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第二十六話





 カマキリもどき戦では身体能力とツノの進化を確認できた。

 身体能力はすでに地球の尺度で考えれば超人的だ。投げれば300km/hオーバーだし、踏み込みのスピードを考えれば、100m走も9秒台どころか、その半分、5秒以内だ。走って時速100kmが見えてくる世界。

 だが、もっと超人的なのはツノの進化だ。

 もともと、ツノ一本を、一方向に、一メートル程だけ伸ばすことができた。それでも十分強力だが、手数、アプローチともにこの洞窟の住人たちに対抗するには足りないものだらけの能力であった。

 だが、核が増えて、化けた。

 ツノ四本から、それぞれさらに四本づつ、四メートルほど伸ばすことができる様になったのだ。

 つまり、四本同時に伸ばせる。一本から伸びているツノを四回折り曲げ、方向転換できる。しかも、リーチが伸びる。最高四×四で十六メートルだ。

 その成果の一つがカマキリもどきへのウイニングショットだ。【ツノやり】を体内でさらに枝分かれさせる。体の内側での、内側からの攻撃だ。さすがのバケモノどもでもキツいはずだろう。

 他にも新たに伸ばす上でインターバルが短くなったとか伸ばしたツノを途中で消去できる様になったとか使い勝手が増した。

 これで、あの四本ヅノの鬼により一層近づいた。というか見かけだけなら直樹自身も四本ヅノの鬼だ。

 だが、それでも攻撃できるのは十五、六メートルほどが限界。中距離攻撃にも飛び道具にも程遠い。最初の最初、はじまりの大広間にて、四本ヅノの鬼は鳥人に攻撃を仕掛けるために、白い突起物の大群を地面から突き出した。そして、中空で折り曲げさせながら伸ばし、鳥人を追いかけ続けていた。

 操作性、創造性ともに四本ヅノの鬼の所業には及びもつかない。 

 同じ四本ヅノになれど、かの四本ヅノの鬼の姿はまだまだ遠い。

 やはりまずは五つ持ちに進化しないとはじまらない。彼の領域はきっとその先だ。



 「グォォォォ!」


 デカゴリラは雄叫びをあげる。

 暑苦しい。 

 直樹とカマキリもどきの戦いが見えていたのだろう。昂ぶっているのか、それとも、威嚇しているのか、デカゴリラは吠える。

 大きな、大きな立ち姿。発達した二本の腕。無駄にでかい胸筋。暑苦しい顔。……ゴリマッチョ。

 ゴリマッチョ。肩を組んできて白い歯を見せて笑っていたら、即刻逃げたくなるだろう。嫌な記憶が蘇る。ボッチの天敵、誰とでも仲良くできる体育会系。誰もがお前と話してて楽しいだなんて思うなよ。……お、おいっ、俺の表情筋。ニヤけるなっ。仕事しろっっ。た、楽しくなんかないんだからなっ……。

 ……余計なことを考えさせられた。クソゴリラ、ゆるさない。

 デカゴリラの見た目は黒い毛が全身から生えたゴリマッチョだ。地球のゴリラと対して変わらない。

 だが、地球のゴリラより、デカい。身長は五メートルほどある。

 そして、その大きな身長にさえ伴わないくらい、腕が太い。上腕二頭筋、チョモランマっ! 

 肩なんてデカすぎて、血管が浮かび上がってる。566(ゴリラ)番っ、肩メロンっ!

 腹筋なんて山と谷がくっきり、まるで山脈がそびえ立っているようだ。566(ゴリラ)番っ、腹筋ちぎりパンっ!

 もう、大きすぎっ。566番大きすぎて、他が見えないっっ!!

 (ん?……どんどん、大きくなって、他が見えなくなって……こっちに突進してきてね⁉︎)


 「グォォォォッ!」


 デカゴリラは巨体を揺らし、直樹へタックルを仕掛けてくる。

 直樹がデカゴリラの容姿にある意味女神様クラスの衝撃を受けている間に、もう目前まで距離を縮めていて……


 「うぉぉぉぉっ!」

 「ドッガァァァン!」


 直樹は間一髪、避ける。

 だが、一撃、たった一撃で直樹の背後の岩の棘を吹き飛ばした。

 当然攻撃は一発では終わらない。

 追撃だ。デカゴリラは直樹へ向かって大振りで荒い右ストレートを放つ。

 

 「ドッガァァァン!」

 

 粉々だ。背後の岩が粉々に砕けた。

 (どんな馬鹿力だよっ⁉︎ )

 直樹は顔を真っ青にし、血の気を引かせる。

 今まで、何度も受けたら即死の攻撃を受けてきた。それでも、グチャグチャのスプラッタは怖い。

 直樹は思考を、戦法を整えようと、一回距離を取ろうとして……

 (今度はアッパーっ⁉︎ )

 デカゴリラの次の動きは空いていた左腕でのアッパーカット。力任せに荒々しく腕をかち上げてくる。

 もしかしたら、デカゴリラにとってはボディブローを打ってるくらいの感覚なのかもしれない。体格差的に直樹の頭の位置はデカゴリラの腰より低い。

 だからだろうか、デカゴリラの攻撃は思いの外、隙がなく、直樹は避けることもできずに……

 【ツノ弾丸】!


 「ドォォォン!」


 カウンター。

 アッパーに向かってツノを弾丸のように打ち出す。

 四本全て、最高出力で打ち出す。

 緊急時の奥の手だ。こんな簡単にこのカードを切らされるはずではなかった。

 直樹は忸怩たる思いで、攻撃を弾こうとする。

 だが、デカゴリラの筋肉はそれをも上回った。


 「ボキボキボキッ⁉︎ 」


 ツノがへし折れていく。

 (なっ⁉︎ )

 直樹の用意できる最高クラスの防御。

 だが、それが簡単に無に返される。

 目の前のデカゴリラの拳はツノの迎撃を受けてなお、止まらない。

 直樹は咄嗟に片腕をデカゴリラの拳との間に差し込み、なけなしの防御態勢をとるが……


 「ドゴォォンッッ!」


 小鬼は無残にも宙へ打ち上げられる。

 拳を振り切った黒毛の筋肉はどことなく気持ち良さそうだ。

 そして、デカゴリラは振り上げた腕を再度引き絞り、今度はサッカーボールを蹴り上げるような、いや、サッカーボールを破裂させそうな、強烈なキックを見舞わんと予備動作をとり出した。

 (ヤバいヤバいヤバい、食らったら吹き飛ぶっ! なんとか……なんとかしないとっ!)

 中空の直樹は、焦りに汗を滲ませる間も無く、回避行動を取る。

 (ツノだっ……の、伸びろぉぉぉ!)

 直樹は地面へ向けて、ツノを打ち出して、落下のタイミングを遅らせる。

 デカゴリラの蹴撃は変わらず、力強く繰り出され……


 「ドォォォン!」


 命中した。

 強烈なキックは直樹の左脚を粉々にした。

 これで直樹は右腕と左脚を失った。

 だが、千載一遇のチャンスを得た。

 (派手な蹴り……ボディがガラ空きだっ!)

 直樹は攻撃を喰らえども、命を繋いで、ついに、反撃のチャンスを得た。 

 デカゴリラは蹴りのフォロースルーで両手両脚ともに自由が利かない。またとないチャンス。


 「うぉぉぉぉぉぉっ!」


 狙うはカマキリもどきを沈めた一撃。突き刺し、体内で枝のように伸び分かれる必殺の技。

 直樹は雄叫びとともに、ツノの槍を繰り出す。

 (いけぇぇぇぇっ!!)

 




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