表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

蟹は言った、青春したいと

作者: Wkumo

「青春したーい!」

 ある秋の夜、蟹が突然言い出した。

 青春って。学生じゃあるまいし。

「そんなこと言われてもな……お前、蟹学校で青春しなかったのか?」

「僕は真面目だったからね!」

「真面目だったから遊ばなかったって?」

「そう! だから青春したーい!」

「俺、青春って歳じゃないからお前と青春するのは無理だよ」

「青春に歳なんて関係ないでしょ! いいじゃん青春しようよ~」

「無理だって」

「え~、しようよぉ~」

「じゃあ訊くがな、青春っつったって何するんだ? こんなご時世、海にも山にも行けないだろ。河原で夕日に向かって走るのも無理だし」

「君もよく知ってるんじゃん! 青春! ほんとは憧れてるんじゃな~い?」

「ばっ憧れてなんか……」

「ニヤニヤ」

「擬音やめろ」

「じゃあさ、夜ご飯の後に一緒に映画観ようよ~!」

「なんかそれおうちデートみたいじゃないか?」

「同居してるのに何を今さら」

「映画はあんまり好きじゃない」

「じゃあ蟹Tubeでも観ようよ~」

「動画は一人で見たい」

「……わかった、デザート作るから一緒に食べよう」

「それ青春か? いつも通りでは?」

「ふっふっふ……いつも通りじゃないんだよ。聞いて驚け。今日のデザートは……ラムネフルーツポンチでーす!」

「おお……!」

「いいでしょいいでしょ」

「青春だな……」

 と言ってしまってから、何が? と思ったが、たぶんラムネがシュワシュワで青春っぽいからとかそういう感じの何かだろう。

「楽しみにしといて!」

「ああ」

 コオロギが鳴いている。

 今日も俺と蟹は元気だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