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嘘をつくわけではないが、正直に自分の本心を話すということもない。あらゆる事柄がどうでもいいものであるかのように話す。真面目に話をしたい人間にとってはその態度がひどく腹立たしく感じるらしく、私はなるべく真面目な話がしたい人間との接触を避けるようにしている。腹を割って話したいとか君の本心を聞かせてほしいとか言われたらもう危険信号が赤く灯っている。第一、他人の本心や内奥に隠し持っている事柄を軽々しく聞き出せると相手が思っているかもしれないということに私は恐怖を感じてしまう。もしかして相手は今私に見せている側面だけが全てでそれで全て晒してしまっているということに相手の中ではなっているのだろか。弱みや恥ずかしいところなど一つもないという素直さで持って私を威圧しているのだということに相手は気がついているのだろうか。隠し事の一切無い人間というのは明らかな嘘しか吐かないような相手と一緒だと思う。何を話しても聞いた通りの当たり前の答えしか返ってこない。聞く前から分かっているような、聞いたところでどうでもいいような、言葉に動きがなく、固まって、死んでしまっている。無機物のようなものだ。会話が楽しくないとだけいえばいいのかもしれないが。




