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豪雨の夜に…

作者: ブルータスの雨宿り

詩・短編を書いてみました

素人が書いたので

気に入っていただけるか分かりませんが

一生懸命に書いてみました

暇なときにでも読んで

楽しんで頂けると幸いです(^_^)



それは、激しい雨音が窓の外から響いてくる真夜中の事でした


私は暗いリビングに立って、うつ伏せに倒れている旦那を見ていました


彼からは赤い液体が流れ出て、その液体が床を赤く染めていく度に、目の前に映る現実を少しずつ理解していきました


しかし、私は声をあげる事はしませんでした

何故かは分かりません

とにかく、声をあげるという選択肢が頭に浮かばなかったのです


私は、目の前の肉の塊を隠そうと思い、それをキッチンの床下収納まで引きずって、床下収納へと押し込みました

その後、床に広がった赤い液体を綺麗に拭き取り、この空間を何事もなかったかのような日常に戻しました


それから、旦那のいない生活が始まりましたが、人が一人いないという歪みは当然のように生まれ、彼が通勤していた会社から連絡があったのです

私は風邪を引いてるとウソをつき、電話を切りました

これで、歪みは無くなると思っていました


しかし、ある日

自宅のインターホンが鳴ったので、玄関のドアを開けました

すると、数人の警察官が立っていたのです

私はとっさに平常心を装いました


『何かあったのですか?』

『実は、旦那さんのご家族から通報がありまして…。ご自宅を捜索させて頂けませんか?』


その言葉に私は何も言葉が浮かばず、呆然と警察官を見てしてしまいました

その態度、警察官は怪しいと思ったのか無理矢理、入ってきたのです

そして、彼らは家の中を捜索し、『キッチンから悪臭がする』と言って、床下収納を開け、死体を発見してしました


私は気づかなかったのですが、死体から放つ臭いは相当な悪臭だったらしく、警察官達は鼻を抑えることで必死になってました


その後、彼らはすぐに私を逮捕し、警察署にて取り調べが行われました

私の担当になった刑事さんは『正直に言え!!』と怒気を含ませて、尋問を行なってきました

しかし、私は動じることなく『してません』と言うと、刑事はさらに怒気を含ませて尋問を行ってきました


その押し問答を繰り返していくうちに事件を調査していた別の刑事が、私が殺害した証拠を集めてきて、それを私に見せつけてきたのです


恐らく『もう言い逃れできないぞ!』と伝えたかったのでしょう

でも、私は動じることなく、『してません』と答え続けました


しかし、その後、警察は証拠を武器に私を立件し、裁判を起こしました

そして、裁判所で私が何故こんなことをしてしまったのかを確認するために、検察官が私の今までの人生を語り始めたのです……



この奇行のキッカケは、小学生の頃にまで遡ります

当時の私は大好きな理科の授業を受けてました

その時の授業は、生物の構造について理解するもので、先生は私達に理解させる為にガマカエルを用意し、それを解剖していきました

そして、それを終えたときこう言ったのです


『生き物の中には血液が通っているんだよ』と…


授業はそこで終わりましたが、この言葉が頭の中にこびり付いてしまった私は、本当にそうなのか確認してみたくなりました

学校から帰ってる途中で見つけた泥だらけの捨てられた子犬を拾い上げ、誰もいない空き地へ連れていきました

そして、その場所で筆箱に入れていたカッターを使い、子犬の身体を切りました


腹から縦に一直線にです


すると、悲鳴をあげる子犬から赤い液体が流れ出し、それを見た私は心の中で小さな興奮を感じました


それは黒い煙のようなモノで、何かを支配するように広がっていく…


その後、動かなくなった子犬を土に埋めて、家へ帰りました

その後の私はその煙を払うように、時間を見つけては捨てられている動物を探し、動物を見つけたら持ってきた刃物で切り刻んでいきました

普通の人から見れば猟奇的なこの行動も、私からすれば頭に浮かんだ煙を払うようだけの行動しかありませんでした



中学生に進学すると、私の性格は思春期と芽生えた物心が混ざり合い、歪んだモノへと変化していきます

日中は真面目に過ごし、放課後は部活に入らず、人間に見捨てられた生き物を探して切り刻み、自分の満たしていくようになりました


高校生になると、歪んだ性格は深層精神にまで作用し、好奇心だったはずのあの行動も恐ろしいモノへと変わっていきます

この頃になると、私は真夜中に街へ出て、捨てられている動物だけではなく、野生の生き物を捕まえて、その動物を苦しませながら切り刻み、死んだ後は笑みを浮かべながら土に埋めるようになっていきました

そんな猟奇的な行動が止まらなくなりそうになった時、出会ったのが私の旦那となった人です


彼は同級生で普通の男性でしたが、真面目を装っていた私に一目惚れしていたらしく、たくさん話しかけてきました

私は最初、彼に好意を抱いてはいませんでしたが、彼の度重なるアプローチに自然と興味を抱き、付き合うようになっていっていきました

そして、不思議な事に彼と付き合ってる間は猟奇的な行動をしなくなっていったのです


恐らく、私は優しく素敵な彼に恋をしていたのでしょうね


それから高校生活の3年間

私は彼と付き合い、一緒に卒業しました

そして、卒業後も彼とのお付き合いは続き、結婚をしたのです

結婚生活はとても新鮮で、とても楽しくて、何の不満もありませんでした

でも、心の中に小さなモヤモヤがありました


黒い煙をのようなモノです……


そんな、ある日

晩御飯の食材を買いに行こうと、外へ出掛けました

すると、その道中で人間に捨てられた泥だらけの子犬が段ボールの箱に入っているのを見つけてしまったのです

その時、私の中でほんの小さな興奮を感じました

それは、幼き頃に感じた忘れていた感情…

思い出してはいけないはずの感情…


私は気がつくと、その子犬を家へ持ち帰り、刃物で子犬から赤い液体を出していました

昔のように笑みを浮かべながら…


それから度々、私は煙を払うように動物を切り刻むようになっていました


しかし、その奇行が見つからないわけもなく、その行為の途中で旦那が帰ってきてしまったのです

私は『違うの…!?』と必死に言い訳を言いました

しかし、彼はそんな私に恐怖を感じたのか、全く聞く耳を貸してくれませんでした

その時、私の頭の中で『彼の血は何色だろう?』という声が聞こえて、次の瞬間、私は彼に刃物を突き刺していました

そして、刺された彼は苦しみ、それを見た私は笑っていました……




『……………以上が経緯と思われます』


検察官は長い時間をかけて私の全ての説明を終えると、裁判官が私に質問をしてきました


『今の話は真実ですか?』

『……』


答えない私に、裁判官は質問を変えます


『何故、旦那さんを殺したのですか?』


その質問に私は俯き、長い沈黙の後、こう言いました


『何色の血だったのか気になったのです』と…


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