9ヶ月~12か月目(1月から4月)
寒い中、畑にそんなに精を出さなくてよくなったので 地下1階、地上2階の3階建てのリンとルーが発案した家を作るための準備を始める。
まずは何で家を建てるかを考えると、地下と地上の途中まではコンクリートにし、上は木造だと作りやすそうだ、という話になる。
木材とコンクリート、鉄骨などは倉庫街や港の輸入品にありそうだが、できれば再利用や近くの廃材を利用したい。
ということで、付近の家を壊しながら、再利用できるものを作っていこうという話になる。
ここまで建築資材を持ってくるのも大変だ、というのも理由の一つ。
あとは、手狭になったここ一帯を広く使いたい、というのもあった。
新しい家は今の家の向かいにある、マンションを壊して作ることにし、まずはマンションを壊して土台を作ることにする。
重機をいくつかもってきていたが、マンションを壊すのには先端に挟みの付いているショベルカーが良いらしく、どこかに動く重機がないか、トラとジョリ、あとリンとランが探してくれることになった。
4人が探している間に壊せるだけは壊してしまおう、とブルトーザーやらいろんなものを総動員して、できる限り壊すことにする。
と、その前に、マンションの中にある家具や物で使えそうなものだけ、除けておこうという話になり、マンションの中をさがしていくが
「うーん」
3年も放置している家の中なので、そんなに使えそうなものもなく、新品であればスーパーや郊外のショップモールだったところに行ったほうがありそうだったので、特にめぼしいものはなかった。
だが、電化製品で使えそうなものは、いくつか壊れた時の部品交換やそのまま交換用に、もっていくことにした。
家の前にある3階建てのマンションの解体は見つけた重機5台をフル回転してそれでも1月ちかくかかった。マンションがもともと地中深めに土台を作っていたので、マンションを解体すると、地下一階分の空間ができたので、重機で穴を掘る必要はなくなった。
マンションの解体中に廃材を使って、横に簡易の屋根と柱、目隠しをたてて、薪で沸かす風呂を男湯と女湯の2つ作り、仕事終わりにみんなで入ることにもした。
天気が悪い日はお風呂を沸かすより料理や夜の明かりのために電気をとっておきたかったからだ。
いままではカラスの行水のように入ってた子たちも、お風呂に入ってから外で着替えて家に帰るので、湯冷めしないようにしっかり温まるようになった。
解体し、廃材を横に除け、地下の基礎を作っていく。
リンとルーは図書館だけでなく、どうやら大きな設計事務所の跡を探って、いろいろな設計図や工法などを研究していたらしく、次から次へと新しいことを試していく。
地下室に湿気がたまらないように、コンクリートは二重構造にして、排水のダクトを通さないといけないとか、自分でも知らなかったことをリンたちはどんどん吸収していく。
重機を用いてはいるが、細かいところはみんなで手分けをして建てていく。
「木の柱でもいいんだけど、鉄骨のほうが廃材から再利用しやすいんだよね」
そういって、リンたちは廃材から探し出した鉄骨を機械で切ったり溶接したりまでし始める。
そのころになると、解体したマンションの空き地にソーラーパネルを設置して、工事に使う電気を賄う簡易太陽光発電ファームを作り、建築の速度を速めていく。
冬が過ぎ、温かい日差しが多くなってきた頃、細かい内装や外装以外、家の屋根と壁が出来上がり、あとは住みながら作っていくことにした。




