094 食堂・事件・相談
その後、睡牛の毛梳きを終わらせたメアがウルスと共に食堂に行くと、食堂はやけにざわついていた。
「なんだろね」
「空気が変だね。良くないことが起きたのかも」
メアとウルスは不思議に思いながらも粥をよそい、席につき、周囲の声に耳を傾ける。そして、メアが粥を一口含んだ瞬間、それはメアの耳に入った。
「――殺されたんだって。医療のエシュー先生」
メアが声の主の方を勢いよく振り向くと、見知らぬ女生徒はびくりと体を震わせた。しかし、メアはそんな怯えを意に介さず、女生徒に詰めよった。
「い、今の話本当ですか。本当に、エシュー先生が? 殺された? 他殺ですか?」
「う、うん。らしいよ。今日の昼間に襲われて、刃物で全身をばらばらにされている死体が見つかったって。君、奥の掲示見なかった?」
「見てません。ありがとうございます」
メアは短く告げて食堂奥の掲示板を見に行く。そこには生徒の人垣ができていて、遠目には何があるかは見えない。メアは一拍遅れて追いかけてきたウルスとともに人垣をかき分け、前方へと進んでいった。
なんとか最前列に顔を出し、一番大きく掲示されている紙を読み上げる。
「本日、医療担当のエシュー先生が、何者かに殺害。犯人不明。六時限目の授業はなし。可能な限り寮から出ず、食堂との行き来も複数人で行うこと。第一教育棟、第二教育棟、第三教育棟、図書塔、育舎、格技館、樹園、講堂への立ち入りを禁ずる……」
呆然とするメアは掲示を見ようと詰め掛ける生徒に人垣の端へと押し出される。
メアは周囲の喧噪をかき消すほどの耳鳴りに襲われていた。あまりにも衝撃が大きかった。あまり好きではなかったとはいえ、顔見知りであり、何度も世話になっている相手が殺された。それはメアにとって初めての経験であり、また。
メアの肩に手が置かれた。顔を上げるとウルスの心配そうな顔が目の前にある。
「大丈夫?」
「う、うん。ちょっと、驚いただけ。ウルスこそ大丈夫?」
「まあびっくりしたけど、エシュー先生って誰?」
「あ、ああそうだよね。ウルスはまだ顔知らないか」
「とりあえず、食事って感じじゃなくなっちゃったね。一度外の空気を吸おう」
メアとウルスが食堂を出ようとすると、レオゥがいつも通りの無表情でが丁度食堂に入ってきた。
レオゥはメアたちを見ると近寄ってくる。
「おっす。なんか騒がしいけど、何かあったのか?」
「え、エシュー先生が、殺されたらしくて」
メアがレオゥの表情を窺うが、顔の筋肉はぴくりとも動かなかった。
「えっと、知ってた?」
「いや。驚いている」
「そうは見えない」
「いや、本当に驚いているんだ。顔には出てないかもしれないけど、少しばかり気分も悪い。干し肉だけ貰って一度部屋に戻るか」
「うん。それでね、教育棟とか図書塔とか育舎は立ち入り禁止で……あっ」
メアは言葉にメアはウルスが育舎で暮らしていることを思い出した。そして、育舎の立ち入りが禁止されたことも。どうするのか、とメアがウルスに目で問いかけると、ウルスは少しだけ悩むように指を唇に当てた。
「そっかー。二人はもう寮に戻るの?」
「ああ。ウルスはどうする?」
「そうだね。じゃあ二人の部屋にお邪魔しようかな」
「えっ」
「なんでだよ」
驚くメアと、鋭くレオゥ。二人に対し、ウルスは飄々と答えた。
「実は今、育舎に住んでるんだよね。だからメアの言葉が真実なら行き場がないんだ。いいでしょ、男子寮に女子が入っちゃいけない決まりはないんだし」
「いや色々初耳だぞ。育舎に? なぜ?」
「諸事情ありましてー。表向き病気ということになっておりますー。でも感染するようなのじゃないので安心はしてほしい。どうかな? だめ?」
