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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

生きる仮面と笑う死神

作者: ろろさん。

「戦争がだめだとか、平和が一番とか、もっと国民のことを大事にしろだとか、ねえ、これってさどういうことだと思う?」

 私は自分のベットに寝転がりながら私の近くに凛々しく背筋を伸ばして立っている男に話しかける。

「そのままの意味だと思いますが」

「そのままの意味かー。今以上の平和ってあるの?」

「あるんじゃないのですか? 国民がそれを望んでいるのなら」

「そっかー。あるのかー……」


 私は質問に答えてくれた私の召使兼秘書の男、リオを見る。リオは容姿端麗でこの国の忠誠心というか私に対してだけの忠誠心が無駄に高い。

 私が写真を提示しながら、いつまでにとは言わないから、こいつを捕まえて斬首しろと言ったら一日でそれをやり遂げやがった。他の私に対してだけ強い忠誠心をもっている使いを使ったらしい。一応予想は付くが、怖くて誰を使ったのか聞けなかった。それぐらいやばい奴だ。


 ちなみに私が写真を提示したものに映っていた人間は強盗、殺人、器物破損、万引き、その他いろいろ犯罪という犯罪を起こしていたものだ。

 理由もなく斬首なんてそんな物騒な物やらせない。斬首を執行した直後に国民から歓声が上がったぐらいだ。やったって悲しむものはどこにもいなかった。


「あるわけねえだろおおおおおおおおおおおおおおおお!? ざっけんじゃないわよ! ねえ、今の国の状況知ってる!? 金が常に動いてて年間の会社倒産数五! その倒産していったものすべて自ら博打をして自滅していっただけ! 自業自得! 戦争!? 何それ、美味しいの? 私そういうの嫌いだから一回も参戦したことないのだけれど! たまに元戦争地帯にうちの兵を向かわせて地雷を撤去されるぐらい! それなのに、それなのに国民の満足度四十パーセントってどういうこと!? ねえ! おかしいよ!!」

 私はいきなり叫んだあと、思う存分リオに愚痴をこぼした。これは何かがおかしいと思うのだ。

 私の国でも税は取っているが、たったの五パーセントだ。娯楽用品は少し税率が上がって七パーセントになっているが、その分医療機関や教育機関など人間が生きていくうえでとっても大事だと私が思った機関には、その徴収した税を使って建てたり料金九割免除などを行っている。

 それに食料自給率だって百四十パーセントだ。輸出できるぐらい食料が有り余っている。なのに、それなのに、不満があるってどういうことなのだろうか。とってもおかしいと思うのだ。


「そうですね。我々の国は多方面にかけて、恵まれすぎていると言っても過言ではないぐらい恵まれています。それなのに、そんな意見が我々の女王であるレイン様のその麗しいお耳に届くのはおかしなことだと思われます。ならば、この俺が城下を見てきましょうか」

 リオは私の愚痴に嫌な顔一つ見せず、むしろなぜか興奮したような顔でそう提案してきた。


 言い忘れていたが、私の名前はレインという。一国の王女だ。国の名前はミョウチ国という。

 私の顔はこの前リオから言われたのだと『あなた様の顔はとても麗しく、まるでそこに花が咲いているのかと思うど力強くともに儚い。しかしながらそれがとても私の胸を掻き乱す……ああ、あなた様はなぜそんなに麗しいのですか? 私は、私は一生あなた様についていきます!!』だそうだ。そして今思った。あいつの言葉を借りてはいけないと。

 話が変わってしまったようなので自分で紹介すると、私の容姿は普通だ。体系はどちらかというと幼児体系。身長が低いとかいうなよ。紙の色は黒で瞳の色は紫。因みに年齢は二十一だ。

 それと、リオの髪の色は銀髪で目の色は赤で、私と同い年だ。


 私はベットから飛び起きるとともに、リオに向かって好奇心旺盛にこう言った。

「相変わらず気持ちの悪いことを……。まって、私も行きたい。というか行く」



「本当によろしいのですか?」

「いい。だって城内にはミオがいるし。あの子なら何が起こってもすべてなかったことにできるでしょう」



 私はできるだけ国民と同じような格好をして街に出た。

 ザックリといま私が着ている服を言うと、上は白のワイシャツで襟元に黒のリボンがついている。下は黒の短パンにタイツで白のブーツを履いていた。リオも同様、黒のワイシャツに黒のズボン、靴は城内と同じものを履いていた。黒い。


 そして私がさっき言ったミオとは、先程リオとの会話の中にも出てきた無駄に私にだけの忠誠心が強い人物だ。

 一見おとなしそうなメイドだが、彼女の逆鱗に触れると私以外、だれも止められなくなる。私がいないときに彼女の身に何も起こらないことを切実に願う。


「そして、城下に来たわけですけれど、城内にいただけではわからないことってたくさんあるのですね。ファンタジーの世界に付いたみたいです。いつの間にか転移したのでしょうか」

