3日目
朝になった。
まずは発電機を使い病院からもってきたノートPCに電源を入れてみた。
パソコンの日付は2022年の5月になっていた。
僕の記憶から3年経っている。
昨日の彼女の話で、あの銀色の卵のシールドによってあたり何百キロかわからないけれども、シールドが張られて人や動物がいないのであれば、シールドの外には人がいるのではないか、まずそう考えて、ネットに繋がらないかを考えた。
結果は…ネットにはつながらなかった。
PCの設定の問題かもしれないと思い、いろいろと試してみたが、中継機器が年月で壊れてしまっているのか、ネットにはつながらなさそうだ。
もし、シールドの中に入れなかっただけならば、シールドが消えたことが分かれば、救援が来る可能性もあるだろう。
そういえば、と思い、自宅の新聞置き場を探してみる。
自宅の新聞置き場の新聞は2019年の11月23日で止まっていた。
天気の話、政治の話、火事や殺人事件など、人類が突然いなくなるようなニュースは乗っていない。
しいて言えば何万年かに1度の流星群が来るというロマンチックな記事くらいだ。
流星群といえば、人類滅亡の可能性のひとつ、隕石があるけれど、落ちていたらきっと街はいまの様子じゃなかっただろうし、海面水位も上がっているはずだ。
病院があった場所は海の近くだから、それだったら病院で窓の外を見たときに気が付いていただろう。
昨日飛んできた鳥が鴉だとして、シールドが壊れてすぐに飛んできたということはひょっとしたらシールドの境界線は近いのかもしれない。
考え事しながら新聞を見ていると、後ろで物音がした。
「ああ、おはよう」
『オハヨウ?』
「朝の挨拶だよ」
卵から出てきた彼女は普通に水を飲み、ご飯を食べ、そして寝た。
卵の事を考え、宇宙人、もしくは未来から来た人間などいろいろな可能性を考えたが、とりあえず、他の人間がいる可能性のほうを優先してしまい、回収しておきながらほったらかしにしてしまった。
彼女とはちゃんと話しをしなくてはいけないだろう
お湯を沸かし、簡単な朝食の準備をしながら、僕はそんな風に思った。