レオゥはメアにどうするかと目で問いかけ、メアがさほど驚いていないことに気づき、二人の間に何かがあったことを察した。朝までとは少しばかり空気も違う。
レオゥは首を掻きながらメアの方をじっと見た。
「俺は良いけど、メア」
「なんでしょ」
「ウルスに変なことするなよ」
「しないよっ」
「えーしないんだ? 本当に? したくない?」
顔を赤くして言葉に詰まるメアをウルスはけらけらと笑うのを聞きながら、三人は字陽寮へと帰った。
二人の部屋に入るや否や、ウルスはメアの寝台に身を投げ出した。
「うーん、意外と清潔。臭くもない。意外。男の子の部屋なのに」
「キュッフェ様に鍛えられたからね」
「おふくろの教育の成果。というか汚いのは男だって嫌だろ」
「そうなんだ。で、こっちがメアの寝台であってる?」
「……あってるけど」
ウルスはメアの枕を胸に抱えて満足そうに笑った。メアはそれを取り返そうとするが、ウルスが両腕でぎゅうっと抱えたそれを引き抜くことはできなかった。
レオゥの声にはいくらか呆れが混じって聞こえる。
「一応俺もいるからな。いちゃいちゃは程々にしておいてくれ。もしくは事前に宣言してくれ。そしたらフッサの部屋辺りに避難するから」
メアはそれには答えず、枕から手を離して自分の椅子に座った。そして、深呼吸をして表情を引き締める。
「で、レオゥはどう思う?」
「どうとは?」
「今回の事件に関して。なんでもいいから意見が欲しい。さっきから思考がまとまらない」
「ああ、まあメアはエシュー先生に世話になってたしな。気持ちは分かる。が、俺たちにできることなんてないぞ」
「やっぱり、そう思う? 犯人を捕まえたりとか、そこまで行かなくても絞り込んだりとか」
「俺たちの仕事じゃないな。この学校には名探偵がいるんだから任せておけばいいだろ。幸いなことに、生徒の被害者はいないみたいだしな」
眉間に皺を寄せて黙り込んだメアの代りにウルスが口を開く。
「名探偵ってなんだい?」
「そう名乗ってる追跡者がこの学校の生徒にいるんだよ。おそらくもう動いてるだろ」
「追跡者。そんな貴重な能力持ちがこの学校にいるのか。なら確かに他の生徒が動くまでもないかな。でも、それだけじゃ満足できない? メア」
メアは肯定も否定もしなかった。
少しの間無言。口を開いたのはウルスだった。
「なら、私たちで犯人像を絞り込んでみようか」
即座にレオゥが反発する。あまり危険なことはしたくないようだ。
「待て待て、そんなことして何になる。無意味だろ」
「そうでもないさ。なぜなら犯人はまだ捕まっていないんだろう? であれば犯人像がわかれば自分たちの身を守るために警戒できる。意味がないなんてことはないだろう」
「逆じゃないのか? そういった思い込みは判断を狂わせることがままある。もし犯人が男だと思い込んでしまえば、女が犯人だった場合の対処が遅れる。そういったところが良くない、が」
「が?」
メアとウルスが復唱する。それに対し、レオゥは椅子の背もたれに体を預け、天井を見上げた。
「まあ暇だしな。推理でもするか」
「そう来なくっちゃ」
「やろやろ、犯人当てなぞなぞ」
途端に手を打ち合わす二人に向かい、レオゥが指を一本立てた。
「まずは、外部の犯行か、内部の犯行か」
「内部」
ウルスが即答した。なぜかを問う視線がメアから向けられ、ウルスは答える。
「この学校、かなり高度な障壁が張ってある。あれを壊さずに抜けるのはよほど現代魔術と陣術に習熟した魔術師でなければ難しい。だから内部」
「ああ、そうなんだ。知らなかった」
「かなり強めの隠蔽もかけてあるからな。まだまだ現代魔術初心者のメアなら気づかなくても無理はない」
