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8ヶ月目(12月)ある日の出来事

目が覚めて、日付を付け始めてから8か月目になった。

今日が自分が知っている日付時間からどれくらいなのか、調べる術がなく、人類がいなくなって目が覚めるまでおおよそ3年以上が過ぎていて、目が覚めたのは初夏、5月ぐらいだったので、目が覚めた日を5月1日として計算していた。


あまり役に立たないけれど、時計は家にある。なんとなくの時間を教えてもらえるもので、本当にこの時間なのかどうかはわからない。


ただ、自分の感覚でいうと、明日は12月24日だということ。

みんなで過ごす初めてのクリスマスだということだ。


人類がほぼいないこの世界でクリスマスを祝うっていうのは不思議だけれども、ルーとか子供たちは喜びそうな企画だな、と、ランとたまに「クリスマスケーキ」をお願いすることにした。


「クリスマスってなあに?」

メイとカイとリカンが聞いてきたので

「みんなでケーキ食べて、鳥の丸焼きを食べる日だよ」

と教えたら「けーき!」「けーき!」と大騒ぎになった。

ランとたまはクリスマスの料理、というのをレシピ集で知っていたみたいで、他にも特別なごはんを作ろう、食べよう、という話になった。


家の物置を探すと、昔に買ったクリスマスツリーがあったので、みんなでそれを取り出して設置する。

プレゼント交換、という風習はたぶんみんなに説明しても分からないだろうな、と思い、一人でプレゼントをみんなの分準備して、みんなを喜ばせたらどうだろう、と思い、

「ちょっとドライブしてくる」

と言って、郊外型スーパーに併設されているおもちゃ屋さんや、本屋さん、雑貨やさん洋服やさんなどめぐり、みんなへのプレゼントを探す。


たまとランには新しいレシピブックを。

みるとまるには料理の時に使うエプロン。

ルーとメイとカイとリカンには絵本とアニメのDVD。

ローアとシンにはかわいいビーズでアクセサリーが作れるセット。

リンにはトランプ、トラにはリバーシ、ジョリにはUNO。

そしてちょっと考えて電子楽器があったので、ピアノとトランペット、ギターとドラムを持って帰ることにする。


明後日までは楽器以外トランクに隠しておいて、朝、ツリーの下に置こう、と決める。


翌日24日は朝から大騒ぎだった。

鶏の丸焼きため、しめる鶏をどれにするかでみんなで大騒ぎし、結局2羽〆ることに。

トラとジョリが羽をむしったりした処理をしてくれて、ランとたまが内臓などをきれいに取って、丸焼きの準備をする。


リンと僕でせっかくだから、と庭に石窯を作ることにする。

レンガとモルタルをホームセンターで調達してきて、積んで石窯をつくり、ミルとマルが詰め物をした鶏をじっくり焼く。


ランとたまは明日のケーキの準備以外にもクッキーを焼いたり、焼きプリンを作ったり。

パンも焼いて、明日の準備を着々としていく。

クリスマスが何かはわからないけれども、みんなワクワクして明日が来るのを待っている。

忘れていたクリスマスのワクワク感を思い出して、僕はちょっとうれしくなる。


結局24日はみんな明日のご飯が楽しみすぎて、ごはんに卵をかけて卵かけごはんとお味噌汁だけの簡単ごはんで朝も夜も済ませて明日のご馳走を楽しみにすることになった。


25日の朝。

まだ暗いうちに起きて、車からプレゼントを家にこっそり運び込み、ツリーの下に置いておく。

見てすぐわからないよう、布をそのうえにかぶせておく。


もう一回寝ようかどうしようか悩んでいると、あちこちから目が覚めて起きた音が聞こえはじめる。

「くりすますだー!」

「くりすますー!!」

メイとリカンがそういってリビングを走りはじめると、リカンとルーも一緒に騒ぎはじめ、マルとミルがみんなのためにお茶を入れ始める。


「さあ、クリスマスをはじめよう!」

僕の声にみんなが一斉に今日のパーティーの準備をはじめる。


まずは牛と豚と鶏のエサ遣り。

牛の乳しぼりをする組と畑の野菜を収穫する組に別れ、今日の最低限の仕事をすると、家に帰ってくる。


リビングには昨日から仕込んだ鶏の丸焼きが温めなおされて、湯気を立てて置かれている。

他には焼きたてのリース型パンにクッキー、プリン。

モッツアレラとドライトマトとピクルスのサラダ。

ブロッコリーとニンニクのアヒージョ。

ローストポークにマッシュポテト。

コーンクリームシチューとベーコンと玉ねぎのピザ。

そして生クリームとチョコでデコレーションされたクリスマスケーキが中央に置いてある。


みんなで席に着くと「いただきます!!!!」を合図に一斉に食べ始める。

昨日から楽しみにしていたご馳走を、みんな一心不乱に口に詰め込む。


僕は久しぶりに食べたピザに感動し、みんなはケーキに感動していた。

全部食べ切るのはさすがに無理だったので、余った具材はパンにはさんで夕飯のサンドイッチにする。


そして、僕はみんなにクリスマスツリーの下にあるプレゼントを発表して、みんなにそれぞれプレゼントを配る。


「大好きな人に贈り物をする日」

と、言って教えたら、トラとリンに「次はそういうのもっと早く教えろよ。お前にも俺がプレゼントしてやるから」と言ってくれたので、僕はとてもうれしくなったのだった。

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