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短編、都市伝説

 こんな都市伝説を聞いたことがあるだろうか?


 非通知の着信、その電話に出ると、ボクのことが好きですか? と、そう聞かれるのだ。


 その返答次第では電話に出た人間は不幸な事故、もしくは帰らぬ人となる、そういう都市伝説だ。


 そして、そんな都市伝説が一人の少年に襲いかかる!




『ボクのことが好きですか?』

「はい? すいません、良く聞き取れなかったのでもう一度お願いします」


 非通知の電話で僕の事が好きですかと聞かれた気がする。

 流石に聞き間違いだと思ったのでもう一度お願いしてみた。


『ボクの事が好きですか?』


 ……間違いじゃなかった。

 色々とツッコミたくなったけど落ち着いて状況を整理してみる。


 とりあえず非通知の着信ということは僕の知り合いだという事だ。それを踏まえた上で相手が誰かと予想してみる。


 声音はしっかりと変声機で変えているけど一人称が僕って事は男。

 割と身近の人間で僕という一人称を使う人間は多いけどこんな悪戯をするヤツなんて俺は一人しか知らない、つまり、この非通知の電話の先にいる人物は必然的にヤツという事だ。


『ボクの事が好きですか?』


 返答に困っていると思ったのか繰り返しそう聞いてくる。


 はは、タネが割れている悪戯ほど滑稽なものはないので俺はアイツの悪戯に乗ってやる事にした。


「ああ、悪い悪い、もちろん好きだ、大好きだって言っても過言じゃないな」

『…………』


 どうだ、この返答は予想出来なかっただろ。


 密かにほくそ笑んでいると沈黙を破り、切り返してきた。


『……ぼ、ボクのどこが好きですか?」


 おっ、そう来るか。まったく、欲しがりなヤツだな。


「そうだな、強いて言うならこうやってわざわざ非通知で連絡してくる遠回しな所とか? お茶目な所が可愛いと思う」

『か、可愛い!?』

「ああ、もちろん。後は素直じゃない所とか人が嫌いな所とか共感出来る」

『……やっぱり、キミもそうなの?』

「当たり前だろ? そういう所があるから(俺とよく)電話してるんだろ?」

『それは、そうだけど……。そこまで分かるんだ』

「当然! 俺を誰だと思ってるんだ?」

『…………山田さん』

「誰だよ山田さん!」


 コイツ、悪戯がバレて拗ねてんのか?


『ね、ねえ』

「なんだよ」

『また電話しても、いい?』

「声変えないならな」

『……善処する』


 それだけ言うと一方的に電話を切られてしまった。


「あっ! 非通知も止めろっていうの忘れてた!」




 この電話を最後に都市伝説、ボクのことが好きですか? は一切の噂を聞かなくなった。


 だが彼女は今も電話をかけている。

 無論、一人の少年にだけ。



end

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