「でも、魔法使いはすり抜けてきてたよ。あと、神様も」
「そんなのは例外中の例外だ」
「え、この学校魔法使いもいるの?」
「いるというか侵入してきたというか。去年な、先生に凹られて一瞬で処理されたが」
「は、はは、この学校の先生って、凄いね」
レオゥは二つ目の指を立てる。
「では、先生か生徒か。生徒であれば何年生か」
メアとウルスが同時に答える。
「一年生」
言葉が被ったので二人は顔を見合わせ、ウルスはメアに発言を譲った。
メアは真剣な表情で答える。
「一年以上ここにいて、こういうことしようと考える人がいるとは思えない」
「……あのなぁ、メア。お前のそういうところは嫌いじゃないが、世の中の半分は悪人なんだぞ。そんなのは理由にならない。ウルス、お前の意見は?」
「おや、こっちもメアと似たような感じなんだけどね。といっても少し視点が違うけど」
レオゥの訝し気な視線を受け、ウルスは肩を竦める。
「もし長年ここで暮らすうちにそういう邪念が浮いたとして、それを実行に移せるとは思えない。だって、ここには化け物みたいな先生や生徒がたくさんいるからね。失敗する可能性の方が高い、というのはすぐに理解できるはずだ。それに、追跡者がいる閉じられた空間で手を出してみろ、すぐに犯人が見つかって人生終わりだ。追跡者がいることを知らなかった新入生、というのが納得できる。逆に衝動的な犯行でない場合、例えば最初から復讐目的で入学してきた生徒がいる場合、一年も我慢できるとは思えないよ。職業として暗殺者やってる人がいれば違うんだろうけど、それも失敗の可能性とかける期間考えると、まあないだろうね」
メアとレオゥはその言葉を吟味するように思索に耽った。二人とも、納得できる部分は非常に多いと思った。その中でも一番参考になったのは、追跡者の存在。犯罪の隠蔽という犯人の視線に立つと、これほど厄介な存在は他にいない。
だが、レオゥがややあって口を開いた。
「納得できる部分もあるが、やはりウルスも他人を過大評価していると思う。人間はそんなに理性的に考えられる奴ばかりじゃない。衝動的に殺した可能性ってのは十分にあると思う。それに」
レオゥは非常に言いづらそうに少し言い淀んだ。だが、ウルスの試すような視線を受け、渋々と言った様子で口を開く。
「その条件だと犯人候補にウルスも入ってるぞ。一年生じゃないけど、新入生だ」
きょとんとした顔でウルスは首を傾げ、確かに、と手を叩いた。
「確かに。本当だね」
「他人事だな」
「ふふふ、正体を知られたからにはしょうがない。ここで口封じをしよう、か!」
そう言ってウルスはメアを背後から抱きしめて寝台に引きずり込んだ。顔を真っ赤にしたメアがじたばたと暴れるが、寝技の技術もウルスは優れているようで、メアは綺麗に羽交い絞めにされてしまった。
レオゥが窓の外の景色を眺めていると、メアの首に腕を回したまま、ウルスが問いかけた。
「そういえば、まだレオゥの意見を聞いてなかったね。レオゥはどう思う?」
「新入生」
「はー? あんだけ俺らに文句言っておいてそれ?」
「そりゃもう立派な根拠があるんでしょうなあ」
ぴたりと動きを止めて文句を言ってくる二人に対し、レオゥは自身の枕を投げつけて黙らせた。
「さっきちょろっと聞いたが、ばらばら死体らしいからな。ウルスも挙げたが、目的は復讐だと思う。だとすれば一年待てないというのもわかる」
「それ噂じゃん」
「噂の葉には必ず種がある。ばらばらとまでいかなくても、死体が激しく損壊してたりとかはするんじゃないか?」
「復讐だとしても、慎重な復讐者って線はないの?」
「その割には計画性がない。もし在校生が時期を見計らってやるなら、人の出入りが激しい時期、一年生が学校に入ってくる時期にやると思う。で、殺したらそのまま門から出ていく」
