31. くらい部屋(7)
むねをはる小鬼たちにヒロユキは彼らをみる目をあらためた。
ただおカネにこまかいだけの一族ではないらしい。
ヒロユキはハッとして
「あすかちゃんはだいじょうぶだった?ジェーン」
「人間のメス、ぴんぴん。でも、しおしお。イロユキとられたから。ジェーン、最後まであのメスにつかまらなかったよ。えらい?」
今はそれどころじゃないんだけど、まあ、あすかちゃんにケガがなくてよかった。
いかにもほめてほしそうに、すりよってくるジェーンの頭を「えらい、えらい」となでながら
「ゴブリンってすごいんだね。あんな地下室に侵入してきて、ぼくをつれだすなんて。まるで映画に出てくる特殊部隊だ」
とジョーンズに賛辞をおくると、彼はうれしそうに鼻をふくらかして
「あっしらが優秀なこと、まちがいありやせん。ただ、オメエさんがそんなに大きくなくて、よござんした。もう少し大きかったら、あっしら、オメエさんを運び出せ、やせん」
そして、つづけて
「『シカを守るもの』たち、あっしらを信用しなかった。けど、あっしらウソを言って、やせん。あのツノジカをぬすんだの、あっしらじゃ、ありやせん。あっしらがはこべる大きさ、せいぜいオメエさんぐらい。あのツノジカは、大きすぎやす」
ヒロユキには、ジョーンズがウソを言っているようには思えなかった。
「……そうか、あの小さいこどもは小鬼じゃないんだね。じゃあ探索はイチからふりだしだ……」
気落ちしているヒロユキを見て、ジェーンがゴニョゴニョと、ジョーンズに耳打ちした。
ジョーンズはうなずいて
「あっしら、ツノジカのぬすみにかかわって、やせん。けれど、ツノジカをぬすみだ、せそうなもの、心当たり、ありやす。あっしら、オメエさんをそいつに紹介してやっても、よござんす」
「えっ?ほんとう?」
「Princessがfriendとみとめたオメエさん、特別で、やす。ただ、そいつに会うのはオメエさん一人、でやす。『シカを守るもの』はダメ」
「えっ?なんで?」
「そいつ、つきあいわるい。人に知られるの、きらう。それにそいつ、とても危険。あっしらも会いたく、ありゃ、せん。だから、もし、そいつに会うのなら、オメエさんひとり。それでもいいならSetする。どうし、やすか?」
どうも、本気でジョーンズはいやがっているようだ。
よっぽどこわい相手らしいが、プリンセスのたのみとあって、しぶしぶ、取り持つ気らしい。
ヒロユキは、遠くに見える博物館を見た。
こうしているいまも、あそこに両親がとらわれの身となっているのだ。
「うん、会うよ。お願い」