「いや、転移なんてしてないよ。私が住んでいる城があそこに見えるし」

「では、これはどういうことでしょか」

 リオが城下の様子を見ながら、私に向かって話しかけてくる。それに私は溜息交じりに答えた。

「知らない。とにかく国民が最近になって戦争がどうのこうの言っていた理由は解った」

「ですね」

「どうする?」

「消しましょうか」

 リオは即答だった。その顔には笑みさえ見れた。私は伸びをする。

「そうするかー。じゃあ、魔王討伐にレッツゴー」

「おー」


 私の国の城下はあれに荒れていた。国民はいるが、なぜか皆変な武装をしている。城の中からはこんなの見えなかった。たぶん何かの結界が貼ってあったのだろう。全く面倒くさいものをやってくれたものだ。

 そして、私が魔王討伐と言ったのは、大きな張り紙が貼られていたのだ。血判付きで。なぜか血判付きで!! いろいろ突っ込みたいが、それは魔王とご対面してからでも遅くはないだろう。時間稼ぎぐらいには使えそうだ。そこにはこんな風に書いてあった。


『我々魔王軍はこの恵まれている国、ミョウチ国を征服しに来た。やろうと思えば一瞬でこの国を消滅できる。でも、そんなのはいつでもできる。それを阻止したければこの俺、魔王に戦いを挑んで来い。あ、王女さんにはこの事内緒だよ。あの人怖いじゃん。ね、お願いだよ! ね! あーあ、この国はちょろいなー。やったね!』


 その文を読み終わった後、私たちは口をそろえてこう言ったのだった。

「こいつ、チキンだな」


 ということで、これから魔王撲殺……ではなく、魔王消滅……でもなく、魔王討伐に私たちは二人で向かうことになったのだった。

「武器はどうせ雑魚とか武器庫とかありそうだからそこからとればいいよね」

「そうですね。装備とかもなくても別に大丈夫でしょう。金属バットとかありますかね」

「どうだろう? なくても何か鈍器になるものはあるんじゃないかな。ほら、手すりとか」

「ああ、そうですね。ならば心配はなさそうです」


 そんな会話をしながら、血判が押してあった張り紙にご丁寧にも魔王軍という頭のおかしい、自己主張が強いと思われるチキン集団のアジトが書かれている紙を見つけたので、それを全部燃やした。

 そのあとに町を探索していたら、いかにも頭がおかしい人間が住んでいます。と言ってくる建物を発見したので、そこに向かうことになった。


 ちなみに紙かいてあった場所は、リオがたまたま持っていた小型の飛行型カメラを飛ばしてみたところ、ただの戦いが好きな雑魚の魔物が住んでいる屋敷だった。なので戦いに行くのも面倒だと判断した私たちは適当にダイナマイトをぶち込んだ。


 そしてそのあとに頭がおかしい建物を見つけた私たちは、さっきと同じく小型の飛行型カメラを飛ばしたところ、その中に魔王の間ということろを発見。さらに進めるといかにも私が魔王ですという者が紙に書いてあった建物が爆破されたところを知って青ざめていたところだった。


 リオのカメラは超高性能で音声機能とそのカメラがあるところに瞬間移動できるという優れものだった。

 そう、さっきの建物を爆発してくれたダイナマイトは、レオがたまたま持っていたダイナマイトに火をつけ、それのみカメラがあるところに移動させたのだ。

 これぞ完全犯罪。指紋が一切つかない。ましてや足跡も。ハエが通ってった後に何かが落ちて建物が爆発したように見えるだけだ。


 そして、青ざめている魔王はこう言っていた。

『え、なにこれ怖え』


 これを聞いて同じことを私たちはやりたくなったが、レオはもう爆発物を持ち合わせていなかったため、できなかった。

 

「では、いきますよ、レイン様足元にお気を付けくださいませ。念の為に少し床より五十センチほど高いところに移動いたします」

「解った。いつでも準備はできているわよ」

「ああ、国民のために自らの命を張る女王様私は感服いたします。あんなに文句を言われてもちゃんと自分勝手にならずに……ああ、なんと素晴らしい。それに意気込んているお顔もたいへん麗しい……」

「いいから早くしなさい。ちゃっちゃと終わられて町の復旧作業に移るわよ」

「了解いたしました。では、移動!」




 移動した私は息を吐いた。


 え? 緊張? 何言ってんの? な訳ないでしょう。呆れたからだ。私たちが現れたと同時に魔王が腰を抜かした。顔を青ざめさせて、私とリオを見て後ずさりをしている。こんなんでよく私の国を乗っ取ろうとしてくれたものだ。


「初めまして。あなたが魔王でよろしいでしょうか」

 私は腰を抜かした人物に確認のために質問をする。魔王は震えた声で答えてきた。

「そ、そそそそ、そそ、そうだ! お、おおお、俺、俺が魔王だ! ど、どどど、どう、どうだ! 恐れおののくがよい!!」

「いや、ぜんぜん恐れおののく要素がないのですがどうしたらいいですか。というか、あなたのせいでこの国の一部のため物が半壊していたのですが、どうしてくれるのですか。金払ってくれませんかねえ。全額とは言いませんから、七割でいいです。七割。あと復旧作業にあなたの支配下の全員駆り出せてくれませんかね」