「先生は門開けられるけど?」
「だとしても卒業生が出ていく時期の方が良い。森の中を走破できるなら違うが、最寄りの港町ではよそ者は目立つ。逃げる側からしたら不利だ」
「まだ校内にいる可能性は?」
「なくはないが、追跡者がいるんだ。できるだけ早く逃げたいだろ。ウィダッハの法律に準じると、殺人は基本的に死刑だ」
メアが上げた疑問は一つずつレオゥに潰される。納得できるところもあり、納得できないところもあり、メアは口を一文字に引き締めて悩む。だが、何かを言う前にレオゥが付け加えた。
「だが、もしまだ犯人が校内にいるなら、一年生かはわからないな」
「なんで?」
「エシュー先生を殺した理由がただの怨恨じゃない可能性がある」
「ほう」
その推理に興味深そうな反応を示したのはウルスだ。メアはそれに気を取られて緩んだ隙に腕から逃れてまた椅子に座る。
二人に期待の視線を向けられ、居心地悪そうに視線を逸らしながらレオゥは言った。
「エシュー先生の仕事は?」
「生徒の治療」
「そうだ。で、あの人の腕は超一流だ。それを知っている生徒なら半端な殺し方はしないだろう。怨恨でばらばらにしたのではなく、きちんと殺しきるためにばらばらにした可能性が出てくるわけだ。じゃあ、なぜエシュー先生を殺したのか。怨恨でないならばなぜ? この学校を町で例えるとエシュー先生は病院。病院を真っ先に潰す場合は?」
「まさか」
「そう、これは始まりに過ぎない可能性がある」
レオゥは相変わらずの淡々とした話し方で呟いた。
「誰かがこの学校に戦争を仕掛けている可能性がある」
メアとウルスはごくりと唾を飲んだ。冒険をする際に最も安全な場所に置くべきは治療役であり、つまりは最初に削られて最も困るのは治療役。折角相手の兵士を負傷させても即座に復帰されたら意味がない。それを狙い打つ行為は、まさに戦争の第一歩だ。
「という妄想な」
「……レオゥってどんな冗談も無表情で淡々と言うから本気かわからない」
「でもいい線行ってるかもよ?」
そう言ってメアはため息を吐き、ウルスはにやりと笑った。
その後は三人は真面目な話はせず、うだうだと暇な時間を過ごした。談話室から借りてきた旗棋をして煽り合ったり、部屋の中で疑似魔術戦をして先輩から怒られたり、各自が所持している本を交換して読みふけったりした。メアは心の中にまだもやもやとした悲しみのような何かを感じていたが、他の二人と話しているときだけはそれが気にならなかった。
そんなことをしていたら、気づいたら夜になっていた。魔術でウルスとレオゥを浮かせられないかとなんとか頑張っていたメアは、ふとそれに思い当って口にした。
「そういえば、ウルスは夜はどうするの?」
「確かに。寝るのまでこの部屋って訳にもいかないだろ。アウェア辺りなら快く部屋を貸してくれると思うし、女子寮に行ったらどうだ」
ウルスは目をぐるぐると回すと、にっこりと笑った。
「ここでいいよ」
「いや、あのな」
「メアもいいよね? ね?」
嫌だ、と口にするのは簡単だ。レオゥも納得するし、ウルスも食い下がったりはしないだろう。だが、その場合にウルスが寝る場所はあるのか、と考えると言葉に詰まった。アウェアであれば頼めば部屋で寝させてれるだろう。他の花組の女子だって同じだ。他の組の女子にも人気のあるウルスであればさらに選択肢は広がる。しかし、体の秘密を隠していたいウルスに取ってそれが好ましい選択であるとはメアには思えなかった。
それに、メアはどんな形でもウルスを拒絶する言葉を吐きたくなかった。昼間の酷く寂しそうな顔を思い出すと、少し胸の奥が痛む。
結局メアは二人から視線を逸らして答えた。
