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1年と2ケ月目(6月)のとある日2

それは、梅雨の雨の降る、とても寒い日に起こった。


太陽とともにみんな起きるので雨の日は寝坊をする子が多い。

いつもよりちょっと寒く感じる日。


打ち付ける雨の音に交じって、何か叩く音が聞こえた。


それはとても弱弱しくて、雨の音にかき消されそうになりながら、それでも聞こえてきた。


『ドウシタノ?』

たまの声に静かに、と人差し指を口に当てる。

トラも気になったのか起きてきて、二人で一階の音の聞こえるキッチンの横、土間のところのに向かった。


朝からの雨は勢いが良く、土間に少し吹き込むように、降っていた。

そして、そのドアの向こうには、人影が見える。


トントン、と遠慮がちに、弱弱しいそれはいまにも扉に縋り付き、倒れてしまいそうなソレだ。


「ど、どちらさまですか?」

と聞くと

「おねがいします…助けて…ください…」

そう聞こえると、ドアの向こうで倒れる音が聞こえる。


慌ててドアを開けると、自分の背丈の半分ほどのひげもじゃのおじさんと同じくらいの背丈のおばさんが玄関で倒れていた。


慌ててみんなを呼びにいき、リビングに布団を敷いて、タオルで濡れたからだを拭き、二人を寝かせる。

マルとミルが朝ごはんとともに、二人に体によさそうなおかゆをつってくれた。


「おそらくはドワーフ族だな」

トラの言葉にリンもランも頷く。


ウサギ耳、猫耳、そしてドワーフ。

まるで異世界に転生したかのような種族の話に、夢でも見ているんじゃないかと思うけれど、トラたちもリンランも現実だ。

そしていま倒れているこの2人も。


交代で2人の面倒をみながら、全員朝ごはんを食べていると、ごはんのにおいに釣られたのか、体が温まって、動けるようになったのか、うっすらとおじさんのほうが目を開ける。


「ここは…どこじゃろう」

「僕たちの家ですよ」


そう答えると、


「ああ、よかったたどり着いたんじゃな」



そういって、また気を失うように目を閉じる。


結局、おじさんたちは半日眠り続けたあと、目を覚ました。




「えらい世話になってもうたな」


そういって、口ひげをなでるおじさんは、名前をビッテンバウワーと言い、奥さんはマルガレットさんと言う。


二人はマルとミルが作った鶏そぼろと卵入りのおかゆをゆっくりと食べるとため息をついた。

そして、ここにたどり着くまでの話をしてくれた。


ある日、ビッテンバウワーさんたち、ドワーフの村は謎の砂嵐に巻き込まれ、村一つ、30人のドワーフたちと、この世界に来たという。


来た時はこの世界のいろいろなものの珍しさにドワーフの血が騒ぎ、みんな大盛り上がりをしていた。

しかし数か月たち、ドワーフは、物を作ることには長けているが、食べ物、主に農業には不向きな種族である。

いままでも近隣の他の村との工業製品との交換で成り立っていたものが、一切供給を絶たれ、近くにあるものをこのままだと食べつくし、飢えて死んでしまう、と危機感をもったビッテンバウワーさんと村の長達は、近隣の村を探そうと考え、ビッテンバウワーさんが奥さんとともに旅に出ることにしたのだという。


「もしよかったら、食べ物をわしらの村に分けてもらうことはできないだろうか?」

そういって、ビッテンバウワーさんたちが頭を下げるので、僕たちはみんなで一度話し合うことにした。

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