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4日目

明るくなる前に目が覚める。


最近は日の出と共に目が覚めて、日の入りと共にねる生活だ。

明かりがないのでそれが一番なんだけれども、今後の事を考えると、いろいろと決めなくてはいけない時が来ていると思った。


昨日車で遠出をしてみて思った事。


シールドと人がいない理由は別かもしれない。

虫や動物が辺りに来るようになったけれども、人間の気配は一切しない。


救援がくるとか、誰かが助けてくれる、ということはあまり考えない方がいいのかもしれない。


そう思うと、水の確保、食べ物の確保、最低限の生活などを考えると、此処にいるのがいいことなのかどうか、疑問が出て来る。


作物がある程度育ち、できれば海のものが手に入り、動物がいること。

水場が確保できること。


ガソリンがいつまでもつか分からないので、太陽光発電などで電気を賄うようにするのであれば、日照時間の多いところ。


海の近くなら津波、川の近くなら氾濫、山の近くなら土砂災害など、自然災害がなるべくない所。

外からの助けが望めないならある程度を自分達で注意することが必要になってくる。


近くにある本屋の跡地で、ガイドブックを幾つか手に入れて、それを目の前に考える。


『ドウシタノ?』


たまが不思議そうに話しかけてくるので、引っ越しの重要性を話す。

食べ物の話、水の話、電気の話。

自分達だけで何とかしなければならないので、いま動かないといけないこと。

できれば夏前に作物の準備をして、冬越せるようにしたいこと。


あとは、もし同じように人がいたら、会いたいこと。

そんな話をしていたら、気が付いたら両目から涙がぼたぼたと落ちてきた。


誰かに言葉にすることで、この3日間あまり考えたくないことが、現実味を帯びてきて、自分がこの世界に取り残されたことがじわじわと実感してきて、不安とか悲しみとかいろいろなものがまぜこぜになって、声が出ないほど泣くって、こういう事なんだな、と嗚咽を漏らしながら、涙溢れながら、僕は思った。


たまはそんな僕を見ながら、ちょっとどうしようか考えて、頭をぽんぽん、撫でるようにたたいた。


たまがいてくれてよかった。

少なくとも一人じゃない。

そう思ったから。

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