6日目の夜
夜がきた。
僕が目が覚めて初めての明るい夜だ。
ソーラーパネルと自家発電で家のリビングに明かりが点いている。
夜ごはんは暖かいお米にいろいろな野菜を炒めたもの。
そして顆粒の鶏ガラ出汁を見つけたので、それを使ってのスープ。
電気があるだけでずいぶん料理ができる幅が広がる。
前が考えなかった当たり前にある電気のありがたさ。
リビングの明るい電球をリンとランとルーは不思議そうにみていたが、たまは明るいより、TVにくぎ付けだった。
試しにつけてみたらTVがついたので、もっているDVDをいろいろ再生してみる。
するとそれにたまが釘付けになった。
夕ご飯を済ませたあと父の趣味だった旅行のDVDや母が好きだったドラマのDVDを流す。
色々な人が生活をしているそれをたまだけでなく流していたらリンたちも集まって興味深そうに見始めた。
とはいえ、電気は昼間に発生したものを大事に使うので有限だ。
「あとは明日。さあ、そろそろ寝よう」
ルーがうつらうつらし始めたので、そう声をかけてみんなで2階に上がる。
今日は洗濯をしたフカフカの毛布と干しておひさまの香りのする布団が待ち構えていた。
嬉しくて潜るとたまが
『オヒサマノニオイガスル』
と頭まですっぽりと布団をかぶって言ったので
「そうだね」
そう答えて同じように頭まで布団をふっぽりとかぶる。
電気が通った。
お湯も沸く。
今年の冬はきっとこれで越すことができる。
(まだ夏前だけれども)
あとは食糧を備蓄するだけじゃなく、生産しないといけない。
5人いたらそれなりの生産体制が必要だ。
それよりも、この地球に5人だけなのだろうか。
まだほかにも人がいるんじゃないだろうか。
そもそもどうして自分以外の人間はいないのだろう。
たまはどこからきたんだろう。
リンたちもきっと地球じゃないところからきたんだろう。
それはどうしてだろう。
なんで自分だけ地球で生き残ってここにいるんだろう。
気持ちの良い布団に包まれて、僕は考えながら、ゆっくりと瞼を閉じていく。
夢をみた。
人が普通に生活をしている。
朝、会社に向かう人、学校に向かう人、様々な人が行きかう道。
いっぱいの人が突然消える。
目の前にいっぱいいた人が煙のように消えた。
なんの前触れもなく。
空を見上げると―