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49 剣聖カイエン

「そうか、流星、デュランの弟子か」


 そう言うと男は私に向けていた剣を収めた。


「ほら、立て」

「え、うん、ありがとう」


 手を差し伸べられたので取って立ち上がる。

 えーと、なにこれ。


「デュランは元気か?」

「えーと、師匠はもう亡くなったよ」

「そうか。もうそんなに経ったのか」


 師匠が死んだと知ると男は少しだけ悲しそうな顔をした。


「それはともかくいきなり切ってすまないな。後ろから見たら魔物かと思ってな。竜人族でもないみたいだな。お前みたいなやつは初めて見たぞ」

「それにしてはそのあと痛い目に合ってもらうぞとか言われたんだけど」

「敵か味方かわからなかったからな。それに少し興が乗ったのもある。許せ」

「......」


 どうもこの人は一人で完結させている節があるね。

 さっきも結局一発も入れられなかったし。

 悔しい。


「それとお前はスピカであっているのか?」

「そうだよ。なんで知っているの? あなたは何者?」

「俺の名はカイエンだ。この辺りでは剣聖と呼ばれているな。それでソリストの奴から要請を受けてな。遺跡の内部に入ったスピカとミラという少女を助けて欲しいってな。それとトリスタンの討伐だな」

「なるほどね。ソリストさんからの援護ね。その助ける相手を切るのはどうかと思うけど」

「仕方ないだろう。そんな人か竜かわからない奴とは知らなかったんだ。白い少女としか聞いてなかったしな」


 まあ、ソリストさんもこの姿は知らないしね。

 後ろから見たら魔物に見えても仕方ないのかな?

 たぶん。


「この姿は内緒でお願い。それにしても、カイエンさん。どっかで聞いたことがあるような気がするね。カイエン、剣聖、剣聖カイエン」

『もしかして、師匠が昔戦ったっていう伝説の剣聖じゃない?』

「それだ!! 剣聖カイエン!!」


 思い出した。

 師匠が昔、若い時に戦って殺されかけたっていう相手だ。

 その後何故か剣を教えてくれたらしいけど。


「お、知っているのか。デュランが話したのか」

「いや、ちょっと待って、師匠が若い時にすでに壮年だったって聞いているよ。一体何歳なの!?」

「わからん、100は超えている気がするけどもう数えていないからな」

「え、人族だよね」

「ああ、昔魔女と戦った時に呪われてな。それ以降年は取らなくなった」


 そんなめちゃくちゃな。

 それに呪われたっていうけど、そんな様子全然ないんだけど。


「それよりもさっさと行くぞ。向こうで戦闘が起こっているからな」

「え、ミラ戦ってるの!? だったら早く行こう。一緒に戦ってくれるんでしょ?」

「ああ、もちろんだ」


 戦っている時はあまりの強さに焦ったけど、味方となるならかなり頼もしい。

 ていうかミラ大丈夫かな。

 怪我していないと良いけど。


 カイエンさんと共に奥に向かう。

 幸いにも通路にはアンデットの類は一切いない。

 通路を駆け抜けると、そこは行き止まりだった。

 しかも、ガルスさんがそこに倒れていた。


「ガルスさん? なんでこんな所に。それにミラは」


 と疑問に思っていると、壁の向こう側からすごい音が聞こえる。


「なるほど、魔法か何かで通路を塞いでいたか」

「だったらカイエンさん、斬っちゃって」

「任せろ」


 キンッと音がすると土壁は一瞬にしてバラバラになって崩れ落ちた。

 崩れ落ちた壁の向こう側があらわになる。

 そこで私たちが目にしたのは、無数の巨大な大地の槍がフロア内に張り巡らされ、その上を駆け巡りながら敵の攻撃を避けるミラを乗せたユニコと、それを追いつつも他から生えてくる大地の槍の対処に苦戦しているトリスタンの姿だった。



 ー▽ー


 ミラすごいね。

 ユニコを機動力にすることで移動砲台になっているから敵の攻撃が当たらないし、ミラ自身の魔法も周りが土だらけという事もあってそこから出す槍で攻撃している。

 トリスタンもなんだか昨日の夜に比べて強化されている感じがあったけど、ミラもそれに負けていない。

 ここまでとは。


「ミラ!!」

「スピカ!!」


 私が叫ぶと、ミラとユニコは私に気が付いたようで私たちの元までやって来た。


「ミラ、大丈夫?」

「ええ、問題はありませんわ。少し苦戦していますけど。それよりもそちらの方は」

「ああ、味方だったみたい」

「そうですか」


 私たちが来たので仕切り直しという事か、トリスタンは距離を取り、ミラは巨大な大地の槍を元に戻した。


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