おかえり
重苦しいエントランスを抜け周りの驚く目も気にしないままただ最上階を目指し歩いた
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「おかえり。葉月ちゃん」
「....この前はどうもボス。」
また帰ってきてしまった。私の大嫌いな場所へ。今すぐにでも死んでしまいたかった。だがこの人の前でもし死にそびれてしまえば一生生き地獄を味わう事になる。そんな葛藤が葉月の脳内で繰り広げられていた
「さて、葉月ちゃんがマフィアに無事戻ってきてくれたみたいだしこれを付けようかな」
そういい取り出したのは首輪だった。トラウマでしかない私の自由全てを縛るもの。首輪に鎖なんか付いていないのに付いていると錯覚が起こってしまう。
「....分かりました。ボス」
「流石は葉月ちゃんだ。物分りが良い。さぁこちらへおいで」
静かにボスの方へ向かった。付けていたチョーカーを外しカチャリと音がして首輪が付けられた。その瞬間息ができなくなった。首輪が締め付けたのではなかった。
「....ッッハ....ウッ....」
「落ち着来なさい葉月ちゃん。嬉しいねぇ私との思い出を思い出してくれたみたいで」
そんな事耳に入らなかった。ただ葉月には過去のこの人の行いと今目の前にいるこの人の恐怖しか無かった。
「ちゃんと呼吸しないと倒れちゃうよ。ほら深呼吸して」
呼吸が落ち着いた葉月はその場にうずくまってしまった。体が震えて動けなかった
「そんなに怯えなくても何もしないさ。さぁ、葉月ちゃん次は服を着替えようか。君の大好きな黒のワンピースを用意したんだ」
連れていかれた部屋で服を着替えさせられたが葉月の震えは止まる様子は無かった。
「やっといつもの葉月ちゃんに戻ったね。この方がしっくりくる。あ、葉月ちゃんの部屋は変わらず開けてあるし出ていった時と変わらないから安心して。明日からまた幹部として働いてもらうから。それに相棒は勿論修君だよ。それじゃゆっくり休んで」
ただそれだけ言うと葉月を部屋の外に放り出した。忘れかかっていた日々を思い出し震えの止まらない葉月はこの姿が誰かに見られる前に自分の部屋に戻ろうとした。
「....立てない....」
足が震えて立てなかった。
「何してんだお前。」
「部屋に戻りたいけど足が震えて立てないの見てわからない?」
修に見つかったのは最悪だがそんなことを考えている余裕は無かった。一刻も早くこんな所にから離れて頭の中を整理したかった
「お前でも怖いものあったんだな。まぁ、いい。お前の部屋までだろ運んでやるよ」
「普通なら文句を言うところなんだけど....大人しく運ばれるしか無いんだよね....」
修はそのまま葉月をお姫様抱っこをして部屋まで運んだ。
「あぁ、ここに戻ってくることになるなんて....」
気分が悪かった。いつか薬物自殺を図り未遂で終わった後のような感覚だった。
「じゃぁ、俺はもう行くから」
あぁ、ありがとうと無機質な声で呟いた
明日からまた地獄の日々が始まると思うと目眩がした。助けて....と頭に浮かんだ顔は駿の心配している顔だった。