「いや、まだ決着ついてないのにもう復旧の話を進めないでくれない!?」

「チキンのくせにツッコミだけいっちょ前にやらないでくださいよ。ならば決着付けます? そういえば自己紹介がまだでしたね。私の名前はライン。この国の女王です。どうかお見知りおきを」


 私は行儀良くお辞儀をする。そうして、私の名前を聞くや、魔王と名乗る奴はまるで顔にかき氷のブルーハワイをぶっかけられたように真っ青にして固まった。

 というか、かき氷にブルーハワイをかけたものを本当にこの魔王という生き物にぶっかけたい。もっと青くなるかな。あれ着色料の量半端じゃ無かったよね。面白そう。


 しばらくの沈黙後、魔王は口を開けた。

「ふぁ!? 女王!? お前なんで城下にいるの!?」

 魔王にお前呼ばわりされた。初対面でお前呼ばわりされた。お? やっていい? やっていい?


 私の手に力が入ると同時に私の代わりにリオが進み出た。

「女王が城下に出てはいけないという規約はこの国にはありませんが。こうして召使の僕が隣にいますし。というか、ライン様とっととやっちゃいましょう? こんな奴ごときにライン様の大切な人生のお時間が無駄にされるなんて私は……私はいてもたってもいられませんよ」

 リオはにこやかに笑う。どうやらこの時を本気で無駄に思っているようだ。


 片手にいつ持ち出したかわからないが、十寸ほどのナイフが見える。どうやらこれもたまたま持ち合わせていたらしい。

 それを見て、私は溜息交じりにリオに了承する。

「私の大切な時間が無駄になるかどうかは置いといて、そうだね、とっととやるか」


 その発言が意外だったのか、魔王は目を見開いた。

「この国は戦争を嫌うのではないのか!? なのになぜお前らはこうも率先して戦争の火ぶたを切るようなことをする!? って、おまっ危なっ!? おい誰か俺に武…………ああああああああああああああああ」


「あっけない終わりだな。こっちが戦闘態勢に移ったのわかったら言葉で咎めるんじゃなくて、体で咎めなくちゃだめだよ。じゃないと一瞬で終わりだよ? というかリオ強いな。さすが笑う死神なんて笑えない異名がつくはずだよ」

 私は首と胴体が離れていった物体を何もない顔で自分の頭を撫でながら見る。

 しっかし魔王っていう生き物の血の色って紫なんだな。この国に反逆を起こした国民かと思ったが、違ったようだ。良かった。でも紫の血ってちょっと気持ち悪い。


 そこになぜか血飛沫が一滴もついていないリオが笑みを浮かべる。

「なにをおっしゃいますか。ライン様のほうが御強いくせに。それに知ってます? ライン様の異名」

 私の異名? そんなものがあったのか。これは初耳だ。私なんかいつも城でゴロゴロしているだけなのに。

「え? 私なんかにそんな面倒くさいものがあったの? というかどうやったら血飛沫を一滴も浴びずに首を斬ることができるの……」


「はい。ありますよ。ライン様の異名は生きる仮面です。それと血飛沫を一滴を浴びずにやるのは走ってジャンプして通り過ぎるかな? って感じのところで斬れば浴びずに斬れますよ」

「なるほど。参考にしとく」

 絶対できる気がしないが。


「なんでそんな変な感じなの? というか、なんで仮面?」

 仮面って顔にかぶるものだよね、演劇とかで使う者。私そんなことやらないはず。やるなら堂々と、だ。仮面なんか被らない。


「それはあなた様が今やろうとしていることからきているのかと」

「ああ、なるほど。要するに八方美人か。なんだかうれしいな、それは。じゃあ、こいつと共にこの建物焼く」

 私はポケットに入っていたマッチを擦って火をつけ魔王の上にそれを落した。


「はい。かしこまりました。というか、ライン様に本当に会う言葉は冷徹な天使ではないでしょうか。この国だってあなた様がいるから戦争がないようなものですから」

「何言ってるの? 戦争は私が嫌いだからやらないの。あ、そうだ。そこの扉の近くにいる魔王の支配下の人達、お願いがあります。死にたくなければ私たちの国の普及作業を完璧に遂行してからこの国を出ていくか、この国の発展に貢献してくれるかしてくれると助かります。なお、今出て行こうとしたものはこの屋敷と魔王と共に心中してもらいます。どうしますか?」

 私の後ろでは赤い炎が異臭と共に揺らめいている。私は笑う。しかしそこには哀れみなどなかった。あるのは見たものを不安にする冷徹な笑みだけだった。


わちゃわちゃした物を書こうと思って書き始めたのに、最終的にそんなものにはなってくれませんでした。

やはり私には重いのとグロは付き物なのか……。くっそう……。

最後のおわりかたはわざとです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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