30. くらい部屋(6)
博物館から少し離れた道路のマンホールがあけられ、そこからゴーグルにガスマスクをした小さな、しかしどうも大人びた動きを見せるものたちが、わらわらとあらわれた。
その小さなものたちにかつがれるようにして地上に出てきたのは、同じくガスマスクをつけられた人間のこども・ヒロユキだ。
「ぷはぁ――っ!」
マスクを外し深呼吸をするヒロユキのまえに、さらにちっちゃいものが顔を出した。
「ウフフ。イロユキ、つかまえた」
まるで子猫のようにいたずらっぽく笑うのは、知りあったばっかりの小鬼の女の子だ。
「やあ、ジェーン、たすけに来てくれたの?どうもありがとう」
どうやら、あのひっつきむしはGPSのようなはたらきを持ってヒロユキの位置を示していたらしい。
ヒロユキはまわりを取り囲む小鬼の集団を見わたして
「あなたたちだけでたすけてくれたの?ツノジカ団は?」
それにこたえたのは、ジョーンズだ。
「あっしらがオメエさんをたすけに来たこと、『シカを守るもの』だれも知りやせん。やつらのもめごとで、あっしらの家、燃えやした。だから『シカを守るもの』に協力する義理、あっしら、ござんせん。ただオメエさんは別、でさあ、ニンゲンこども。オメエさんは、うちのPrincessがあぶないとこ、たすけてくれやした」
あぶないとこって……ああ、タイヤ置場で吹きとばされそうになったジェーンをかかえたことか。あんなのたいしたこと……えっ?プリンセスって、ジェーンってお姫さまなの?
「だからたすけに来やした。あっしらは義理 堅うござんす。受けた恩は返しやす」




