ちょうど2年(5月)そのに
「ふわあああああああおいしい!このお好み焼きっていうのすっごくおいしい!!!」
「こっちのくりいむしちゅーってのもまじで美味い!」
「オープンサンドもすごくおいしいよ」
「…もぐもぐもぐ」
妖精さんたちは満足するまで食べ、お腹がみるからにパンパンになったあたりで、それぞれ床に横になってため息をついた。
「こんな美味い飯、どれくらいぶりだろう」
「ていうか、生まれて初めて食べたわ…」
そういって、満足そうにお腹をさする。
「みんな、いままでどうやって過ごしてたの?」
マルは、きっと自分たちと同じくらいにここにきた妖精たち7人に、いままでどうやって過ごしていたのかを聞いてみる。
自分たちがひもじくて大変だったことを思い出したのだろう。
「んとねー。なんかおうちみたいなところにいてー」
「ふっかふかの布団があってー」
「お水もあったー」
「果物とか木の実とかあったからたべたー」
話を聞くと、ここからそんなに遠くない一軒やがあって、家庭菜園らしいものが野生化していて、食べるものはそこそこ実っていて、お水を飲めるところもあった、ということは地下水が庭の池になっていたのか…。
「でも、あったかいもの食べたかったんだけど」
「僕達料理できないし」
「頑張ってみたんだけど」
「お家、焦げちゃった」
「え!?」
どうやら、火を使って、居心地の良い家を焼いてしまったらしい。
「だってぐらぐらーってして」
「びっくりしたら」
「いろんなのが燃えちゃったんだ」
この前の地震が原因だった、ということもわかった。
それでみんな新しい家を探すため、あちこち散歩していたらしい。
体が小さいと、必要な食べ物も多くないし、必要であるものも少ないためか、彼らはそんなに悲壮感漂う様子もなく、まったりとお家を探していたようだ。
「ここに住みたいなー」
「わたしもわたしも!」
「ねえねえ、ここにすんでもいーい?」
ご飯後にリビングの床に転がっていた7人の妖精さんたちはごろごろと転がりながら「ここにいたい」「ここにすみたい」とおねだりしてくる。
それをみたマルたちは
「マルコたちが前住んでた、元私たちの家に住んでもらったらどうかな?」
と提案する。
「ただ、住まわせるだけじゃないぞ!飯くうなら、畑仕事の手伝いとかいろいろしてもらうからな!」
トラがそう言うと、妖精さんたちは
「わーい!ありがとう!!!」
とトラの顔や頭に飛びついてお礼にぐりぐりと頬を擦り付けてくる。
「わ、ちょ!わかった!わかったからやめろー!」
トラはぐっちゃぐちゃにされて、それを見ていた僕たちは思わず笑ってしまうのだった。
さっそく、前住んでいた家に妖精さんたちを連れて行き、中の様子を見てもらう。
「うわあー」
「ひろいー」
「きれいー」
「燃えてねえー」
「それは当たり前だよ」
口々に感想を言っているが概ね好印象のようだ。
「あ、そうだ。みんなのサイズだと布団よりもこっちのほうがいいかな?」
タオルを人数分出すと、みんなはタオルの布団にダイビングして、
「ふかふかー」
「ふわふわー」
「きもちいいねー」
「zzzzzz」
お腹いっぱいで、気持ちよくなったのか、うとうとし始めるものまで出始めたので、
「お引越しの必要ないなら、いまからすんじゃえばいいよ」
ミルがそういうと、
「わーい」
「はーい」
「すうすう」
「zzzz」
「ぐうぐう」
返事とともに、寝息が聞こえてくる。
「みんな疲れてたのかもね。しばらく寝かせてあげよう」
僕達は妖精さんたちをそっとしておくことにして、自分たちの家へともどっていった。




