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7日目

目が覚めたら、たまが心配そうにのぞき込んでいた。

どうやらうなされていたみたいだ。


窓を見るとすでに太陽が出ていて、部屋を明るく照らしていた。


「おはようたま」

『オハヨウ、ナンカ、ウナサレテタ』

「うん、ちょっと夢見が良くなかったみたいだ」

『夢見?』

「悪い夢をみたんだ。それだけだよ」


そういって、僕は起き上がる。

ドアを開けるとリンたちも起きていたようでドアを開けて廊下に出てきた。


「リン、おはよう」

「おはよう」

「ランもルーもおはよう」

「おはよう」


挨拶をして、下に降りると、たまに犬の餌と水換えをお願いして、鶏小屋に卵を取りに行ってもらう。

今日は6つも生んでいたらしいので、目玉焼きと缶詰のベーコン。

あとごはんと野菜のスープで朝ご飯にすることにした。


そろそろお肉を缶詰以外に食べたいとおもうけれど、鶏は増やしてからでないと不安なので、まだ食べるわけにはいかない。


できれば豚、あと牛乳やチーズ、バターを考えると牛も欲しい。


入院中に読んだアメリカ開拓時代の3人姉妹の家の話を思い出す。

豚を飼って牛を飼って、定期的にそれを食べながら畑を耕し、家を作る。


200年ほど前の人たちができたのだから、自分でもできるんじゃないだろうか、と考えてみる。


まずはどこからか、調達してこないといけない。


そんな話をしていると、ルーが

「うしってどんなの? ぶたってなあに?」

と聞いていたので、今日は最低限の作業だけをして、ちょっとあるところに行くことにした。


ご飯を炊いて、おにぎりを握る。

そういえば、ふりかけとかの乾燥した調味料はまだいろいろ持つんじゃないかと思い、帰りに大型スーパー跡地によって、食料品を少し調達することにする。


賞味期限が切れても何とかなりそうなものはできる限り使おうと思う。

どうせ、あと2年もしたらそれも食べれなくなるのだから。


お弁当のおにぎりをもち、スーパーで荷物が多くなった時のために車のルーフに空の箱を積む。


車で10分くらいの所に目的の場所はあった。

蔦がからまって、入り口がどこだかわからなくなっていたが記憶をたどって入り口のドアを見つけると、からまる蔦を切って押すと普通にドアが開いた。


独特のカビ臭い空気の中、懐中電灯をつける。

どうやら中は無事のようだ。


『ココハ何?』

たまが聞いてきたので

「図書館だよ」

と答える。

「図書館てなに?」

ランが聞いてきたので、

「本がいっぱいあるところ」

と1冊手に取って教える。

「ほら、ルー、これが牛でこれが豚。絵と文字があったり、文字だけだったり、絵よりも精密な写真がのっていたり、いろいろな種類があるんだよ」

ルーが楽しそうに図鑑を見始めたので、僕はこれからに必要になりそうな本を探す。


リンは僕についてきて、両手にいっぱいになった本を車に積んでくれる。

たまとルーは絵本のところを、楽しそうにみていた。


農業、農耕の本、養鶏、酪農の本。

料理の本や醤油、味噌などの作り方など。

あとはチーズやバターの作り方。

ハム、ベーコンなどの燻製の方法。

ログハウスの立て方やキャンプの方法やアウトドアの本。

どれも必要そうで気になるものを片っ端からひっぱってくる。


あちこち行ったり来たりして探しているとあっという間に時間が経っていたようでお腹がぐー、となる。

「お腹空いたね」

リンがそういったので

「お昼にしようか」

と、みんなで車に戻ってお昼にすることになった。


たまとランはいろいろな絵本を、ルーは図鑑を幾つか持ちかえることにしたらしい。


車の周りの芝生に座ってみんなでおにぎりを食べる。

目が覚めてから1週間。

陽気のいい日が続くが、もし今が5月くらいなら、来月にはつゆがやってくる。


それまでに畑をなんとかして、食料も確保しないといけない。

いい天気の空を見上げておにぎりを齧りながらそんなことを考えていた。

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