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35 ミラの修行

やっと、続きが出せる。

ユニコーンが生息する清らかな泉のほとりにてミラは座禅を組み、目を閉じて意識を集中させている。


「己が魔力と自然と同調させるのだ」


その側ではユニコーンの長であるユニケルさんが念話でミラにアドバイスしている。


「む、むむ」


悪戦苦闘しながらも、ミラはアドバイスに従って魔法を発動させる。

ミラが念じた通りに泉の水が盛り上がり、まるで生き物のように変幻自在に動きまわる。


「あっ」


次第に複雑な動きをみせていくが、ミラの集中が切れたのか水は重力に従って落下し、大きな水しぶきを上げた。


「また失敗してしまいましたわ」

「いや、先ほどよりも精度は上がっている。自然魔法の基礎とはいえ、この短時間でここまでできるなら大したものだ。じきにマスターするだろう」

「ふぅ。ならばもう一回」


もう一度魔法を発動させようとするが、私はそれを止めに入った。


「ミラーー、ごはんできたよ。先に食べよう」

「そうするがよい。始めたばかりなのだ。焦ってもしかたあるまい」

「はい」


ミラは修行を中断してこっちに来た。

そこは木漏れ日に照らされた広場で、木でできたテーブルや椅子がある。


私が作った物だ。

悪くはない出来だと思う。


テーブルの上には、木の実やらキノコやら魚やらが使われた料理が並べられている。

まあ、私が作ったんだけど。

なんだかんだで野宿だったりすることがあった私はこういった料理も得意だし、ミラの口にも十分あうはず。


「ミラが頑張っているみたいだから腕によりをかけちゃった。どうお味は?」

「とてもおいしいですわ」


ふふふ。

良かった。

頑張って作った甲斐があったよ。


「それはよかった。それでどう魔法の修行は?」

「そうですわね。なかなかユニケル様のようにうまくいきませんわ」


確かにユニケルさんは何度か手本としてミラと同じように水を操って見せたが、まさに変幻自在で繊細で芸術的な動きをしていた。

しかも、ミラのように集中するのではなく、まるで手足のごとく自然に操ってみせていた。

とりあえずのミラの目標はこのレベルまで水を操れるようになることであるらしい。


『うまくいかないって言ってるけど、ミラが習得しようとしてる魔法って今の時代にない魔法なのよ』

「そうなの?」

『ええ。大昔の大魔術師が使えたみたいだけど、そもそも人が使えるような魔法じゃないみたい』

「じゃあミラってやっぱり」

『私たちの予想を超えての天才』


まじかぁ。

いや、魔力量も多いし習得も早いから天才的だとは思っていたけどそこまでとは。


「でも、魔法を使うのは楽しいですわ。こんなに楽しいのは初めてかもしれません」


そして、たとえうまくいかずともそれを楽しいと感じる感性を持ち合わせていた。

魔法を楽しいと感じ、大きな才能を持つミラは魔法の申し子のような存在だね。


「そっか、それはよかった。幸いこの辺りは安全だし思う存分やるといいよ」

「はいっ」


会話を楽しみながら食事を終え、ミラは再び修行に、私はユニコーンの子たちと遊んだり、剣を振るったり、周囲の探索をしたりした。

ユニコーンの子たちの中でもあの時生まれた子供が一番私とミラに懐いていて、いつもどちらかの側にいる。

そんなある日、私は森の出口を探しに食材探しを兼ねて少し遠くまで行くことにしたので、人竜化して遠くまで飛んで行っていた。

で、これは後で聞いたことなんだけど。


いつもなら、生まれて間もないのに私を背中に乗せて泉の近くを散歩するんだけどその日は私はいなかった。

聡いこの子は普段なら邪魔してはいけないと修行をしている時のミラの元に近寄らないのだけど、寂しく思ったのかミラに近づき誤って角でミラをつついてしまう。


「ひゃっ!?」


集中していたミラはユニコーンの子の接近に気づかず、突然の感触にびっくりして飛び上がる。


「び、びっくりしましたわ。駄目ですわよ背中をつついては」


優しく注意するミラであったが、ユニコーンの子はミラのことが大好きであるため、彼女に注意されてしょんぼりしてしまった。


「ふむ。これは。ミラよ」

「あああ、ごめんなさい怒ってるわけじゃありませんの、って、はいどうしました?」


そんなユニコーンの子を慌てた慰めるミラだったけど、ユニケルさんに呼ばれたため振り向いた。


「見よ、できているぞ」


そこに写った光景は特別意識しないでも水が空中でとどまっている光景であった。

いつもなら集中がきれると魔法が解け、水が落ちてしまうのだが、今は魔法が解けることなく操ることが出来る。


「あ、できている。できていますわ!!」


一度コツをつかめばこっちのもの。

先ほどまではどうしても意識を集中させないとできなかったが、もはや手足と同然とばかりに水を操る。


「やった、やりましたわ! あなたのおかげですわ!!」


コツをつかむキッカケを与えてくれたユニコーンの子にミラは抱くつく。

ユニコーンの子もミラが喜んでいるならと一緒になって喜んだ。


ってことがあったらしい。


うん、偶然だったんだろうけど、ミラってホントにすごい。

ミラの修行は始まったばかりだけど、確実に魔法使いとしての一歩を歩みだしていた。



適正の問題もあるけど、ミラが練習している自然魔法は才能ある魔法使いが生涯かけても習得できないレベルの魔法。

ちなみにミラはここまで1週間。

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