歪んだ愛情
「昔話でもどうかな?」
マフィア地下室
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コツコツと誰かの足音が聞こえる
「どうも。君と会うのは初めましてかな?」
「ちゃんと喋るのは初めましてだねぇー。」
「そうか。では一応自己紹介でもしておこうか。私はマフィアボスの『片瀬 悠雅』だ。以後お見知りおきを」
「私の事は知ってると思うから自己紹介要らないよねぇ。それでボス直々に私を拉致った理由を教えに来てくれたの?」
「別にそのつもりできた訳じゃないが教えてあげてもいい。どうせ君にはあまり関係の無いことだしね。それに手紙も渡したことだもう時期風雷光御一行様も来るだろう。その間に昔話でも聞くかい?」
「どうせ私も手錠されてて動けないから聞こうかなぁ」
「では話すとするか。」
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ある日部下が任務で小さな女の子を拾ってきた。あらゆる物理攻撃の能力が効かないらしい。そういう能力を持っているらしい。私はこの子をマフィアの駒にする事にした。だがこの子は能力以前に大人並に頭が良かった。後数年もすれば大人の頭脳なんて優に超すだろう。私はその子を側近として置いた。黒色のワンピースを着せて首には首輪を付けて愛でた。頭も良いそして大人びて死んだ目をした顔だってとても美しかった。そして数年後私が見込んだ通りこの子は幹部という地位までたどり着いた。この子は非常に拷問のやり方も上手かった。だから拷問班のリーダーにもした。だがある日その子はマフィアを失踪した。
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「昔話はこれくらいかな。どうだったかな私の昔話は」
「素直に感想を言うと気持ち悪いかなぁ。そしてその子が葉月ちゃん何でしょう。」
「ご名答。葉月ちゃんは本当に優秀な子だった。」
「残念だけど葉月ちゃんはここには来ないよ。宵さんなら葉月ちゃんをこんな所に連れてきたりしない。」
そこで後ろの扉が開いた
「そうだ。ここに葉月は来ない。そして梢も返してもらう」
「ようこそ風雷光御一行様。実はね君達と取引しようと思ってこの子を拉致ったんだ。まぁ、これに応じてもらえないとなると君達の大事な葉月ちゃんが苦しむだけ何だけどね。あ、応じてくれなくてもこの子は無傷で返すから安心して」
その頃葉月達は....
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「私のせいで梢さんが....嫌だ....戻りたくない....怖い....ごめんなさい....」
「落ち着いて葉月ちゃん。深呼吸して」
「ごめんなさい....遥兄....私....もう殺したくない....」
「落ち着いて....大丈夫だから。誰も葉月ちゃんをマフィアに渡したりなんてしないから。」
「本当?皆を信じて大丈夫?」
「大丈夫だから....ねぇ、マフィアでの事辛くなかったら教えてよ。葉月ちゃんの事知りたいんだ....」
「....いいよ」
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私は気付いたらマフィアにいた。マフィアになる前の記憶が全く無かった。気付いたらマフィアにいてボスの側近としていつでもボスのそばに居た。1年が経って敵組織を潰すための作戦を沢山立てた。そして2年が経って気付いたら幹部になっていた。それと同時に拷問班のリーダーも任された。その頃には修とは相棒で任務はいつも一緒にやってきた。けどその数年後私の大切な人が死んだ。私のせいで死んだ。私は耐えられなかった。その場で死のうと首にナイフを当てた。けど運悪く修に見つかり生き延びてしまった。マフィアにいる限り私は死ねない。だから私はマフィアを失踪した。
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「こんな感じ....」
「辛かったね....」
「何で駿が泣いてるの?」
「葉月ちゃんが泣かないからその代わりだよ。」
「だって私が泣くのは可笑しいでしょう....私が殺した人達の方が悲しい筈なのに」
葉月の目は何も移していなかった。
大丈夫。大丈夫と言いながら駿は葉月を抱きしめた
マフィア地下室
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「で?その取り引きの内容とは?」
「おや?社長自ら来るとは珍しい。それで取り引きと言うのは葉月ちゃんをマフィアに戻るよう説得してくれないかな。あ、出来なくても攻撃したりとかしないからそこら辺は安心して」
「何がしたい?説得出来なければお前にとっての利益はないだろう。説得出来なければ終わりだ。しかもこちらは説得する気など無い。」
「まぁ、そうなると苦しむのは葉月ちゃんだから私としては別にどっちでもいいんだけどね。猶予とかないからゆっくり話あってね。話はそれだけ。じゃこの子解放するから帰ってね」
風雷光にて
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「ただいまー」
「あ、宵さん静かに!」
「どうした?あぁ葉月が寝てるのか....」
「どうでした?」
「変な取引を持ち込まれた。それだけだ。」
「ん...あれ?宵さん達無事に戻ってきたんですね。梢さんも無事でよかった....あの....私のせいで....」
「そんなに自分を責めなくても大丈夫だよぉ。私何もされてないし。昔話聞かされただけ。」
「昔話ですか?」
「そう。葉月ちゃんのマフィア時代の話聞かされただけ。」
「え、あ、私....」
「でね、思ったんだけど葉月ちゃん。そのチョーカー外してみてよ」
「....い....いですよ....」
葉月は恐る恐るチョーカーを外した。
そこに居た全員が声が出なかった
チョーカーを付けてある場所には長い時間付けられていた首輪の跡とナイフで切った深い切り傷があったからだ。
「葉月ちゃん....この跡どうしたの....」
「これは....マフィアにいる時に付けられていた首輪の跡。この切り傷は死のうと思って自分で切った傷」
あの、と祐輝が口を挟んだ。
「パーカー捲ってみてもいいですか?」
ここまで来たら諦めたのか葉月は静かに頷いた。
そこには傷がついていない場所がないほど傷だらけだった。
「汚いでしょ....だからいつも隠してたの....」
そう言うと葉月は駿の方へ倒れ込んでしまった。
「葉月ちゃん!大丈夫?」
「眠っただけだ....最近寝れてないみたいだからゆっくり寝かせてやれ」
「分かりました。」
医務室に運ぶ途中駿は思った。
「俺は葉月ちゃんの事全然知らなかったんだな....それに嫌な予感がする....もうすぐ何かがきっと起こる気がする....葉月ちゃんにとって良くないことが....」
「夢を見ないようにする薬とか作れないんですか?」
「残念だがあたしは魔法使いじゃないんだ。能力で出来る事だって限られてる。やっぱり頭に入ってくる情報量が違うと夢を多く見るのか....」
「いや、昔の悪夢ばっかりらしいですよ」
「では今度葉月の家でお泊まり会でもするか」
「良いですねそれ。」




