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戦前の日本に転生したので、祖国を救ってみた  作者: 坂口布瑠高
第2章 切られた火蓋、日中戦争
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第12話 講和と交渉

戦争は、外交の失敗以外の何物でもない。


                 -ピーター・ドラッカー

1937年2月某日


寒風吹く帝都のとある場所で、重大な出来事が起ころうとしていた。


陸軍省の立派な建物に入っていく1人の男は、数人の憲兵に囲まれていた。


その15分前には、一台の黒い高級車がロータリーで停車すると、2人の男が入って行った。


杉内と水野はこの日、日中戦争終結のため、蒋介石より早く陸軍省へ赴いていた。


とある大きい会議室で2人が話している。


「一応これでどうにかなりそうですね。」


「ああ、そうだな、水野。」


大きい茶封筒が三つ、テーブルに置かれている。


シャンデリアなどで装飾された豪華な会議室に、秘書2人が、コーヒーと少しばかりの甘味を持って、2人の前に差し出した。


杉内は、「ありがとう、かたじけない」と2人に声をかけると秘書は軽く会釈した。


それから20分ほどすると、憲兵たちに囲まれながら、蒋介石が入室した。


蒋介石が一礼をすると、上座にいた杉内と水野は一度立ち上がって一礼し、お互い着席した。


「本日ははるばるお越しいただき、ありがとうございます。」


杉内が開口早々そう言った。


「早速ですが、本題に移らせていただきます。」


次に水野がそう言うと蒋介石が返す。


「もう良い、21ヶ条の要求を我々は飲むぞ。」


低い声で蒋介石がどこか諦めたような雰囲気で言った。


しかし、中国への要求と題された書類にはいくつかの要求があるだけで、少なくとも21はなかった。


中国沿岸部の併合、日満蒙経済圏への参入、将来できるであろう大東亜共栄圏への加入、反共の徹底と言ったものばかりであった。


それを読んだ蒋介石があんぐりと口を開けて驚く。


「これだけで良いのか...沿岸部の併合はあれだが...」


それに対して杉内がこう言った。


「それについてですが、もし反共や対ソ連政策をやっていただけるのであれば、経済支援も致します。」


杉内が指を指す文章には、中国への日本からの経済支援について書かれていた。


それと同時に経済支援の条件についても書かれていた。


将来完成するであろう、大東亜共栄圏については、日満蒙経済圏に中国を加えただけでなく、東南アジアの国々も巻き込んだ一大勢力になる構想であった。


杉内は、中東も巻き込み、大東亜共栄圏から大亜細亜共栄圏へ進化させる構想も持っていた。


そのためには、中国が持つ、人口と広大な土地というポテンシャルが必要だった。


欧米列強の干渉を受けることなく日中戦争の終結に成功した日本は、しばらくの間、ドイツとソ連、そしてアメリカの様子を注視することとした。


「水野、戦争ですっかりそれどころではなかったが、ベルリンオリンピックで活躍した日本代表選手がメダル獲得という結果を残したそうじゃないか。」


「ええ、金メダル8個を含む計20個です。彼らは本当に涙ぐましい努力を日々重ね、逆境を跳ね除け、結果を出しました。おしくもメダルを逃した選手も、大いに健闘し、国民を熱狂させ、時に勇気を与えてくれました。」


「それなら良かった。ひと段落ついたし、次は東京だったな。それに向けて準備するぞ。」

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