさ」


「なるほど、欧亜に跨がる彼の国は地政学的に見て重要ですからね。インドが片付いたら、次に入るぞ。」


「次...ですか...欧州北アフリカ方面ですか?」


「ああ、インドを通って、イランにいる皇軍と合流し、ドイツとイタリアを支援する。イタリアの海軍力も侮れないしな。」


「我々は中東の英領植民地に侵攻する。これは第一フェーズだ。次に第二フェーズだが...」


インド、デリーにて


イギリスの将兵が何かしている。


「ああ、ここもまたすぐさま戦闘になるだろうな...」


「ええ、そうですね。日本軍の猛攻が日々激しさを増していますし...」


「だが我ら大英帝国には誇り高きスピッドファイヤーがある。制空権は取らせはしないさ」


その時、軍馬の如き速さで走ってくる兵士が慌ただしく将兵の前に現れた。


彼は息を整えて報告した。


「報告します!デリー上空で...スピットファイアが撃墜されました!」


「いつもことじゃないか...我が国の兵士が戦死するのは悲しいが...」


「いえ、それが...」


一人の部下が声を震わせながら恐る恐る答えた。


「数にして数百!それでいて...日本軍の見たことない戦闘機です!」


「なんだと⁈くそっ!なんとしてもデリー上空の制空権は死守しろ!絶対だ!ここを明け渡すわけにはいかぬ!」

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