5ヵ月目(9月)~7ヵ月目(11月) 水路作り
夏の終わりから冬のはじまりにかけて、倉庫からもってきた塩ビ管を繋げ水路を作るための作業にみんなでとりかかった。
早朝、豚と牛、鶏の世話をして、朝ご飯を食べた後は、ルー、メイ、カイとリカン、ローア、シンに畑を任せて、残りのメンバーで塩ビ管を繋げる作業をする。
最初の1月はそうしていたけれども、作業がなかなか進まず、ルーたちも手伝う、というので、2か月目からは全員でとりかかった。
まずは川から水を汲み上げる水槌ポンプを川に設置する。
水槌ポンプは水の動力をつかった仕組みなので、材料さえあれば構造は単純なので簡単につくれて、しかも動力を一切必要をしないので、永遠に動き続けてくれる。
ポンプができたら今度は塩ビ管をつなげて、家の近くまで持ってくる。
塩ビ管と管の間をつなぐパーツを専用の接着剤で繋げていく。
大きな道はトラックや車で通る可能性があるので、繋げた塩ビ管をショベルカーで掘った溝にユンボで管をはめ込んでいき、そのあと土をかける。
1本が4メートルの塩ビ管だったので400本ほど使い気が遠くなる作業を繰り返した。
最終的に2kmではなく1.6kmほどだったが家の近くまできたとき、みんなでホッとした。
水の吐き出し口に水車のための水路と水車を作り、発電と加工の作業場を作る。
水車で発電をするためにはタービンの回転数が発電量になるけれども、小麦を挽いたり加工するのには力のある大きな水車が必要だ。
リンとルーが大きな木の水車で小麦を挽く装置をつくり、水車の下流にさらに水力発電用のタービンをとりつけて、水車小屋の中に発電機、蓄電器を設置する。
水車小屋は夜にはセンサーライトで明かりが点くようにして、夜でも何かあったときには作業ができるようにしておいた。
近いうちに電線で家まで電気を引こうと思う。
次はため池だ。
ため池といっても、地の利を利用して、高い所に貯水場を作って、ダムのように水をせき止め、それよりも低い所に作った水田に水を引き込むという単純なものだ。
問題は高低差と場所で、雨季の増水を考えたらため池は自宅よりも下の場所に作らないと、万が一溢れたときに家が浸水してしまう。
幸い家のある場所は坂の上にあり、牧場の方向に下に下がっているので牧場よりも下にため池を作り、さらにその下に水田用の土地を確保することにした。
水路と電気が点くようになったら、畑には秋冬の野菜が実る時期になっていた。
ジャガイモ玉ねぎキャベツ、ホウレンソウにネギにサツマイモ。カブやニンジンなど根菜類も豊作でたっぷりと収穫できた。
気が付くと上着を着こまないと外での作業が厳しい季節になってきた。