夜
鳥小屋のために整理した物置から脚立が出てきたことで、後回しにしていたあることをやろうと思った。
それは屋根に上ることだ。
ただ屋根に上るわけではなく、目的は屋根にのっているものにあった。
リフォームしたときに取り付けた太陽光発電のパネルだ。
問題は家の上を木が覆ってしまっているので、木を取り払い、太陽光パネルを綺麗にして、起動するかどうかを試したいと思う。
オール電化にしていたので、昼の間だけでも家で電気が普通に使えたら、ガソリンが無くなった場合でも少しだけでも困ることが無くなるだろうと思う。
ただ、今日は鳥小屋を作って疲れ果てていたので、屋根に昇るのは明日にしようと思い、水ポンプで組んだ井戸の水で行水をして、レトルトのご飯を温めて簡単な夕飯にして、寝ることにする。
犬にも庭先に一枚毛布をたたんでおいてやり、その近くにご飯と水をおいてやると、そこを自分の場所と理解したのか腰を下ろす。
元の色が分からないほどだったので、明日綺麗に洗ってやろうと思い、日が沈み、暗くなったので眠ることにする。
夜中に、わんわん、と犬の鳴き声が聞こえたので目が覚めた。
『ドシタノ?』
たまも心配で目が覚めたらしい。
手探りで懐中電灯を探し出し、点ける。
鳴き方が普通ではない。
唸ったり吠えたりを繰り返している。
何か動物だろうか?
それとも…。
懐中電灯を持つ手にじっとりと汗がにじみでる。
ドアを開けて熊だったら犬を家にいれて鍵をかけよう。
家の中にはさすがにはいってこないだろう。
もし、他のものだったら…。
一層大きく犬が吠える。
意を決してドアを開けて、懐中電灯で外を照らした。