「別に、いいけど」
「やった」
「えー、頼むけど、何か始めるなら先に言ってくれよ? いや、眠りは深い方だからあまりに大きい声出されたりしなければ大丈夫か。静かに頼む」
メアは反論せず、肩を落として首を降るだけで応えた。
寝台を誰が使うかの論争も勃発したが、寝台は一人で使いたい派のレオゥと寝るのはメアと一緒で大丈夫派のウルスが結託した結果、多数決で穏便に終結した。俺は床で寝るよ派閥のメアの意見は叩き潰され、メアとウルスがメアの寝台、レオゥがレオゥの寝台で寝ることとなった。メアのおかしいだろという叫びは隣の部屋の住人に壁を叩かれたことによりかき消えた。
緊急事態と言うことで水浴びもせず、三人はいつもより早い時間に就寝の態勢をとる。
メアは背中にウルスの背中を感じつつ、自身の腕の臭いを嗅ぐ。
(臭くないかな。いや、臭いだろ。睡牛はなぜかすごく緑の匂いがして大丈夫なんだけど、それはそれとして臭いだろ。体を動かしてはないとはいえ、必ず汗はかくし一日で発生する垢の量だってキュッフェ様が――)
「メア」
ウルスの囁き声。掠れるような無声音。ウルスはメアとは反対方向、壁の方を向いているため、メアが聞き取れるぎりぎりの声量。
その声を聞いた瞬間、急に激しく脈打ち始める鼓動をなんとか抑えようとしていると、そんなメアに追い打ちをかけるようにウルスが囁く。
「ごめんね。迷惑だよね」
「迷惑じゃ、ないよ」
「でも、困ってる。ほら、今も」
ウルスは背を向けたまま、メアの指に自身の指を絡めた。その指先は少しだけ震えていた。
何か気の利いた一言を返そうと思ったが、思いつかず。メアはレオゥの寝息を確認して気を逸らす。
「ウルスは友達なんだから迷惑じゃない。俺が無知だから、どうしたらいいかわからないだけ。ウルスは、その、自分を女の子として扱ってほしい?」
言って、メアは失敗したと思った。ウルスの指に力が入ったからだ。あまりにも直接的過ぎたとメアは自分を殴りたくなった。
しかし、続くウルスの声はどこか楽しそうだった。
「ふふふ、どうだろうね。メアはさ、自分自身のこと、男だと思ってる?」
「当然思ってるけど」
「本当に? いつも何するときも自分は男だからどうだとか考えて動いている? そうじゃないときもない? 自分の行動の基準って、いつも自分の性別なの? もし……もしもそうじゃないとしたら、メアはどんなときに自分が男だと強く感じる?」
考え、メアはそれを口に出すか迷った。だが、眠気に押されて口から正直な言葉が漏れる。
「男だと感じるとき、は、女の子の前にいるときとか」
「でしょ。私もそうだよ。男の子の前にいると、女かも、って感じちゃう。まあ女の子の前にいるときも、男かもって感じて格好つけたくなっちゃったりはするんだけど。まあそう。色々。だけどさ。だからさ」
ぎゅうっとメアの手をウルスは握りしめた。
「メアには、女の子扱いしてほしい」
メアの脳内で色々な思いが駆け巡ったが、すべてを押し殺しメアは耐えた。そして、その手を握り返し、。
「じゃあ、こうやって一緒の寝台で寝ようとしたりしないで……! 普通の男は簡単に女の子と同衾したりはしないので……!」
「あ、勃っちゃった?」
「そういう発言も駄目! 女の子は駄目!」
「……るさいぞ、メア。大声を……だすな……」
慌てて口を塞ぎ、レオゥの方を確認する。寝ぼけた末の発言のようで、起きたわけではなさそうだった。それにメアは安堵するが、触れる背中が小刻みに揺れてのを感じ、複雑な気分になった。笑ってくれるのは良いが、笑われるのは嬉しくない。
メアは背中を押し付けてくるウルスを背中で押し返しながら、悶々とした夜を過ごした。




