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59 大陸到着

 今さらながらだけど、私たちが飛ばされた別大陸をセイファート大陸と言い、私たちの故郷であるアルマク帝国やアルデバラン王国がある大陸をメイオール大陸と言う。

 詳細な事はわからないが、セイファート大陸は縦長な大陸であり、メイオール大陸は横長な大陸である。

 さらに言えば、私たちの故郷のアルマク帝国やアルデバラン王国、ついでにアルカイド竜国はメイオール大陸の最東端にある。

 ちなみにこの三国が東側での最大勢力を誇る大国だったりする。

 アルアルばっかアルけど。

 つまり、何が言いたいかというと、私たちは無事にセイファート大陸からメイオール大陸に戻ってくることが出来た。

 だけど、ここはメイオール大陸の最西端。

 同じ大陸に戻ってくることが出来たとはいえまだまだ旅は続くってことだ。


「こうして陸路で旅をするのも久しぶりだね」


 御者席で手綱を握りながらつぶやく。

 もちろん馬車を引くのはユニコである。


「そうですわね。こうしていると大地のありがたみがわかりますわ」

「ミラ、定期的に酔っていたもんね。まったく何で馬車の揺れは大丈夫なのに船はだめなのか」

「そういう事ではないのですが。まあ、確かに船はダメでしたけど」


 船旅の間、私はミラに定期的に酔い止めの回復魔法をかけていたりする。

 かなり持続する魔法だったけど、1月もずっと持続するわけにはいかないので定期的にかけなおしていた。

 つまり、効果が薄れている間に何度か船酔いをしていたのだ。


「それもいい経験だよ」

「そうですわね。この旅のすべてがわたくしにとって初めての経験ばかりですわ。昨日までの海の旅だって」

「まあ、変な奴に襲われたりもしたけどね」

「人が思い出に浸っているのに変な事言わないでくださいまし」


 いや、だって。

 あの船旅で一番の思い出とかあの変な奴、鮮血の淑女会のリベラが襲撃してきたことじゃないか。

 あの後は、沈んだ海賊船から可能な限りの海賊たちを救助するので大変だった。

 海に放り出された海賊たちをどうするかってなったんだけど、結局助けることにしたんだよね。

 海賊だからって助けられる命を見捨てる訳にはいかないからね。


 え? 今まで盗賊とか散々殺してきただろって?

 まあ、そうだけど、私別に相手が犯罪者だからって殺すべしだなんてあんまり考えていないし。

 必要なら殺すけどって感じだ。

 ミラと盗賊に捕まっていた時はミラとか他の人たちを守ってて余裕があまりなかったからだし、アルカイド王国に行くときに出会った盗賊は、殺すつもりで戦わないと何人かに逃げられたからだし。

 他に領地にいるときに盗賊を狩りまわっていた時も降伏して捕まるならちゃんと命は奪っていなかったりするんだよ。

 まあでも、基本的には盗賊とかは死ねばいいと思っているので殺しても何とも思わないし手加減とかは一切しないけど。

 彼らのせいでどれだけの人が被害に合っているのかと思うとね。


 そして今回は海上という事で海賊たちに逃げられることはないし、助けてあげてもいいかなってなったから助けることにしたのだ。

 助けた時にはとても感謝された。

 なんでも突然リベラに海賊船を乗っ取られてからロクな目に合わなかったそうだ。

 だからって可哀想だとは思わないけどね。

 助けた海賊たちは須らく捕えて、メイオール大陸に渡った後、しかるべき組織に引き渡した。

 今頃牢屋にぶち込まれていることだろう。

 せいぜい法の裁きを受けるといい。

 そういやあそこの法整備ってどうなっているのかな。

 うちだったら捕まえた盗賊とかは収容後、取り調べして裁判後に強制労働だけど。

 よほどのことがない限り出られません。


「変なのとは言うがな、アイツかなりの強者だっただろ」


 馬車の中からにゅっとカイエンさんが顔を出してきた。

 ちなみにカイエンは御者をしない。

 と言うか出来ない。

 カイエンさんが御者をしようとするとユニコが嫌がるのだ。

 ユニコもカイエンさんのことが嫌いという訳ではなく、ちゃんと仲間だと認識はしているみたいだけど、それとこれとは別で御者をしたり背中に乗せたりするのは拒否したりする。

 だから、私たちみたいな小娘に御者を任せて自分は馬車の中でくつろいでいるのだ。

 いや別にそんなことで恨んだりはしていないけど。


 閑話休題。

 確かにリベラは強かった。

 私たち3人がかりで戦って倒しきれなかったのだから。

 それにリベラの能力的に船を沈められなかったのが幸運なくらいだ。

 もしリベラが船を沈めるつもりなら私たちが乗る船は呆気なく沈められていたかもしれない。

 それくらい厄介で強かった。

 最後には海の底に沈んでいったけど、ああいう手合いは生きていると思った方がいいね。

 ただまあ、


「あいつらのこれまでを見ているとイロモノにしか見えなくて」


 リベラ自分で海の底に沈んでいったように、今まで出会った鮮血の淑女会のメンバーがなぁ。

 強いんだけど、全員最後があほらしくて。


「鮮血の淑女会だったか?」

「うん、カイエンさんは聞いたことある?」

「いや、ないな」


 初めて会ったのはセイファート大陸だったけど、カイエンさんも知らないのか。

 あの辺りが拠点ってわけでもないのかな。


「確かにあのリベラとかいう娘はあほらしかったが、実力があったのには違いない。他のメンバーがどれほどのもので何人いるのかわからないが、リベラと同じくらい実力がそろっているのならかなり厄介な組織だぞ。どうにもお前さんは目をつけられているようだし」

「うん。何より黒い宝玉に関わっているみたいだからね」


 2人目まではほぼ偶然の産物だったけど、リベラは黒い宝玉を狙ってきた。

 しかも海のど真ん中で。


『もしかしたら何らかの手段で私たちの位置が分かっているのかもしれないわね』


 旅をしている以上、私たちは動き回っているわけだからそうそう出会わないだろうと思いたいけど、メーティスの言う通り鮮血の淑女会が私たちの位置を把握している可能性がある以上はそうはいかない。

 アークとのつながりも気になるところだし。


「変なのでも油断だけはするなよってことだ」

「うん。分かった」


 私もこの容姿だから弱弱しい印象を受けて相手が油断することが良くあるけど、私がその印象で油断するのはダメだよね。

 油断することの恐ろしさはよく知っている。


「まあ、結局は出たとこ勝負だ。なるようになる。今は旅に集中するべきだな」

「そうだね」


 鮮血の淑女会も重要だけど、あくまでも私たちの目的はミラを故郷に送り届けることだからね。

 私たちはその一歩としてまずは霊樹に向かっている。

 メイオール大陸の最西端から北西に向かってある大森林の中心に霊樹が存在しているらしい。

 聞けばカイエンさんはメイオール大陸を旅している時に霊樹を見たことがあるとのことだ。

 私たちはカイエンさんの案内の元、北西に向かっている最中である。

 カイエンさん記憶によると、だいたい1週間くらいで大森林の近くの町まで着くそうである。


 メイオール大陸に到着して最初の目的地である霊樹。

 そこで私たちは新たな出会いを果たすことになる。




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