2日目
目が覚めて、まるで全部が夢だったような気がして、廊下に出て、現実を思い出した。
そして夢なら覚めてくれればよかったのに、と思いながらベランダの窓を開ける。
まだ、日が昇るか昇らないかの明け方。
耳を澄ますと、かすかに鳥の鳴き声のようなものが聞こえる。
自分以外生きているものがいるのかもしれない、そう思うと少しだけ、いや、大分ほっとした。
今日はしようとおもっていたことがあった。
まずは自宅のガレージに向かう。
すると予想していた通り、車があった。
父も母も休日に使うだけだったので、車が残っている可能性は高いと思っていたので、これは想定の範囲内。
自宅にあった車のキーを使ってエンジンをかけようとすると…。
やはりかからない。
何年も放置していたのできっとバッテリーが上がってしまっているのだろう。
ちょっと残念に思ったが、明るくなってきたので、自転車を出して近くにあった車用品を売っていた大きな店へと向かう。
国道沿いにあったその店は、記憶のまま廃墟のようになっていて、思った通り商品はそのまま手つかずで放置されていた。
僕は新しいバッテリーと電気を通すコードを探し出し自転車のかごに入れる。
そして店内で見つけた少し持って帰るのには骨が折れる大きなものを見つけると、自転車の荷台部分にそれを括り付けた。
国道沿いでもうひとつお目当ての場所に寄る。
ガソリンスタンドだ。
ガソリン携行缶にガソリンを入れると、重い荷物を自転車に乗せ、家へと帰る。
やはり、今日も生きているものには出会えないようだ。
自宅に戻ると車のフロントを開けてバッテリーを交換し、店内で見つけた大きなもの「発電機」にガソリンを入れて電気を発生する。
音はうるさいが、近隣で文句を言う人はいないので、発電機を付け車のバッテリーを上げるために作業をする。
一度父がやっていたのを見ただけだが、なんとかあっていたようで、車のエンジンが無事かかる。
これで機動力が上がるし、物を運んだりするのも随分楽になるはずだ。
まずは、軽く運転をするのと、食料調達、あと、本当に他に人はいないのか、少し回りを見て回ろうと思う。